ジャパンパレード5月14日開催決定

参加団体を募集中

アートコンテストも開催

 ニューヨークで初となる「ジャパンパレード」の開催が5月14日(土)に正式決定した。セントラルパークウエストの81丁目から68丁目までを南下するルートで、お神輿や太鼓、ダンス、武道、コスプレなど、伝統に加えてモダンな日本の魅力をニューヨーカーにアピールする。ジャパンパレードは2007年以来、5月に行われて来た「ジャパンデー@セントラルパーク」の特別イベントで、今年はセントラルパークでのフェスティバルの代わりにパレードが実施される。

 2022年は、1872年に岩倉具視を特命全権大使とする使節団が米国を訪問してから150周年と日米関係において重要な年にあたり、使節団訪問を契機に同年ニューヨークに日本領事館が設置されるなど、日米関係の深化に繋がっている。また、今年は米国から日本に野球が伝えられて以来150周年という市民レベルでの交流を祝する年でもある。

 現在、ジャパンパレードの参加団体(80〜100団体予定)を広く募集している。日本の文化、伝統、芸術、スポーツ、マーチングバンド、チアリーダー、学校、県人会、同窓会、日米友好団体など、さまざまなジャンルの団体の申し込みを受け付け中(参加申し込み締切は3月4日)。さらに、ジャパンデー恒例の「アートコンテスト」の募集も開始。「日本」「ニューヨーク」「パレード」の3つのテーマを組み合わせたイラストの最優秀作品は、公式プログラム、ポスター、Tシャツなどのメインビジュアルに起用される(応募締切は2月25日)。

 問い合わせはジャパンデー事務局/パレード担当・電話212・398・7145、またはEメールparade@gorgeousentertainment.comまで。詳細はウェブサイトhttps://japandaynyc.org/parade/を参照。

五木寛之は大の車好き

五木寛之・著

幻冬舎・刊

 作家の五木寛之が車好きだとは全く知らずにこの本を読んだ。1970年台半ばくらいから彼の名前を知るようになり、直木賞を受賞した『蒼ざめた馬を見よ』(67年)や吉川英治文学賞を受賞した『青春の門(筑豊篇)』(76年)などからは想像もできない、五木本人の青春と若き日から世に出て有名になるまでのクルマ遍歴が描かれている。

 登場する車は、シムカ1000、アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・スパイダー、ボルボ122S(アマゾン)、BMW2000CSクーペ、シトロエン2CV、ジャガーXJ6、メルセデス・ベンツ300SEL6・3、ポルシェ911S、サーブS。どれも世界の名車と言われる車ばかり。20代に中古で手にしたシムカから物語が始まる。新しい車を買い替えるたびに新しい女性との出会いと別れがある。9人の女性たちを彩る9台の車。運転することの楽しさというものがかつてあった時代。車には顔があり、スタイルがあり、個性があった。車の名前を聞いただけで、そのスタイル、走る姿、聞いたことはなくてもエンジンの音までが想像できた。それを乗ることができた団塊の世代は幸せだったはず。

 放送作家、コピーライター、音楽作家と駆け出しで名前が世に出る前の五木の20代、30代の車と女性とのエピソードが、飾りなく、そして丁寧に語られ、一台一台の車の魅力と、登場する女性たちの魅力的な個性が描かれている。

 しかし、この本が、車を愛する一人の小説家によって自動車マニアのために書かれたものではないことは、読み始めればすぐに分かる。車との出会い、登場する女性たちが時代を映す鏡としての役割を担っている。それにしても本当にこんなに素敵な女性たちとの出会いと別れがあったのか、それぞれの車と女性たちとのドラマに引き込まれていく。表紙、各章の挿絵が安西水丸なのもいい。時系列に乗り継いだ車への愛情表現が散りばめられている。アルファロメオは「中世から一足飛びに現代にやってきたイタリア人。近代的自我の毒から逃れている彼らは、知性なんていうものを、てんで問題にしていない。あくまで本能に忠実に、美とスピードだけを目的に車を作り上げる」と記述する。ドイツ車のBMW2000CSを大切におそるおそる走っている五木に、助手席で車のことなど全く知らない素振りをしていたしとやかでおとなしい貴婦人のようなフォトグラファーの女性が、運転を代わった途端に「彼女の白い手がナイフのように閃くように動き、膝頭が揺れ、エンジンが吠え、ブレーキの焦げる匂いがした。回転計の針が引きつるように跳ね上がるとそのたびに強烈な横Gが僕の体を抑えつけた」。彼女は泊まったホテルの朝、車のフロントウインドウのワイパーの下に白い封筒を残して姿を消していた。置き手紙には「2000CSを大切にし過ぎないでください。バイエルンからきた貴婦人の体の奥に隠されている情熱を、忘れないで欲しいのです」とあった。ああ、美しき女性たちよ、そして美しき車たちよ。車を運転したくなる本だ。   (三浦)

10年間ご支援ありがとうございました

東日本大震災犠牲者追悼式典
TOGETHER FOR 311

 2020年に続き、昨年2021年もコロナ渦により、「10周年こそは教会で皆様と集まって」という願いが叶わず、昨年の第10回TOGETHER FOR 3.11東日本大震災追悼式典は、初のオンライン追悼式ストリーミングを行わせていただきました。ご協力くださった全ての皆様、ご参加くださった全ての皆様に心より感謝申し上げます。

 ニューヨークも予測のできない不安定な状況が続く中、今年、そして今後の追悼式について主催メンバーと真摯に話し合いました。1年をかけて心を砕き考え話し合った結果、この10年間追悼式にご協力ご参加くださった全ての皆様の想いとメッセージが集結した昨年3月に開催した、第10回TOGETHER FOR 3.11東日本大震災オンライン追悼式典にて、私達主催フェローシップでの最終オフィシャル開催とさせていただくことを正式決定いたしました。ここにご報告申し上げます。私たちは、NYは忘れません。10年間本当にありがとうございました。

TOGETHER FOR 311主催代表 AK Akemi Kakihara

主催 Fellowship for Japan一同

第10回式典の動画をご覧になれます

編集後記 1月 29日号

【編集後記】
 みなさん、こんにちは。在米の日本研究者、大学教授、政策決定に携わる実務家などが18日、ジャパン・ソサエティー理事長、ジョシュア・ウォーカー氏の呼びかけでオンライン会議に参加し、日本政府の外国人に対する厳しい入国制限に対し深刻な懸念を表明しました。同日岸田首相に改善の嘆願書を提出、署名は24日現在1180人に達しています。会議に参加したのはスーザン・J・ファー・ハーバード大学エドウイン・O・ライシャワー研究所所長・教授ら知日派の知識人46人。この中で参加者は「日本の現在の水際対策のもとでは、在留資格を持たない外国人は、たとえワクチン接種と検査による陰性証明がなされ、隔離に応じる意思を持ち、その他全ての公衆衛生上必要な手順に従ったとしても、留学、就労、ビジネス、研究活動、家族訪問を含むいかなる目的での入国も認められていない。このような国境閉鎖措置は、国際社会との関係に悪影響を与えて日本の国益を損ない、特に米国人留学生が日本留学を諦め、続々と他国にシフトしている現状は日米関係にとっての大きな打撃と損失である」と述べています。
 嘆願書では、観光目的以外での外国人の入国が認められるよう一刻も早くこの政策を変更するよう求めています。会議ではパンデミック期間中に足止めされている15万人の外国人の大多数はアジアからの留学生で、米国からは年間9000人余りと全体の15分の1以下との指摘がありましたが、今回の会議は、将来の日米関係を担うアメリカ側の人材が減っていくことをアメリカ人自身が懸念して声を上げたところに意味があります。日本は今、オミクロン株でとんでもないコロナ感染拡大の第6波のど真ん中にあり、外国人の入国制限即時解除どころではない状況ですが、取材して気がついたのは、声をあげるのにタイミングなどはいらないということです。言いたいことがあったら言いたい時に言う。遠慮して言わなければそれでいいと思われます。彼らの思いと願いとメッセージがしっかりと日本に伝わればとの願いも込め、今週号で嘆願書の全文を掲載しました。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2022年1月29日号)

(1)日本の外国人入国制限に懸念 岸田首相に嘆願書

(2)STOP しませんよ~ ブライアント公園 BUMPER CAR

(3)アマゾンがJAPAN STORE   ジェトロが支援で限定開設

(4)顔が重なる異次元の入り口 野村康生の作品 NowHere で  

(5)古本さんに在外公館長表彰 日系人の地位向上と日米友好親善

(6)マスク25万枚回収 NY州政府が配布

(7)生き生き EATS  food is 風土

(8)自分だけの音楽性を追求 永井晶子さん NY生活ウーマン

(9)Masha’s ARIGATO. THE JAPAN VOICE

(10)マンガとアニメで繋がる世界 ジャパン・ソサエティー

日本の外国人入国制限に懸念

留学生受入れ岸田首相に嘆願

在米の日本研究者

 在米の日本研究者、大学教授、政策決定に携わる実務家など46人が18日、ジャパン・ソサエティー理事長、ジョシュア・ウォーカー氏の呼びかけでオンライン会議(=写真、参加パネリスト)に参加し、日本政府の外国人に対する厳しい入国制限に対し深刻な懸念を表明した。同日岸田首相に改善の嘆願書を提出した。署名は24日現在1180人。

 この中で、参加者は国際交流の橋渡し役として日本の国内外において国際関係及び次世代の日本専門家育成にこれまでのキャリアを通して取り組んできた立場から「日本の現在の水際対策のもとでは、在留資格を持たない外国人は、たとえワクチン接種と検査による陰性証明がなされ、隔離に応じる意思を持ち、その他全ての公衆衛生上必要な手順に従ったとしても、留学、就労、ビジネス、研究活動、家族訪問を含むいかなる目的での入国も認められていない。このような国境閉鎖措置は、国際社会との関係に悪影響を与えて日本の国益を損ない、特に米国人留学生が日本留学を諦め、続々と他国にシフトしている現状は日米関係にとっての大きな打撃と損失である」と述べている。

 討論会に参加したのは、総合司会にスーザン・J・ファー・ハーバード大学エドウイン・O・ライシャワー研究所所長・教授、フィリップ・リプシー・トロント大学助教授、デービッド・P・ジェーンズ沖縄協会会長、クリスタル・プライヤー・太平洋国際フォーラム副会長(ハワイ)、レオナルド・ショッパ・バージニア大学教授、シェラ・A・スミス・日米友好委員会上席顧問、パトリシア・マクラーレン・テキサス大学教授ほか日本人ジャーナリストなど。

 嘆願書では、観光目的以外での外国人の入国が認められるよう一刻も早くこの政策を変更するよう求めている。会議ではパンデミック期間中におよそ15万人の外国人留学生が足止めを余儀なくされ、日本留学を諦めたり、他国へシフトしている現状が報告された。

米加の日本研究者が日本政府に嘆願書

  日本国 内閣総理大臣 岸田文雄殿

「留学生入国させて」

 私たちは、研究者、大学教員、政策決定に携わる実務家などの立場で、国際交流の橋渡し役として日本の国内外において国際関係及び次世代の日本専門家育成にこれまでのキャリアを通して取り組んできました。この立場から、日本政府の外国人に対する厳しい入国制限に対し深刻な懸念を表明するため、本書簡を提出します。日本の現在の水際対策のもとでは、在留資格を持たない外国人は、たとえワクチン接種と検査による陰性証明がなされ、隔離に応じる意思を持ち、その他全ての公衆衛生上必要な手順に従ったとしても、留学、就労、ビジネス、研究活動、家族訪問を含むいかなる目的での入国も認められていません。このような国境閉鎖措置は、国際社会との関係に悪い影響を与えて日本の国益を毀損しており、観光目的以外での外国人入国が認められるよう一刻も早くこの政策を変更するよう求めます。 

 先日、故エズラ・ヴォーゲル・ハーバード大学名誉教授の追悼イベントが開催されました。ヴォーゲル教授は、日本研究者として、また米国政府の対日政策に影響を与える立場から、数世代に亘り日本専門家の育成や日米関係の発展に尽力されました。ヴォーゲル氏は、人と人との関係を築くことが極めて重要であるということを一貫して強調し、ご自身も生涯キャリアを通して頻繁に日本を訪問されていました。コロナ禍の過去2年間、このような人と人との関係作りは実質的に一時停止となってしまいました。 

 昨秋以来、欧州や韓国には留学できても日本には留学できないため、北米の大学生は留学先を変更するだけではなく専攻や語学の選択も変更し始めました。大学院生の間では日本を研究の一環とすることを諦め、外国人研究者の入国が認められている国の研究に切り替える人たちもいます。いずれも今後の人生を左右する決断であり、長期的な影響が危惧されます。 

 2012年、当時の安倍総理とオバマ大統領は、2国間の学生交流を倍増するという目標に合意し、様々な指標によれば、コロナ禍前の時点で目標はほぼ達成されつつありました。目標達成に向け、日米両国の政府機関や民間団体が多大な資源を投じ、多くの方々

が多大な努力をしてきましたが、日本の国境閉鎖措置によりこれまでの労苦が水泡に帰すのではないかと危惧しています。 

 近年、日本は「自由で開かれたインド太平洋(Free and Open Indo-Pacific)」というビジョンを掲げて国際社会でリーダーシップを発揮してきました。このビジョンの基本理念は「開放性(Openness)」であり、自由貿易や海外直接投資などの経済政策の分野でこの理念を体現する政策を実行することで日本は国際社会に貢献してきました。しかしながら、現行の厳しい国境閉鎖措置はこの外交政策ビジョンに相反するもので、国際社会のリーダーたろうとする日本の国益を損ねかねないと憂慮します。 

自国民を守るという趣旨は理解しますが、日本の現在の政策は公衆衛生ではなく国籍を強調するものです。日本国民は観光目的の海外渡航すら認められているなか、外国籍の人々は日本にいる家族から切り離され、キャリアや留学先といった将来設計の変更を強いられています。 

 私たちは日本が国境を完全に開放すること、外国人に緩い入国条件を設定すること、あるいは観光客に門戸を開くことを唱導しているわけではありません。研究者や留学生は観光客ではありません。日本に関心を持ち、日本を理解しようと努め、日本社会に貢献するために多大な時間と労力を費やしてきた人たちです。今後日本と世界の橋渡し役を務める人たちです。将来、政府の政策決定、ビジネス、教育の場などでリーダーとなる人たちです。日米同盟、そして日本の根本的な国益を支える様々な国際協力活動の基盤となるのは、こういった人たちです。 

 パンデミック発生から2年が経過しました。今後も新たな変異種が定期的に出現することは避けられないでしょう。変異種発生のたびに人と人とのつながりを断ってしまうことは、日本の長期的な国益にとって現実的な戦略とは思えません。この2年間、各国は厳格な国境の出入国管理を導入する一方、安全な入国を可能とするための効果的な入国制限と水際対策を模索してきました。ワクチン接種を義務付けた上での外国人受け入れは、日本の国益にも資すると確信します。将来にわたって日本の国際協力に貢献していく人たちの入国が許可されるよう、日本政府に入国制限と水際対策の早期緩和を強く要望します。 

 本書簡の内容は、日米次世代パブリック・インテレクチュアル・ネットワークプログラムに加え、日米友好基金、日米交流財団の理事一同、国際交流基金の米国側諮問委員会、ジャパン・ソサエティー(NY)、ワシントンDC日米協会を含む団体の支持を得ています。本書簡はEメールにて回覧され、賛同者には自ら名前を追加してもらい、署名を集めました。所属先が記載されていますが、署名者は所属先を代表する立場ではなく、個人の立場で署名しています。

2022年1月18日  署名者一同

(原文まま)

STOP しませんよ〜

Bumper cars

 両手のレバーを操作して回転・前進後進が自由自在にできる氷上バンパーカーにはブレーキがない。大きなチューブがバンパー代わりのクッションでできた車体になっていてあちこちで跳ね返っている。信号もないので暴走車だらけ。「ここでストップサイン出されても止まれませんよ〜だ」。ブライアント公園で平日午後2時から8時、週末は午前11時から午後5時まで。料金は無料だがオンラインでの事前予約が必要。

https://bryantpark.org/programs/frostfest-bumper-cars

(22日、写真・三浦良一)

アマゾンがJAPAN STORE開設

ジェトロが支援

 米テクノロジー企業アマゾン(Amazon)のショッピングサイトで、昨年から新しい特集ページ「ジャパン・ストア」が開設されている。日本貿易振興機構(ジェトロ)とアマゾンによる、日本企業の海外進出を支援するプログラムで、日本各地で生まれる作り手の想いが詰まった日本商品を紹介している。

 カテゴリーは、グローサリー(お茶や醤油など)、ビューティー(スキンケアやヘアケアなど)、キッチン(食器など)、ホーム(お香やハサミなど)、PC&オフィスプロダクト(文房具など)、トイ&ホビー(人形やペット用品など)、ファッション(和服や腹巻きなど)、スポーツ&アウトドア(自転車の部品やアウトドアグッズなど)の8つに分かれてさまざまな製品を販売している。

 ジャパン・ストアは、Amazon.comのトップページや検索結果にストアのバナーや広告が表示されたり、ストアのマーケティングメールが利用者へ配信されるため、露出度が高いという利点があり、アメリカで販売実績のない商品でも集客が見込めるサービスとなっている。出品開始後に効果的なプロモーション方法、日本の商品訴求方法について具体的例を用いて説明するウェ ビナーの実施やニュースレターを配信。 初めてアメリカのアマゾンで販売を開始する企業にはアマゾンの専任担当者がつき、ジャパンストアへの出品決定後、アカウント作成・商品登録、海外送金や海外輸送など日本語でサポートする。2023年3月ごろまで運営予定。

顔が重なる異次元の入口

野村康生の作品NowHereで

 4次元空間を3次元の立体で表現する作品で知られるニューヨーク在住のアーティスト、野村康生が対面式の異次元シェア体験インスタレーションで新たな作品作りに取り組んでいる。ソーホーのギャラリー「NowHere」(ウースター通り40番地、電話917・675・6944)のグループ展「8人の日本人アーティスト」で新作品を発表している。

 コンセプトは「重ね合わせ」。光の作用により、特種な透明版を通して向かい合った人の顔と自分の顔が重なりあう瞬間とその前後の異空間表現を体験できるインスタレーション。

 野村は武蔵野美術大学で油彩を専攻して2004年に卒業、2次元のキャンバスでいかに美しく3次元を描くかという従来のアート表現を模索する中で、現実は2次元がシェアして存在していることに気づき、新しい世界への入り口としての光に交錯による色彩の異現象を体現的なアートでディメンションを扱うことに取り組み始めた。「普段見ている世界を少し拡張した今高次元を体験してもらいたい。将来は宇宙空間の無重力という中でも表現してみたい」と話す。

 キュレーターの戸塚憲太郎さんは「新しさを追求する、他の人がやっていないオリジナリティーを追求するところがアートの面白さだと思うので、その両方を追い続けている野村さんの作品は見応えがある」と話す。展示は2月6日(日)まで。開廊時間は水曜から日曜の午前11時から午後6時。(三)

古本さんを表彰

大使公邸で在外公館長表彰伝達式

 古本不動産代表取締役会長の古本武司さん(77)がニューヨーク総領事の山野内勘二大使から18日夕、大使公邸で在外公館長表彰を受けた。古本氏は、第二次世界大戦中に日系人の強制収容所で生まれ、少年時代を父親の故郷である広島市で過ごし、ベトナム戦争時には米軍兵として出兵した経歴を持つ。退役後、同氏はニュージャージー州フォートリー地区において不動産会社を立ち上げ、以後日系二世の地元の名士として日系人の地位向上のためさまざまな活動を続けている。ニューヨーク広島会会長として、また人権活動家としての各種活動を通じ、ニューヨーク州及びニュージャージー州における日系人社会の地位向上及び日米相互理解の促進、友好親善に寄与したことが功績。 

 表彰式で、古本さんは「今日、この場に両親がいたら、タケシ、お前ようやったなと広島弁で褒めてもらえると思う。父は移民で来米し農業を営んだ。人種差別を乗り越え今日がある。これからも続けて日米の橋渡し、日本歴史博物館にも協力していきたい。オバマ大統領が訪日して広島を訪れたとき、私は広島市内の小学校で平和について講演を頼まれ、児童が発言した『平和というのは大人が考えるほど難しいものではない。隣の友人と仲良くすることが平和だ』と語った言葉が印象的だった。これからもニューヨークから平和の大切さを伝えていきたい」と挨拶した。

(写真)山野内大使(左)から表彰される古本さん。右は妻のキャロルさん

マスク25万枚回収

NY州政府が配布

「有効性に疑問ある」

 ニューヨーク州保健局はこのほど、コロナの感染対策のために学校や図書館などの公共施設に配布した約500万枚のKN95マスクのうち25万枚は「有効性に疑問がある」として、回収すると発表した。回収するのはモンロー郡に配布した18万枚、マディソン郡への3万枚、ナイアガラ郡への3万6000枚。

 KN95マスクは中国が認定している医療用マスクで、米国の基準で認定されているN95同様、コロナウイルスに対し高い遮断性を持っているとされる。CDC(米疾病対策センター)は当初、医療従事者用が不足するとしてN95やKN95マスクの一般人への使用推奨を控えていたが、感染力の強いオミクロン株の蔓延で一般の人にも推奨することを検討している。しかし現在、米国で流通しているKN95は偽物であることが多く、CDCによれば約60%が基準を満たさない不良品だという。

(写真)NY州政府がKN95として配布し、安全性上問題があるとして回収対象となったマスク。透けて見えるほど薄く、形状も本物と異なる。

マスク最強はN95

CDCがガイドラインを刷新
外科手術用やKN95も合格

 米疾病対策センター(CDC)は1月14日、新型コロナウイルス感染対策の一環であるマスクと呼吸器のガイドラインをアップデートし、マスクまたは呼吸器の着用は感染防止の上で非常に重要な役割を果たすことを述べた。加えて、重度の疾患を持っている人や新型コロナウイルス患者の看護をしている人、また混雑した公共交通機関を長時間使用するなど感染リスクが高い状況においては、保護力の高いマスクと呼吸器の着用を推奨している。

 マスクと呼吸器は種類と使い方により保護力のレベルが異なり、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の承認を得たものを、顔に正しくフィットさせて着用すると最高レベルの保護力を発揮する。N95の呼吸器はNIOSHの承認を得ており、正しく着用した場合の保護力は最も高い。

 続いて外科手術用サージカルマスクとKN95、その次に層状の細かく織られた製品。緩く織られた布製品のマスクは最も保護力が小さいとされているが、サージカルマスクの上に着用して保護力を高めることは可能だ。2歳以下の子供にマスク、呼吸器の使用は未だに推奨されていない。マスク、呼吸器の使い方、品質基準等の詳細は次の通り。https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/types-of-masks.html