【今週の紙面の主なニュース】(2023年11月18日号)

(1)即時停戦を! 抗議デモ激化

(2)平均寿命83歳目標 NY市が健康計画

(3)私は、ザ・デストロイヤー ニューヨークの魔法

(4)和の魅力を披露 ジャパン・パフォーっミング・アーツ

(5)おばけちゃん CCMSがNYで

(6)ゴジラー1.0 ジャパン・ソサエティーで上映

(7)令和5年秋の叙勲 NYから2人の米国人に

(8)最優秀映画賞を受賞 「最後の乗客」堀江監督

(9)明日の若き起業家を育てる 西本会里子さん

(10)ロケッツも公演 ラジオシティ・ミュージックホール

即時停戦を!

NYでパレスチナ支持派怒り

抗議デモ激化

 8日夕刻、パレスチナ支持団体が、42丁目沿いのグランドセントラル駅付近のニューヨーク中心部を行進するなどの大規模な抗議活動を行った。また9日も午後3時からパブリック・ライブラリー前からパレスチナ支持団体による抗議デモ行進、10日もグランドセントラル駅をデモ集団が占拠して抗議集会を開いたことから、夕方のラッシュアワーから午後9時過ぎまで駅ビルが閉鎖される事態となった。今後も市内各地で抗議活動が予定されていることからニューヨーク日本総領事館では在留邦人に対して、現在の中東情勢を踏まえ、引き続き不測の事態に巻き込まれることのないよう十分注意するよう呼びかけている。

 これまで全米各地において、イスラエル若しくはパレスチナ支持団体による抗議行動等が行われ、ニューヨーク市内各地での抗議活動については、一部参加者が逮捕されるなどの事態に収まっている一方、5日、カリフォルニア州ロサンゼルス近郊では、両団体が衝突した結果、1名が死亡している。

(写真)イスラエルによるガザ地区攻撃の即時停止を求めるパレスチナ支持デモ行進(9日マンハッタンで、写真・三浦良一)

平均寿命83歳目標

HEALTHY NYC

NY市が健康計画

 エリック・アダムスNY市長とアシュウィン・バーサン同市保健精神衛生局長は1日、NY全市民の寿命を延ばすことを目的とする新たな健康計画を発表した。 

 同「ヘルシーNYC」は、糖尿病を含む慢性病や栄養関連の疾患、早期発見可能な癌、薬物の過剰摂取、自殺、産婦死亡、暴力、新型コロナウイルス感染を含む早死の原因に取り組み、2030年までにニューヨーカーの平均寿命を83歳まで引き延ばすことを目的とする。19〜20年の同市の平均寿命は、新型コロナウイルス感染の影響で、過去5年で初めて78歳まで低下した。

 20〜21年では再び2・7歳上がったが、未だコロナ前の19年の数値には至っていない。人種別では、21年のデータによると、黒人の平均寿命は76・1歳で白人比で5・7歳低い。そのほか30年までの目標は次の通り。循環器疾患と糖尿病の5%減、事前検査で早期発見可能な癌の20%減、薬物過剰摂取の死の25%減、自殺の10%減、黒人女性の妊娠に関連した死の10%減、新型コロナウイルス関連の年間死亡件数を60%減。 

 これらの数値を達成させるために、同市は複数の具体策を導入する。例えば、薬物過剰摂取に対しては、ナロキソンや承認されたハームリダクション、治療のアクセスを増やし、リハビリ施設を増設する。人種コミュニティやLGBTQA+の若者に早期に介入し、精神的なヘルスケアや社会支援を拡大、SNSの若者のメンタルヘルスや自殺念慮に対する影響と問題に対処する。健康的な食品を入手しやすくし、植物性の食生活を促し、慢性疾患や栄養が原因の死を低減する。 

私は、ザ・デストロイヤー

 友人夫婦ロブとベッツィのところに、しばらく滞在した。ロブはふだん穏やかそうなのに、一緒に過ごしてみると意外な発見がある。

  ロブは音に対して、とくに神経質だ。テレビのボリュームは最低にし、コマーシャルになるたびに「消音」にする。ダイニングテーブルで食事中に外で騒音がすると、窓に向かって鼻にしわを寄せた顔を突き出し、シーッ! と声を立てている。

  音以外でも、キッチンのカウンターや床にちょっと水滴があっても落ち着かない。そのうち乾く、などと言う私は、彼にとって宇宙人だ。テレビで気に入らない発言をする人がいれば、画面に向かって、Oh, give me a break.(ああ、いい加減にしてくれ)、You must be nuts.(お前、頭がおかしいんじゃないか)などと罵声を浴びせかける。

  ダイニングテーブルの上に、ベッツィの祖父が作ったという木の舟が置いてあった。すぐ脇にあったコショウ入れを取ろうとして、先端から突き出ているポールに私の手がちょっと触れ、コトンとわずかな音を立てた。

 Oh, oh, be careful.(おい、おい。気をつけてくれよ)

   ロブがすかさず、私に注意した。

 私はすぐにあやまったものの、ちょっとしゃくに触ったので、笑いながらこう言った。

 I have to break something before I leave.(ここを出る前に、何か壊さなきゃ)

 ここにいた記念に、という意味で。ロブはあきれ顔だ。そばにいたベッツィが、自分の胸に両手を当て、私に向かってやるせなさそうな表情をした。

 I know, Mitsy. You break…(そうなのよ、ミッツィ。 

 あなたは壊すのよ)

 私は首を傾げる。

 …our heart.(私たちの心を)

 私は思わず、笑う。

 You do. You do break our heart.

 本当よ。あなたがいなくなるなんて、私たちの胸が張り裂けそうよ、と言っているのだ。

 breakにかけた、ベッツィの粋なジョーク。ロブも私も、すっかり笑顔になっている。

 ジョークは人生の潤滑油だ。

 

 このエッセイは、シリーズ第9弾『ニューヨークの魔法は終わらない』に収録されています。

https://www.amazon.co.jp/dp/4167717220

和の魅力を披露

日本の着物文化と伝統の踊り無料公演

ジャパン・パフォーミング・アーツ

 ジャパン・パフォーミング・アーツ(JPA、 濱田裕子代表)は11日に日本の着物文化と歴史の紹介、日本三大盆踊り、日本舞踊、書道の大筆書、石見神楽の無料公演をシンフォニー・ハウスで開催した。

 日本三大盆踊りの一つで1981年に重要無形文化財に指定され700年以上の歴史がある西馬音内盆踊り(秋田県)で幕を開け、端縫いの着物を身にまとった流麗優麗な舞を披露した。楽しく踊れる郡上踊り(岐阜県)や知名度の高い阿波踊り(徳島県)、石榑雅代の琴の演奏をバックに日本舞踊「六段」と「デイブレイク」や琴のソロ演奏「鳥のように」が観客を魅了した。

 書道歴50年の川口英子の大筆のパフォーマンスは28mx6mの巨大な布に日本発祥の言葉「笑う門には福来る」と大胆に描き、その作品はまさに書の傑作といえる。プログラムのトリはエンタメ性が高い石見神楽(島根県)で幕を閉じ、大きな拍手に開場が包まれた。 (山本みゆき、写真も)

ゴジラ-1.0

JSで上映、11月28日に

 ジャパン・ソサエティー(JS:東47丁目333番地)は12月1日の全米公開に先立ち、東宝インターナショナルとの共催で11月28日(火)午後7時から『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』の特別上映会を開催する。

 ゴジラ70周年記念作品。2016年以来となる日本のゴジラ映画で、山崎貴が脚本・監督を務め、焦土と化した戦後の日本に突如現れたゴジラに直面する姿が描かれる。出演は神木隆之介、浜辺美波、安藤サクラ、佐々木蔵之介ほか。

 入場料は一般25ドル、JS会員20ドル。チケット・詳細はウェブサイトhttps://japansociety.org/

Photo: © 2023 Toho Co., Ltd. All rights reserved.

おばけちゃん、CCMSがNYで

ソニー・ミュージックエンタテインメント

 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(本社:東京都千代田区、代表取締役:村松俊亮、以下SME)は、9日から22日(水)まで、現代アートギャラリーNowHere(ウースター通り40番地、戸塚憲太郎ディレクター)でデザイナーのコヤマシゲト氏と同氏が率いるクリエイティブ集団・CCMSによる「SHIGETO KOYAMA CCMS experiment OBAKE」を開催する。 

 コヤマ氏は、アニメーション作品のキャラクターデザインを主軸に、漫画、ゲーム、フィギュアなど幅広い分野にわたって活躍し、コンセプト、色彩、ディレクションなどを広く手掛ける。CCMSは、コヤマシゲト、草野剛、野中愛によるクリエイティブユニットで2010年に結成。アニメーション、デザインという分野でそれぞれプロフェッショナルとして活躍する3人が「同人誌」と呼ばれる2次創作によるZINEを経て、オリジナル作品の制作を手掛けている。2015年には「日本アニメ(ーター)見本市」にて短編アニメーション作品『おばけちゃん』を公開し、現在では書籍だけでなく、グッズやオリジナルプロダクトなども制作。9日夜には招待客を集めてオープニングレセプションが開かれた。展示会場ではコヤマ氏が手がけたアニメキャラクターのメイキング工程も初公開され、来場者の目を楽しませていた。

(写真)左から戸塚氏、コヤマ氏、草野氏(オープニング・レセプションで)

令和5年秋の叙勲、NYから2人の米国人に

外交と学術に貢献

 日本国政府は3日、令和5年秋の叙勲受章者を発表し、在ニューヨーク日本国総領事館管轄地域では次の2個人が受章した。 

◇リチャード・ハース氏(外交問題評議会名誉会長)旭日重光章。

 ハース氏は、米国大統領経験者や歴代政権の主要閣僚等の多くを会員に擁する、外交問題や世界情勢の分析・研究を目的とした外交シンクタンク「外交問題評議会」の会長を20年にわたって務めてきた。その間、日米間の相互理解及び友好関係を増進するとともに、日米同盟の重要性に関する国際社会の理解を促進し、外交問題評議会が発行する政治経済誌「フォーリン・アフェアーズ」誌を通じて、日本が果たす国際的役割の発信にも貢献してきた。

◇デイビッド・E・ワインシュタイン教授(コロンビア大学ビジネススクール日本経済経営研究センター所長、全米経済研究所日本プロジェクト共同研究長兼リサーチ・アソシエイト)旭日中綬章。

 ワインシュタイン氏は、専門家としての深い学術的造詣を持ち、日本経済に関わる多数の論文を執筆。また、日本経済・経営システムの研究に特化した大学所属研究機関であるコロンビア大学ビジネススクール日本経済経営研究センターの所長を長く務め、米国における日本経済研究の振興に大きな役割を果たした。さらに、日本の経済学者や政府関係者と米国の経済学者が議論・交流する国際コンファレンスにも長年にわたり登壇し、日米間の研究交流促進に貢献した。これらは日本経済や経済政策に関する議論の質を高めた。

(写真左)コロンビア大学ワインシュタイン教授、(写真右)ハース外交問題評議会名誉会長

最優秀映画賞を受賞

バワリー映画祭

「最後の乗客」

堀江監督受賞続く

 ニューヨーク在住で宮城県出身の映像ディレクター、堀江貴氏(52)が監督した映画「最後の乗客」の受賞が止まらない。今度はニューヨークで今最も注目されているインディペンデント映画祭の一つ、バワリー映画祭で長編部門の最優秀映画賞を受賞した。同映画はつい先月、グローバル・ノンバイオレント映画祭で最優秀賞を含む5冠を受賞したばかり。同映画は東日本大震災から10年目の2021年3月の公開を目指して制作を進め、ドキュメンタリーではなく、親子の関係が震災で変わってしまったドラマ。今年ニューヨーク映画祭でも上映された。これまでサンディエゴ芸術映画祭で「最優秀インデペンデント映画賞」を受賞、またカンヌ世界映画祭の最優秀インディペンデント映画(低予算部門)、スウェーデンの映画祭ボーデン・インターナショナル映画祭(BIFF)の初長編映画ノミネート、モントリオール・インデペンデント映画祭の最優秀フィクション映画など数々の映画祭で受賞やノミネートされている。堀江さんは「宮城の皆さん、NYの皆さん、やりました。いまNYでも最も注目されているインディペンデンス映画祭の一つBowery Film Festivalで長編部門の最優秀映画賞を受賞しました。ついにこの映画がNYのインディペンデント映画界でトップに立ちました。この作品に携わってくださった皆様、そして応援してくださった皆さん、一人一人抱きしめたいくらい感謝の気持ちで一杯です。本当にありがとう、みんな。やったぜー」と喜びのコメントを独自のFBで発表している。

(写真)受賞のトロフィーを手にする堀江監督、(写真右)映画「最後の乗客」の米国上映公式ポスター

明日の若き起業家を育てる

ビノベイティブ代表

西本会里子さん

 米国の人々と日本人のコラボレーション機会を作り、アントレプレナーシップと異文化理解の向上に努めている。2000年に米国に移住し、日系企業等での就業を経てコンサルタントとして独立。現在はデザインシンキングを軸としたコンサルティング会社経営に携わる傍ら、ニューヨークで暮らしている。

 日本で大学卒業後、東京のIT系企業に勤務し、システムエンジニアから始まってITビジネスコンサルタントとしてキャリアをスタートした。その後、アップル・ジャパンなどを経て、2000年に来米し、日系商社でプロジェクトマネジャーや社内システムのオペレーションマネジャーとして働き、一貫してIT畑を歩んできた。

  アントレプレナーシップを学ぶため、ボストンのバブソン大学に進学した。MBA就学中にきっかけを得、2014年にNPOビノベイティブを立ち上げ、設立最初に着手したプロジェクトがNASA International Space Apps Challenge (ISAC) のボストン大会のオーガナイズだった。

 NASA(米航空宇宙局)が主催する世界最大のハッカソン(ソフトウェア開発プロジェクトのイベント)で、ボストンからは2014年に初参加し、その後毎年ボストン大会を主催している。このNASAのハッカソンでは、NASAから呈示されるさまざまな問題から自分の関心のある、解決したいチャレンジ(問題)を選び、同じチャレンジに興味のある人でチームを作り、48時間で解決策をつくる。チャレンジは、宇宙に関連するもの、地球や環境問題などと多岐に渡る。世界162か国・323か所から2万8000人以上参加するこの大会では、10のカテゴリーでそれぞれにGlobal Winner(世界優勝)が決まるが、2021年の大会と2022年の大会に2年連続で、ボストン大会を勝ち抜いた日本人の小中高校生のチームが10のうちの「Atr&Technology」カテゴリーで優勝するという快挙を果たした。バブソン大学在学中に「起業家精神」とは「必ずしも起業をすることではなく、自分がやりたいと決めたことを自信と信念を持ってやり遂げる」ことであると気付いたという西本さん。若き起業家精神を育む彼女の取り組みが、明日の日本を担う若者たちの出番を後押しする日は遠くはなさそうだ。

(三浦良一記者、写真・植山慎太郎)

ロケッツも公演

ラジオシティ・ミュージックホール

17日からスタート来年1月1日まで

 ミッドタウン・ウエストにあるラジオシティ・ミュージックホール(6番街49丁目)で上演されるホリデーシーズンの風物詩「クリスマス・スペクタキュラー」が17日(金)からスタートし、煌びやかなステージを2024年1月1日まで繰り広げる。1933年の初演以来続くロケッツの一糸乱れぬ伝統的なラインダンスのほか、サンタクロースやトナカイ、おもちゃの兵隊など、次々と舞台シーンが変わり子供から大人まで楽しめる。上演時間は90分(途中休憩なし)。館内ではこの時期しか手に入らない公式グッズの販売や、ショー終了後はロケッツと一緒に写真を撮れるサービスも行われる。入場料は52ドルから。チケット・詳細はウェブサイトhttps://www.rockettes.com/christmas/

【今週の紙面の主なニュース】(2023年11月11日号)

(1)ここにいた人

(2)NY流のおもてなしにぴったり 

(3)岸田政権の行き詰まり 問題は停滞感

(4)お帰りなさいJET  日本クラブで歓迎会

(5)日本クラブの安陵料理長交通事故で重体

(6)木下NY合同県人会幹事襲われ病院搬送

(7)NYホリデーマーケット

(8)リボンの騎士にあこがれて 石黒かおるさん

(9)吉田実代が惜敗 女子プロボクシング

(10)第15回風の環コンサート トルコ総領事館大感激