共に未来への連帯を確認

NY日商年次晩餐会オンラインで

イノウエさん

故アイリーン・ヒラノ・イノウエさんに特別栄誉賞

 ニューヨーク日本商工会議所(JCCI、中島正樹会頭/米州住友商事会社社長)は6日、オンラインで第36回アニュアル・ディナー・ガラを開催した。日米財界人の交流親睦とビジネス強化を目的として毎年開催されているもので、今年は500人近くのビジネス関係者が参加した。この晩餐会の収益金は慈善基金「JCCファンド」を通じて日米友好理解・教育振興・地域貢献活動などのために幅広く役立てられている。特別栄誉賞は今年4月に亡くなったアイリーン ・ヒラノ・イノウエ元日系アメリカ人博物館創設者に贈られた。同氏は米国ジャパンカウンシルの創設者としても貢献した。

「日本人は良き市民」ヴォーゲル教授
「渡米して世界が広がった」田中投手

  今年のアニュアルディナーのテーマ「共に“未来への連帯”」について中島会頭は「人種、国籍、経済的地位、民族の違いに関わらず、不確実な時代の中で、共通の目標を見つけることに焦点を当てています。実際に顔を合わせることはできませんが、一人一人が思い描く貢献を称え、未来への連帯に向かって上昇していきましょう」と挨拶した。日米および世界の友好と理解に貢献した個人に与えられる日米特別功労賞「イーグル・オン・ザ・ワールド・アウォード」は社会学者のエズラ・ヴォーゲル教授とニューヨーク・ヤンキース投手の田中将大さんが受賞した。ヴォーゲル教授は1979年に『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を出版し、大ベストセラーとなった。

ヴォーゲル教授

 同氏は「本が売れたのは、人々が私の意味を誤解していたからです。本を読んでいない人の殆どが、私は日本経済がアメリカを追い抜いていると言ったと勘違いしました。私は本の中で、日本は非常によくやったと書きました。日本は非常に優れた『組織』を持っていました。戦後の日本経済の高度経済成長の要因を分析し、日本的経営を高く評価しました」また、「80年代に日本人が一生懸命働いてアメリカにしっかりと根を張ったことをくまなく覚えています。アメリカ人は『競争』を懸念しましたが、日本人はアメリカ全土で非常に良い市民となり、良いコミュニティを築きました」と話した。

田中投手

 田中さんは2014年にニューヨーク・ヤンキースに入団、18年にはヤンキース史上初の日本人エース先発投手に選出された。田中さんは「渡米した当初は日本との文化の違いに戸惑いましたが、考え方の違いを学び、新しい変化を楽しみ、世界は広がりました。どんな状況でも、いつもどおりの自分でいることが一番大事だと思っています。(チャリティー活動について)、災害後、時間が経過してしまうとニュースも減り、風化してしまうので、みなさんに思い出していだだけるよう、また、子供たちの活力になるように活動を続けたい」と語った。

(写真)開会の挨拶をする中島JCCI会頭