魅惑のアメリカ旧国道「ルート66」なんでもベスト10

その9:国立・国定公園 前編

  ルート66ファンの皆さん、こんにちは! 寒さに負けずホリデーシーズンを満喫されていますか。先月28日にロックフェラーセンターのクリスマスツリーの点灯式があったと友人のSNS投稿で見ました。筆者もNYを離れて早10年以上経ちますが、毎年季節の風物詩として待ち遠しいですよね。代わって東京は今年は暖冬と今のところ言っても良いのではないでしょうか。米国暮らしの長い筆者は感覚がズレていることは否めませんが、まだコートが不要な12月初旬です。
 さて、今月は2018年最終投稿になりますが、今月より2回に渡って少しだけルート66から離れた話題を「国立・国定公園編」をお届したいと思います。が、このコラムはあくまでも主題はルート66ですので、ルート66を訪れた際に「ちょっと脇道ドライブ」感覚で寄れる場所を厳選しました。国立・国定公園と聞いてもひょっとしたら余り耳にしたこともない所もあるかと思いますがご容赦くださいね。なお、沿線上には等しく公園は存在しないことから、今月来月は東部、西部編でなく、筆者が独断と偏見で選んだベスト10をご紹介していきます。
 まず第10位はいきなりナショナル・ランドマークよりアリゾナ州のバリンジャー・クレーターです。日本ではメテオ・クレーター(アリゾナ大隕石孔)の名称で有名かもしれません。要は隕石が落下した地点なのですが、隕石衝突時からほとんど変わらず残っており、かつ風化されていない場所は世界的にも随一ではないでしょうか。アリゾナ・ルート66の雄であるフラッグスタッフの街からまっすぐ南下した所にあり、衝突時は半径20キロの動植物を一瞬で死滅させたと言われています。クレーターの直径は約1・3キロ、深さは約170メートル、隕石の大きさは直径50メートルぐらいと言われていますが、宇宙的見地に立てば、そんな小さなものがこれだけのものを造りだす自然にはやはりかないませんね。必見です。
 続いて第9位は、カリフォルニア州よりデスバレーです。デスバレー国立公園は、その大部分がカリフォルニア州ですが、一部はネバダ州まで広がっており、総面積は1万3158平方キロメートルもあります。それは長野県とほぼ同じ大きさであり、「全米の国立公園中ナンバー1」という称号を数多くもちます。例えばまずは①この広さ、最大です、そして②過去最も暑い56度を記録、③最も低い所で海抜下86メートル、という最も乾燥した地域ですが、過酷な砂漠環境に適応した多くの種の動植物も生息しており、ビッグホーンやコヨーテも観ることが出来ます。国定公園とされたのが1933年ですが、94年より国立公園へ格上げされ、公園全域が保護対象地区となりました。個人的に好きな場所は標高1669メートルからの絶景、ダンテスビュー、そして筆者の大好きな映画「スター・ウォーズ」のロケ地ともなったサンドデューンでしょうか。比較的暑くない冬場が攻めのタイミングです。
 どんどん行きましょう、お次、第8位はカリフォルニア州よりモハーヴェ砂漠のご紹介です。モハーヴェ砂漠はそう、文字通り砂漠であり、公園というには語弊がありますね。砂漠はカリフォルア州を始め、アリゾナ州、ユタ州、そしてネバダ州にまたがり総面積約3万5000平方キロ(東京都約16個分)におよび前述のデスバレー地域をも含む広大なエリアを含みます。フリーウェイ40号線にそって通るルート66もすっぽりと砂漠地域の中にあり、ニードルスを始め、ゴフ、アンボイ、ルドロウ、そしてバーストウへのカリフォルニア・ルート66のハイライトはすべて「砂漠の中」なのです。その40号線の北側、フリーウェイ15号線との間に広がるモハーヴェ国定保存地域は日本人の間では比較的マイナーですが、自然が造りあげた味のある景観が広がる一見の価値がある場所です。特に砂漠内では「飛行機の墓場」と呼ばれる引退した飛行機が見渡す限り駐機されている光景は圧巻です。
 続いて第7位は、脇道ドライブというには結構な距離がありますが、アリゾナ州のサワロ国立公園です。同州の南部ツーソンという街がゲートウェイですが、ルート66はバイカーが多く、バイクと言えば必ず話題に上るのがそのツーソンよりもっと南へ、メキシコ国境まで後少しの位置にあるビスビーという小街です。サワロとビスビーのパッケージで是非お勧めしたいという勝手な論理ですがご容赦を。サワロ国立公園はツーソンを挟んで東西2か所に存在しますが、一般的に西(ウエスト・サワロ)の方が人気があります。東西合わせて総面積は370平方キロメートルですが、公共交通期間はないので必然的に車での観光になります。公園名は地域原産のサワロサボテンから由来しますが、そのほか3〜4種のサボテンも生息しており、94年に国立公園となりました。しっかり整備されたハイキング道からみえる夕陽の沈む頃の景色は言葉で表現できないほど綺麗です。
 今月の最後、第6位は、ニューメキシコ州よりテントロック国定公園のご紹介。世にも珍しいこの円錐状のテントロックは約600年ほど前に発生した火山爆発により、火山灰、火山砕屑物が熱せられて形成されたとされています。長い年月をかけ風と水により岩が削られ、神は小さな半円上の峡谷を作り出しました。トレイルは1周2・4キロと往復5キロのCave Loop Trail と2コースがありますが、テントロックを間近で見るのなら断然後者です。Land of Enchantment、ニューメキシコ州の異次元の産物です。
それではまた来月お目にかかります!
(後藤敏之、写真も/ルート66協会ジャパン・代表 www.route66.jp