特殊詐欺被害が急増、銀行や警察装う手口

NY近郊日本人の深刻な事件相次ぐ

在NY日本総領事館が在留邦人に注意呼びかけ


 ニューヨーク日本総領事館はこのほど、銀行職員や警察官などを装った電話詐欺(特殊詐欺)に関する注意喚起を行った。同総領事館が注意喚起をするのは6月以降2度目で異例。中にはスカイプを接続させて半年間監視された脅迫事例や10万ドル近い金額を騙し取られた在留邦人もいたという。電話の話を聞いただけでは詐欺か深刻な事件に本当に自分が巻き込まれているのかが判断できないほど手口が巧妙だ。知らない相手からの電話はまず詐欺と疑ってかかるほうが懸命といえるような深刻な実態が明らかになった。

重要な知らせは電話では来ない

 これまでの事案においては、電話番号の表示についても、実際に存在する警察署の電話番号を偽装表示させるなど、犯罪の手口は益々巧妙になってきている。ニューヨーク市警察(NYPD)によると、詐欺グループはターゲットを絞らずランダムに電話を掛けているケースが大半であるとし、中にはSNSを利用し特定の人物の個人情報を調べた上で電話を掛けているケースも報告されている。また、被害者は人種に関係がないものの、英語があまり得意でない(言い返せない)人が狙われる傾向があるとしている。

 在留邦人は特殊詐欺の被害が増えている現状を認識し、手口の特徴をしっかり把握し被害に遭わないよう十分に注意する。今回報告のあったケースでは、被害者から相手に「総領事館に相談したい」と伝えたところ、「総領事館は犯罪者から賄賂を受け取っているため、総領事館に連絡するのは犯罪者の思う壺だ」などとして、同館への相談をも妨げるような説明をしていたという。日本の公的機関が犯罪に加担することはあり得ないので、絶対に信用せず、総領事館に相談する。 被害に遭わないための重要なポイントは次のとおり。

●警察を含めた捜査機関は、電話でお金の話をすることは絶対にない。

●同機関は、口座番号を尋ねることは絶対にない。

●同機関は、スカイプ等のビデオ通話をすることは絶対にない。

●同機関は、電話で「あなたの口座は犯罪者に利用された」「あなたの口座はテロリストによって使用された」等を言うことは絶対にない。

●相手からお金の話を持ちかけられた場合や、「あなたの口座が犯罪に利用された」「あなたの口座がテロリストに利用された」「必要なお金を支払わなければ、あなたの口座は凍結される」などと言われた場合には、「詐欺」であると確信し、相手に対し、「容疑がかけられているのであれば、まず私の弁護士と話してください」などと伝え、通話を切る。もし相手から弁護士の氏名等を尋ねられたら「You figure it out.」(自分で考えてください)などと伝えて通話を切るようにする。

●外国にいることを常に意識し、電話がかかってきても常に警戒する。

●特殊詐欺被害についての詳細はウェブサイトhttps://www.ny.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00921.html を参照する。