出雲のOKUNI 好演 2人芝居NYで

歌舞伎のルーツをNY舞台で伝える2人芝居23日まで

 ニューヨークで上演されている舞台「OKUNI」(本紙10月26日号既報)が好評だ。現在男性のみで演じられている歌舞伎は、400年前に「出雲の阿国(おくに)」という一人の女性によって創り出された。エミー賞作品賞を受賞した「将軍」で大蓉院/伊予の方を演じたアマテラス座芸術監督のアコ(Ako)が、有吉佐和子の小説『出雲の阿国』にヒントを得て脚本・演出・主演する二人芝居だ。ニューヨークのシアター・ロウ(西42丁目410番地)で現在上演されている。

 日本の歌舞伎がどのように生まれたのか、「数々の識者がさまざまな見解を述べられたものも読み、私の中で、阿国像が少しずつ見えてきました。なぜ男の格好をしたのか、なぜ観客が阿国の踊りを観に来たのか、何が阿国を版画に残される程の人気者にしたのか? 私なりに、阿国がどのように作品を創り出したのかを、見つけました」と言うアコが体当たりの演技を見せている。  

 日本からベテランの俳優木村靖司を招き、田中舘芙未が太鼓と笛をライブ演奏する。主演のアコ(Ako)は東京出身。宝塚歌劇団元メンバーで藤間流紫派の師範名執。エミー賞を受賞した「将軍」で大蓉院/伊予の方として出演。2018年に劇団アマテラス座創立(11面NY生活ウーマン欄)。

 共演する木村靖司は東京出身。舞台、映画、テレビ俳優。1989年から劇団ラッパ屋の一員として活動。「アグリ」、「軍師官兵衛」、などの作品に出演。本作でも見事な演技を見せている。田中舘芙未は音楽アーティストで、ピアノ、日本の打楽器、そして竹笛を得意とする。メトロポリタン美術館、ルービン美術館、東京のスーパー・デラックスなどの会場でパフォーマンスを行った経験がある。上演は23日(土)まで。セリフは日本語で英語字幕。チケット詳細はウェブサイトhttp://www.amaterasuza.org/まで。

宝塚の魂を胸に秘めて米舞台で大活躍

Amaterasuza芸術監督
Akoさん

 日本の歌舞伎がどのようにして生まれたのか、そのルーツをさぐる創作舞台「OKUNI」がタイムズスクエア地区のシアターロー劇場5(西42丁目410番地)で好評上演中だ。主役の阿国(おくに)を演じている。「私が阿国に出会ったのは、数十年前に読んだ有吉佐和子さんの小説です。400年以上前の日本で、現在男性のみで演じられる歌舞伎を創り出したと言われている阿国にずっと興味がありました。私なりに、阿国がどのように作品を創り出したのかを見つけました。あの戦国時代の終焉に向かって流動していた日本で、生き延びた阿国と彼女の創り出した歌舞伎の、今も生き続けるエネルギーを、皆様に少しでも感じて頂ければ幸いです」と話す。舞台は今月23日が最終公演。チケット詳細はウェブサイトhttp://www.amaterasuza.org/

 Akoさんは2年間の宝塚音楽学校を主席で通し卒業、宝塚歌劇団の月組で8年間「夏海陽子」の芸名で「オクラホマ」「ウエストサイド・ストーリー」「嵐が丘」などに出演し新人賞、歌唱賞、演技賞を受賞。テレビではレギュラー「たぬき先生奮戦記」「たぬき先生繁盛記」「別れて生きる時も」、準レギュラー「ぬかるみの女」「水戸黄門」「江戸を斬る」、舞台は「大川橋蔵公演」「高橋英樹公演」「美空ひばり公演」「里見浩太朗公演」「中村鴈治郎公演」などに出演した。1981年にニューヨークへ渡り、リー・ストラスバーグ演劇学校に入学。1985年に「C級横浜裁判」のオーディションに受かり芸名を「AKO」として、アメリカでの演劇活動を始めた。

 映画や米テレビ「ヒマラヤ杉に降る雪」「ノー・リザベーション」「スリープ・ウォーク」「大統領のクリスマスツリー」「I Origin」、「30 Rock」「Mercy, BBC」「プリズナーズ・イン・タイム」などに出演、舞台はオレゴン・シェイクスピア・フェスティバルに3年在籍し、2010年に黒澤明監督の「蜘蛛の巣城」を英語版にリメイクした「Throne of the Blood」で主役の浅茅を演じた。今年公開され、エミー賞を獲得したFX 「SHOGUN」で大蓉院/伊予の方を演じている。18年にNPOの日米両語の劇団「Amaterasu Za」をニューヨークで設立、芸術監督を務める。

 「将来は、長崎で被爆された林京子さんのエッセイをもとに舞踊家の大竹えいこさんが翻訳された一人芝居とアジア人がそれぞれの母国語で演じるマルチ・アジアンマクベスを企画しています」。ますますの活躍が期待される。

 (三浦良一記者、写真も)