ホタテ貝と海老炒め、ラムチョップとラタトゥイュ、マグロのグリル

プロに聞く、生き生きEATS(イーツ)

元気と美味しいを求めて料理の達人が腕を振るう (32)

 今月の生き生きイーツは、東京ヒルトンホテルや、ニューヨークのホテル・ピエール、カーライル、リッツ・タワーホテルやエセックスハウス日航ホテルなど一流ホテルで45年間シェフとして活躍した日本人、本紙連載でお馴染みのシェフ加藤さんこと、加藤孝良さんに「家庭で作れる一流ホテルの味」3品を紹介していただきます。著書に『家族で楽しむ休日ブランチ』(日本経済新聞社)、『シェフ加藤のアメリカンフレンチ・レシピ』(ニューヨーク生活プレス社)がある。


■ホタテ貝と海老炒めクリームポレンタ Pan seared Scallops, Prawn/porenta

材料2人分

帆立貝大6個、エビ大4尾(ボイルしたもの)オリーブオイル適量、ポレンタ11/2 カップ、水ボイル11/2必要あれば少々、クリーム大さじ5、塩、胡椒 各々少々、付け合わせにコールスロー2カップとアボカドスライス、トマトソース少々、飾りパクチー

   冬シーズンの甲殻類は身が締まりとても美味しいきせつです!それにイタリアンのクリームポレンタを添えてヨーロッパ風で温かく 食べてみましょう!

作り方

①ポレンタを作ろう。ポットにお湯を注ぎポレンタ粉を少しずつ加え、水を差し入れ固まらないようによく混ぜて軽くとろみ付いたら火からおろす。

②テフロンパンを中火でオリーブオイル少々垂らしドライにした貝柱を少し色付いたら両面を焼く、

③大き目のお皿にポレンタを流し込み中央にトマトソース大さじ3を入れその中に焼き上がった貝柱3個を並べ、海老をのせて仕上げます。サイド(コールスロー、アボカドを添えて)


■パンロースト骨付きラムチョップとラタトゥイュ野菜添え Roast rack of lamb w/Ratatouille

材料4人分

骨付きラムチョップx1個(500〜580g)、ソース用玉ねぎ1/2個(みじん切り)ケッチャップ大4ウスターソース大さじ4,赤ワイン大さじ4,出し汁少々

ラタトゥイュ=玉ねぎ1/2、茄子1/2,ピーマン赤1個、トマト1個、ズッキーニ1本各々角切り、ニンニク2片、トマトジュース1/2、白ワイン1/2、オリーブオイル適量

作り方

①大き目のフライパンにオリーブオイルを入れ、野菜類を加えて5〜8分炒め、白ワイン、トマトジュースを加えて味付け10分間煮込んで仕上げる。

 骨付きラムチョップを軽く味付けて、大き目のテフロンパンへ骨を外側から色を付けて10〜15分焼き、色を付けてひっくり返し、中火で15分〜20分アルミフォイルでカバーをして焼き、火を止めて休ませる(ミディアムレア)。同じテフロンパンで出し汁とソース用+材料を加え5〜6分煮てソース用に仕上げる。


■マグロのグリルとフランスニース風サラダ Grilled tuna salad Nicoise

材料2人分

生マグロ切身(120ℊx2)サラダ菜4枚、完熟トマト2個(1個X6スライス)、インゲン10本、エッグ2個(1個X4切)、ポテト大1個(X10切り)各々茹でたもの、スライスオニオン大さじ4、オリーブ6個、ハーブ適量、ディジョンドレッシング、ワインビネガー大さじ3、ディジョンマスタード大さじ2、オリーブオイル大さじ6、エシャロット(刻んだ)大さじ3、マヨネーズ大さじ2、全部よく混ぜる

   秋から冬にかけマグロは旬で上質な脂がのっていて最も美味しいと言われています。生マグロを炭火焼きにしてフランス、ニース風サラダと共に食べると最高においしい!本格フレンチドレッシングをかけて召し上がれ!Bon Appetit !

作り方

①テフロンパンを中火にして数滴のオリーブオイルをたらし、マグロの両面を手早く炒め半生状態で取り出す。②サラダ菜をお皿に引き茹でた野菜類を全て混ぜて盛り合わせマグロを2枚切り、上にのせハーブを飾りドレッシングをかける!

国際女性デー討論会

日本クラブで3月9日

 JCCIと日本クラブ共催の「海外から日本はどう見えてる?ニューヨークで働く私たちの視点」と題した国際女性デー・パネルディスカッション&ネットワーキングイベントが、3月9日(木)午後6時から、日本クラブ(西57丁目145番地2階ローズルーム)にて開催される。

 海外と日本、働き方や生活・価値観の違いなどをテーマに、日本の何が問題なのか、私たちが出来ることは何なのかを、日米で活躍する女性パネリストと考える。パネリストは、ディメイ美代子(Tiffany & Co. Japan Inc. 前代表取締役社長)、渡邊 裕子(HSWジャパン共同経営者、株式会社サイボウズ社外取締役)、小林さやか(『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の主人公。現在米国コロンビア教育大学院に留学中)、大塚泰子(IBM Coporate パートナー)。日本からは小巻亜矢(株式会社サンリオエンターテイメント 代表取締役社長)と及川美紀(株式会社ポーラ 代表取締役社長)がズームで参加する。対象はJCCIと日本クラブの会員企業の社員とそのゲスト。定員60人。

 参加費は会員25ドル、ゲスト30ドル(飲み物と軽食付き)。申し込み・詳細はウェブサイトhttps://www.nipponclub.org/

美味しさが科学で証明された!

長崎和牛の紹介イベント

 2月15日、イーストビレッジの和牛レストラン「J-SPEC 」にて長崎産和牛の試食会が開かれた。主催は長崎和牛銘柄推進協議会。共催はニューヨークの和牛専門輸入業者Wagyu Master USA, Inc.。オーガナイズをHISが、コーディネートをCanvas Creativeが担当した。

 長崎県は、2022年時点で県内2180戸の生産者が年間7万2700頭の和牛を飼養する日本でも有数の肉用牛生産県だ。長崎和牛は、肉本来の旨みを持つ赤身とまろやかな味わいの脂身のバランスが絶妙で、非常に評価が高い。イベントの目的は、その長崎和牛の魅力を広く北米に知ってもらうこと。参加者には、ニューヨーク周辺の食肉関係者や地元メディアの顔も目立った。

 イベントの前半は、同協議会の事務局担当橋元大介氏による長崎和牛の特徴紹介。県庁農林部農産加工流通課の所属ながら和牛の研究に熱心で大学院にて博士号まで取得した橋元氏の話は、一貫して科学的だ。例えば、和牛の美味しさを決めるのは脂肪中に含有されるオレイン酸の分量。55%を超えると摂氏33度(口中温度)で溶け、豊かな風味を感じるのだそうだ。

 現在、橋元氏と推進協議会が取り組むのは、屠畜前の個体の肉脂肪中のオレイン酸含有量を事前に検知する方法。胎児検査でおなじみの超音波画像やMRI、エコーなどを家畜用に改良し、得られた情報をコンピュータ解析。優良な肉ができるかどうかを飼育中に把握する。「オレイン酸を増やすために必要なのは血統と餌だということを確信しました」という橋元氏ら。この技法を駆使して育てたオレイン酸含有55%以上の長崎和牛は、5年に一度の全国和牛能力共進会(別名「和牛オリンピック」)で2大会連続上位入賞を果たした。「長崎では、美味しいお肉を提供するために生産者がどこよりも愛情を注いで牛を育てています」と橋元氏は胸を張る。

 イベントの後半は、長崎和牛の分割ショウと試食会。トモエフード・サービス酒井氏の見事な包丁さばきに参加者一同、目を奪われる。今回披露されたのはお尻の肉「ランイチ」とモモ肉「シンタマ」。いずれも米国産ビーフではミンチになる部位だが、前者は「ランプ」と「イチボ」に、後者は「トモサンカク」「マルカワ」「カメノコ」「シンシン」に切り分けられ、ローストビーフ、ステーキ、寿司など様々なメニューに調理された。舌の上で溶けるジューシーさと柔らかな食感は、豊かな「オレイン酸」のなせる技。参加者一同、満面の笑顔で舌鼓を打った。

 レストランJ-SPECでは長崎和牛を使った料理をキャンペーン中。2月24日まで。(中村英雄)


J-SPEC

239 E 5th St, 

New York, NY 10003

 (212) 287-0107

https://www.jspec-ny.com/


黒澤有美、トリオ初アルバム記念

3月30日コンサート

 琴奏者の黒澤有美がパンデミック中に結成した「Yumi Kurosawa Trio」としての初のアルバムリリースコンサートが、3月30日(木)午後7時からジョーズパブ(Joe’s Pub:ラファイエット通り425番地)で行われる。

 同アルバム「Metamorphosis」(https://www.barnesandnoble.com/w/metamorphosis-yumi-kurosawa/39416364)は全曲黒澤のオリジナル曲。トリオメンバーの他に2人のゲストも参加。楽器編成は、20絃箏、バイオリン、タブラ、ドラムセット、尺八、アルトサックス、コンガやラテン系のパーカッション。また、ラテンジャズの巨匠アートゥロ・オファリルをプロデューサーに迎えて制作したもの。

 入場料は一般25ドル、学生15ドル(+2ドリンク、1フードミニマム)。チケット・詳細はウェブサイトhttps://publictheater.org

生き残りへの挑戦: PLANE

 旅客機事故のパニックものと生き残った乗客を身代金目的で略取する武装勢力の残虐性というダブルの恐怖で全編を綴るアクション・スリラー。あまりこれといった作品に恵まれなかったジェラルド・バトラーが本作では自分の身を投げうって全力で乗客を守ろうとする熱いパイロットを好演。アメコミのスーパーヒーローにはない、あくまで泥臭い人間味溢れるヒーローの誕生だ。

 トレイルブレーザー航空のパイロット、ブローディ(バトラー)は大晦日にシンガポール発、東京経由、ホノルル行きの機長として搭乗した。妻が亡くなってから大学生の一人娘とも疎遠になり、心痛めていたが娘の方から正月はホノルルで一緒に休暇を過ごしたいと連絡があり久々に心が弾んでいた。

 200人弱を収容できる機体だが、時期とルートの関係で実際の乗客は14人。ただし、急に2人追加となる。15年前に殺人容疑で逃亡し、最近、シンガポール近郊で捕まったルイス(マイク・コルター)という男と彼を米本土まで護送する連邦保安官だ。

 東京までのフライトは6時間半程度だが、離陸から1〜2時間はかなりの悪天候が予想され、ブローディは本社の担当者に少し飛行ルートの変更を要請したが承認されず、そのまま出発。途中、落雷にあうもなんとかジャングルに不時着した。

 回りには何もなく、通信機器も壊れていたため、ブローディは救助を求めるために周辺の探索を始めるが、その間に、乗客はジャングル付近を拠点としていた反政府武装勢力に拉致されてしまう。皮肉にもブローディにとっての唯一助っ人はルイスだった。

 不時着シーン、武装勢力への切り崩しシーンなど緊迫感溢れる場面の連続で思わず、身を乗り出してしまうほど。かつて機内で暴れる乗客をねじ伏せた熱血漢キャプテンのブローディと元軍人で殺人容疑も訳ありの冷静沈着なルイスとの好対照コンビ。キャラクターを十分に引き出した展開も物語を一層面白くする。監督は「Blood Father」のジャン=フランソワ・リシェ。1時間47分。R。(明)

(写真)武装勢力のアジトに潜り込むブローディ(バトラー、左)とルイス(コルター)Photo : Kenneth Rexach/Lionsgate


■上映館■

AMC Empire 25

234 West 42nd St.

AMC 34th Street 14

312 W. 34th St.


編集後記 2023年2月18日号

【編集後記】
 みなさん、こんにちは。ニューヨークの私立リセ・ケネディ日本人学校(新元良一校長)及び同フランス人学校の理事長を務める園田明淑さん(90)が、このほどフランス政府からナポレオン・ボナパルトによって1802年に創設された名誉あるレジオンドヌール勲章を授与されました。1964年に創立されたリセ・ケネディ国際学校は、1985年に夫の故園田幸司博士が経営権を取得した後、日本人学校が併設されました。アメリカとフランス、そして日本との文化交流の発展に、同校が長年寄与したことに対し、9日、在ニューヨーク・フランス総領事館でロベール総領事から勲章が伝達され、ナイト(騎士)の称号が与えられました。「すべては夫が築いたことを引き継いだまでで、私はもらう資格はないです」と控えめに語る園田さんは、産婦人科医として長年ニューヨークでクリニックを開業し、これまで日本人を含む1万人以上の赤ちゃんをとりあげてきた人だ。ご主人が日本人学校を開校した当時、私は読売新聞の米国現地版の記者として園田博士を取材して記事を書いていた。「ザ・ニューヨーク・ヨミウリ」1986年8月7日号の縮刷版によると、日本人高校ができたのはミッドタウン44丁目、五番街と6番街の間。教室の黒板がとても広く大きかったのを覚えている。その後、ウエストチェスターのアーズレーの校舎でフランス人学校のキャンパスを使って日本人学校としての経営をしていた。しかし2005年に幸司さんが肝臓がんのため急逝したことから学校経営を引き継ぐことに。37年前の開校時の新聞コピーを持って園田夫人、現理事長に昨日お会いした。コピーを手に懐かしそうに目を細めた園田さん。日本からの医学生たちを世話するのが大好きだった夫の言葉が今でも忘れられない。「僕は90歳になっても杖をついてでも学校経営をやっていくよ」。今、自分がその年になり、夫の遺志を継いで日本人とフランス人子女の教育にこれからも身を捧げるつもりだという。天国の園田さんもきっと奥さんに「おめでとう。ご苦労様」と言っているだろう。ちょうど昨日は2月14日。37年前の記事のコピーは、私の手を介して贈った園田博士から奥さんへのバレンタインデープレゼントだったのかもしれない。本紙今週号の1面に記事、11面にインタビューがあります。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2023年2月18日号)

(1)レジオンドヌール勲章 リセ・ケネディ園田理事長

(2)大麻喫煙お断り タイムズスクエに立て看板 

(3)映画「最後の乗客」 堀江貴監督に聞く

(4)NYファッションウィーク 活躍する日本女性たち

(5)ありがとう ウクライナ支援団体 NY日系社会に

(6)花柄イエローキャブとむっつりおじさん ニューヨークの魔法 

(7)NJ日本人会名刺交換会 新体制役員を発表

(8)日本語ツアーを再開 メトロポリタン美術館

(9)空手の強さ世界に示す 中村忠 誠道塾空手会長

(10)芥川作品が人形劇に ジャパン・ソサエティーで上演

レジオンドヌール勲章を授与

フランス政府、医師の園田明淑さんに

リセ・ケネディ日本人学校とフランス人学校理事長

  リセ・ケネディ日本人学校(新元良一校長)及び同フランス人学校の理事長を務める園田明淑医師が9日、NYフランス領事館においてレジオンドヌール勲章を授与された。ナポレオン・ボナパルトによって1802年に創設されたこの勲章は、さまざまな分野で同国に貢献した人物に与えられる栄誉ある賞として広く知られる。1964年に創立されたリセ・ケネディ国際学校は、1985年に故園田幸司博士が経営権を取得した後、日本人学校が併設された。アメリカとフランス、そして日本との文化交流の発展に、同校が長年寄与したことに対し、同館のロベール総領事から感謝の言葉が述べられた後、厳かな空気が漂うなか勲章が園田医師に授与されると、会場は出席者たちからの大きな拍手で包まれた。産婦人科医として多数の子どもたちをとり上げる一方、夫の遺志を引き継ぎ、両校の運営を続けてきた園田医師は、栄えある受賞の日に自身のスピーチで、学校に関わったすべての児童生徒、保護者、さらに職員などの関係者に心からの感謝の意を示した。ニューヨークにおいて、いまなお日仏双方のコミュニティから厚い信頼を寄せられる同校の歴史にあって、新たなページが刻まれる一日となった=写真左・同校提供=。

 レジオンドヌール勲章はまた連隊、教育機関、共同体、企業(フランス国鉄など)、結社(フランス赤十字社(フランス語版))などにも授与される。

 高等教育機関としてはパリ国立高等鉱業学校、サンテティエンヌ国立高等鉱業学校、エコール・サントラル・パリ、エコール・ポリテクニーク、パリ国立工芸学校(現在のParisTech)、ドゥエー高等工業学校(フランス語版)、フランス国立古文書学校、ナンシー大学(現・ロレーヌ大学)など、中等教育機関としてはブール=カン=ブレスのリセ・ラランド エクス=アン=プロヴァンスの軍事リセ、ラ・フレーシュの国立軍事幼年学校(フランス語版)などが受章している。

仏政府から騎士の称号

リセ・ケネディ理事長 園田明淑さん

 リセ・ケネディ日本人学校・フランス人学校理事長の園田明淑さん(90)がフランス政府から今月9日、ナポレオン・ボナパルトによって1802年に創設された名誉あるレジオンドヌール勲章を授与された。この勲章は、さまざまな分野で同国に貢献した人物に与えられる賞として広く知られ、騎士(ナイト)としての称号を与えられた。

 1964年に創立されたリセ・ケネディ国際学校は、1985年に夫の故園田幸司博士が経営権を取得した後、日本人学校が併設された。アメリカとフランス、そして日本との文化交流の発展に、同校が長年寄与したことに対し、在ニューヨークフランス総領事館のロベール総領事から勲章が伝達された(1面に記事)。

 「すべては夫が築いたことを引き継いだまでで、私はもらう資格はないです」と控えめに語る園田さんは、産婦人科医として長年ニューヨークでクリニックを開業し、これまで日本人を含む1万人以上の赤ちゃんをとりあげてきた人だ。1963年にニューオリンズのチュレーン大学医学部を卒業し、69年にブルックリンで産婦人科クリニックを開業。横浜国立大を卒業してコロンビア大学大学院の学生だった夫の幸司氏と64年に結婚、幸司氏がニュージャージー日米協会会長(会員300人、1985年当時)だった86年6月に私費で経営権を買い取り日本人高校を同年9月に開校した。それが現在のリセ・ケネディ日本人学校(新元良一校長、在籍児童170人)の土台となっている。当時の開校の様子を伝える読売新聞の米国現地版「ザ・ニューヨーク・ヨミウリ」1986年8月7日号によると、日本人高校ができたのはミッドタウン44丁目、五番街と6番街の間。その後、ウエストチェスターのアーズレーの校舎でフランス人学校のキャンパスを使って日本人学校としての経営をしていた。しかし2005年1月2日に幸司さんが肝臓がんのため急逝したことから学校経営を引き継ぐことに。産婦人科医と学校経営との両立は大変だったが、医師の長男・幸男さんと弁護士の長女・ミドリさんが力となって支えてくれた。日本からの医学生たちを世話するのが大好きだった夫の言葉が今でも忘れられない。「僕は90歳になっても杖をついてでも学校経営をやっていくよ」。今、自分がその年になり、改めて夫からバトンを渡された気持ちだ。(三浦良一記者、写真右も)

大麻喫煙お断り

タイムズスクエアに禁止看板
「臭う!」観光客の苦情殺到

 ニューヨークのタイムズスクエアを管理する同アライアンス事務所に、国内外の観光客などから「マリファナの臭いが立ち込めて気持ち悪い。歩くだけでどこでも臭ってくる」との苦情が殺到し、このほど「あらゆる種類の喫煙を禁止する」と書いた立て看板を立てた。

 ニューヨーク州では2021年春に娯楽用大麻の使用を合法化し、規制された娯楽用販売も1月24日から始まったばかりだ。しかしNY州は昨年10月に全ての州立公園や公共の野外スペースで大麻やたばこを吸うことを違法とし、自治体が違反1回につき50ドルの切符を切ることを決めた。にもかかわらず、タイムズスクエアに留まらず、マンハッタンの繁華街を中心にマリファナの臭いが立ち込め、歩いているだけで間接喫煙して頭がクラクラするなどの苦情が相次いだ。

大麻不法販売増加

合法店は苦戦
前科者に優先販売権

大麻販売店を巡回パトロールする警察官(NY1のテレビ画面から)

 NY市内では、グリニッチビレッジに合法の娯楽用大麻薬局「スマックドLLC」が1月24日にオープンした。場所はブリーカー通り144番地でデュアンリードがあったところ。ニューヨーク州では昨年12月にイーストビレッジにオープンしたハウジング・ワークス・カンナビス(ブロードウェー750番地)に続く2番目の合法薬局となる。開店初日はハウジング・ワークスほど混雑はしなかったが数十人が列に並んだ。

 ハウジング・ワークスは非営利団体だが、スマックドは過去に大麻関連の有罪判決を受けた人が経営する最初の薬局となる。州は、社会的公平を目指す目的で大麻の販売許可を非営利団体および大麻関連の犯罪者からの申請を優先している。スマックドのオーナーはローランド・コナーさん(50)。90年代に有罪判決を受けたコナーさんだが、現在は建物管理会社を所有しており危険にさらされている人に緊急の仮設住宅を提供している。今回は仮オープンで1か月ほどしたら改装し、正式オープンする予定という。

 3番目となる薬局「ユニオンスクエア・ファーマシー」はユニオンスクエアの近く、ブロードウエー13丁目のチェース銀行跡に2月13日にオープンする予定だ。所有者は刑期を終えて出所した人やホームレス、薬物乱用者を支援する非営利団体のドゥ基金(The Doe Fund)だが、実際の運営はハーバー・コミュニティーが行う。ドゥ基金が収益の51%を得る仕組みだ。このほかミートパッキングエリアに非営利団体が経営する薬局が開店する予定がありこれが4番目となりそうだ。

 州の大麻管理委員会は約150件の大麻販売許可証を付与する予定だが現在までに付与されたのは36件。そのうち28件はマリファナの前科がある人やその家族に渡され、8件は非営利団体に渡された。さらに30件の許可証を付与するが、その半分はブルックリンを除くニューヨーク市になる予定だ。ブリックリンは特定地域での大麻小売禁止を求める訴訟が進行中のため1件も付与されていない。

 ニューヨーク市および周辺には無許可の非合法大麻小売店が1400ほどあるといわれており、合法店は苦戦も予想されている。しばらくは大麻の臭いに非喫煙者が迷惑を被りそうだ。

ありがとう、ウクライナ支援団体NY日系社会に

 「こんなに多くのニューヨークの日系社会の皆さんが、ウクライナのために支援してくれていたことを知って本当に嬉しい」。ニューヨークのイーストビレッジに本部を置く非営利のウクライナ支援団体、RAZOMのドーラ・ホミアク代表は6日、本紙の新年号で特集した「激動の時代を生きる」=在米ロシア系、ウクライナ系市民の証言=の新聞を手に感激した表情で語り、ニューヨークの日系社会に感謝の気持ちを伝えて欲しいと語った。

 記事の中で、 ホミアク代表は「私たちが2月から10か月間にしたことは、私たちが過去10年間やってきたことにほぼ等しい。支援の柱は人民の命を守ることと、ウクライナが勝利するための二つ」などと説明していた。

 本紙新年号で在米ロシア人の声、ウクライナ人の声を伝え、国連平和の鐘の活動、TICグループの寄付、NY日本総領事館主導で開催したジャパンパレードやストリートフェアでの支援、増田セバスチャン氏の平和展、NY日本商工会議所(JCCI)と日本クラブのメトロポリタン美術館での支援コンサート、ジャパン・ソサエティーのウクライナ人留学生の支援、岸田首相、林外相はじめ、冨田駐米大使、石兼国連大使、森NY総領事や各日系団体代表の挨拶の中で、ウクライナを応援しているコメントが紙面にあることを本紙の三浦良一発行人が伝え、記事の英訳を手渡すと「心から感謝しています。ニューヨークの日本の友人がこんなに応援してくれていることを決して忘れません」と語った。戦争から24日でまもなく1年。ホミアク代表は同日夕、2週間の予定でウクライナに向かった。

(写真)ウクライナ支援を特集した本紙新年号を手にするホミアク代表(6日、RAZOM事務所で)

東日本大震災縦軸に父娘描く

映像ディレクター 堀江貴さん

18日に映画完成披露イベント

 ニューヨーク在住で宮城県出身の映像ディレクター、堀江貴氏(51)が監督した映画「最後の乗客」の完成記念ファンドレイジングイベントが18日(土)午後6時からマンハッタンのスカンジナビアハウス(パーク街58番地/37丁目と38丁目の間)で開催される(主催・CATCH US PERFORMING ARTS 、後援・NY宮城県人会、おむすび権兵衛)。

 東日本大震災から10年目の2021年3月の公開を目指して制作を進めてきた同作品は、ドキュメンタリーではなく、親子の関係が震災で変わってしまったドラマ。ストーリーは東日本大震災から10年。とある東北の小さな駅のロータリー。タクシードライバーの遠藤は受験で東京へ行ったきり音信不通の娘みずきの帰りを待っている。遠藤は娘と喧嘩別れしたきり一度も会っていないのだ。そんなある日、幽霊がでると噂の沿岸道路で一人の謎の女性客を乗せる。女は「浜町まで」と告げる。そして、その途中、同じく「浜町」へ行きたいという親子も同乗し、4人は浜町を目指す。

 出演は、娘役に岩田華怜。宮城県出身の俳優。元AKB48、みやぎ絆大使が台本を読んで快く出演を快諾してくれた。ホリプロでオーディションができたのは堀江監督がニューヨークに戻る日の午前中だった。父親役は宮城県出身の俳優、冨家規政。83年NHK連続テレビ小説「おしん」でデビュー。以来、テレビドラマを中心に映画、舞台、CMなどで活躍するベテランだ。撮影は宮城県出身の佐々木靖之。昨年「ドライブ・マイ・カー」でアカデミー賞を受賞した濱口竜介監督の震災の記録映像をアーカイブするドキュメンタリー作品「東北記録映画三部作」、「寝ても覚めても」を撮影した実力派で、いずれも宮城県出身者で出演、スタッフを固めている。

 苦労したのは、やはりコロナ禍による撮影延期だった。「映画作りというのは本当に一期一会なんだということを実感しました。決められた撮影スケジュールの中で出演者、スタッフ、カメラマンなどが総力をあげて一気に作るわけで、今回だめでまた来年やりますと言っても無理なんです。2020年3月下旬からの撮影直前、新型コロナの蔓延防止条例が発令され、撮影が延期に。2021年11月19日、万全の対策をとりながら撮影をスタート。奇跡的に同じメンバーが揃い寒風が吹く中、多くの人々からの協力と支援を得て、撮影は11月25日にクランクアップした。

 「東日本大震災から、パンデミックを乗り越え、12年の年月が経過しましたが、その間には悲しいことばかりではなく、多くの人々の心にも一条の光が射すことがあったと信じています。この映画『最後の乗客』は、過去を乗り越え、未来へ導く光を力強く描いています。ぜひ皆さんに観ていただきたいと思います」と堀江監督は笑顔を見せた。

 (三浦良一記者、写真も)

 映画「最後の乗客」完成記念ファンドレイジングイベント=東日本大震災10年メモリアルプロジェクトは18日(土)午後5時半開場。寄付は30ドルから。参加申し込みは下記のリンクから。問い合わせはEメール、contact@marcreation.com  河野さん。

[申込先] https://www.eventbrite.com/e/10-tickets-530700077217


プロフィール:ほりえ・たかし:1971 年生まれ、宮城県仙台市出身。ニューヨーク在住映像ディレクター。1995 年、南カリフォルニア大学映画学科を卒業後、2016 年に制作した大江千里のミュージックビデオ「Tiny Snow」がニューヨークジャズフィルムフェスティバルで最優秀ミュージックビデオ賞とジャズゴールデンタイム賞をダブル受賞。プロモーションビデオ、ミュージックビデオなど多数手がける。2017年には、自主制作短編映画「Ordinary Days」がサンタモニカのThe Artemis Women in Action Film Festivalと東の登竜門といわれるペンシルバニアNew Hope Film Festivalで短編フィクション部門で上映された。


NYファッションウィーク、活躍する日本女性たち

ネイルなら名取さんご指名

 ニューヨーク・ファッション・ウイークが10日から15日まで市内各所で開催された。今回、ラカン・スミス、アルツザラ、ビビアン・タムなどのファッションデザイナーの7つのランウエーのネイルを担当したのが、名取由稀江さん(=写真右)率いるYNNY(YUKIE NATORI NEW YORK)のネイリストたち8人。

 13日にロックフェラーセンター56階のレインボールームで開催されたラカン・スミスのショーに登場するモデル35人のネイルを手際良くつけていく。あらかじめサロンで用意したつけ爪だ。「あなたとても指が美しいわ。写真撮らせて」「ああいいよ」とモデルとの会話も弾む。名取さんはこれまで春と夏のファッションウィークに15年間も有名デザイナーたちのご指名に応えている。日本のネイル学校を経営するのと同時にニューヨーク市内ではスキン・ディープNYCという美容皮膚クリニックも開業しており、日米の女性たちを美しくすることがライフワークだ。

羊毛ファッション、ニューヨーカー魅了

北海道美深町で羊と暮らし創作

逸見さん手応え

 北海道美深町で10頭の羊と暮らしながら、草木染めでフェルト服を作っている逸見吏佳(へんみ・りか=写真左、中央)さんが12日、ニューヨークファッションウィークで羊毛ファッションをランウエーで披露した。この日、マンハッタンのチェルシー地区26丁目の会場となったハドソン川を臨む14階のカノエ・スタジオは、昼前から熱気にあふれる盛況で、大勢のファッションジャーナリストやバイヤーたちが詰めかけた。そして観衆の見守る中、トップバッターで逸見さんの作品を纏ったモデルたちが颯爽とランウエーを歩きギャラリーの注目を集めた。札幌市出身の逸見さんが羊のいる風景に憧れ、2004年に美深町に移住して現在は牧場で羊を家族と共に飼いながら羊毛ファッションを手がける。

 昨年、バンクーバーファッションウィーク参加後にニューヨークファッションウィークの主催者から案内のメールが届き、興味を持って今回の参加となった。「私たちの暮らしとは真逆の世界一の都会ニューヨークで、ショーをして、大勢の笑顔を送っていただき、なんというか、共感を得ることができました」とショーの後、興奮気味に逸見さんは話していた。薄い生地に羊毛を載せる布フェルトで、縫製することなく無駄なく作りあげる洋服作りを発案。身近な植物で草木染めするなど、周囲の環境に調和したものづくりを目指している。コンセプトは「生きている服」。そこには命として感じられるような愛が溢れる服を作りたいという思いがある。ロングコートやショールカラーは、縫い目がなく、一体化しているウエアで、「見た目の良さだけではなく羽織った時の心地よさがあります」という。ブランド名は「粗清草堂」(soseisodo)。8作品のショーはあっという間だったが、それは、天然素材を使った手作りファッションのローライフスタイルがニューヨーカーたちを魅了した瞬間でもあった。(三浦良一記者、写真も)