視野を広げ故郷と日本に貢献、新潟県南魚沼市から中高生16人が来米

ワシントンDCとNYを訪問

 新潟県南魚沼市の中学生と高校生合わせて16人がワシントンDCとニューヨークを訪問し、ホームステイなども含め7月30日から8月6日まで来米した。一行には岡村秀康南魚沼市教育長はじめ、市役所職員が同行し、ワシントンDCでホワイトハウスやリンカーン記念堂、アーリントン墓地、スミソニアン国立自然博物館などを見学した。

 ニューヨークではグラウンドゼロとメモリアル博物館を見学し、森美樹夫ニューヨーク総領事大使を公邸に訪ねたほか、国連日本政府代表部では山﨑和之国連大使から国連での仕事や世界情勢のなかでの日本の役割などの話を聞いた。

(写真上)グラウンドゼロを訪問した生徒たち(8月2日、撮影・三浦良一)

 ツアー後半の週末は、自由の女神島上陸、最終日は分散してニューヨーク新潟県人会が迎えるホストファミリー宅に宿泊するなど盛りだくさんの1週間の滞在となった。主催は南魚沼市で、応募作文で選抜された中学生は12人と高校生4人が参加した。

 この新潟県の生徒たちをアメリカに招くきっかけとなったのは、ニューヨーク新潟県人会の会長で南魚沼市出身の大坪賢次さん(不動産会社社長)の発案から。一昨年亡くなった大坪会長の妻、理恵さんがパンデミック前から「故郷が発展するには人材の育成が大切で、それにはまだ進路を決めていない中学生の時が良いと思う」との夢を叶えたいとニューヨークから故郷新潟に何度も足を運んで実現に漕ぎ着けたものだ。

 一行は2日午前11時からNY総領事の森美樹夫大使主催の歓迎意見交換会に出席するため、総領事公邸を訪れた。森大使は、前日まで一行が訪問したワシントンDCが政治の中心なら、ニューヨークは、経済、メディア、文化の中心であると述べ、日米関係をより緊密にし、在留邦人が安全に生活できる支援をするという総領事館の仕事を説明した。「当地で生活する日系人、日本人が自分の故郷とのつながりを大切にしていることを感じる。海外への興味をこれからも持ち続け、故郷や母国のことを語ることができるのは大きな資産になります」と激励した。生徒を代表して若井茉那珂さん(長岡高校、17)が「今まであまり知ることができなかった総領事館の仕事をクイズ方式で学び、ニューヨークの中で日本の存在感がこんなにあることを知り、日本人として誇りに感じました」とお礼の挨拶をした。

 同日午後4時、日本政府国連代表部に山﨑和之大使を表敬訪問した。山﨑大使は、日本政府代表部の仕事について「ターゲットはアメリカではなく国連」と述べ、何かを決める時に会議場で発言するまでの「裏番組」の根回しが重要な仕事だとして「世界は東京やニューヨークみたいなところではなく、国際社会は善意や道理だけで動いていないという残念な現実のなかで、発展途上国と先進国との格差の広がりを是正していけるかが人類に与えられた課題」と国際情勢と日本の役割を語った。生徒から「一国民としてできることがあったら教えて欲しい」という質問に山﨑大使は「自分がやってみて、他の人と比べてうまくできることを見つけたらその分野で努力するといい。自分が得意なことで社会に必要なことで頑張ってもらいたい。大勢の前で自分の言いたいことは積極的に言えるようにしておいた方がいい。失敗を恐れず、失敗から成功が生まれる確率を上げていくことができる」などとアドバイスした。

森美樹夫NY総領事を大使公邸に表敬訪問(2日午前)

 3日は、NY新潟県人会の会員がホストファミリーとなって来米した生徒たちをホームステイに一晩招いた。同日昼にはNY市内のエンパイアステーキハウスで県人会による歓迎会が開かれ、大滝哲生県人会役員の司会で、大坪賢次会長が歓迎の挨拶、岡村秀康南魚沼市教育長がお礼の挨拶を述べた。来賓として三浦聡ジェトロNY事務所長、遠藤彰NY総領事館首席領事が祝辞を述べた。ホストファミリーを代表して渡邊智世子さんが歓迎の挨拶、高橋啓NY新潟県人会副会長が閉会の辞を述べ、生徒たちはそれぞれホストファミリーの家庭に向かった。

山﨑和之国連大使を日本政府代表部に表敬訪問(2日午後)

南魚沼市長 林茂男
国際感覚あふれる人に成長を

 昨年に引き続き、南魚沼市中学生高校生海外派遣研修事業を実施できましたことをとても嬉しく感じております。実施にあたり、ニューヨーク新潟県人会大坪賢次会長の多大なるご尽力を賜りましたことに深く敬意を表する次第であります。

生徒たちは多様な文化や歴史に触れ、また国連日本政府代表部、在ニューヨーク日本国総領事館公邸への訪問という貴重な経験により大きな学びを得ました。その目に映し出された広い世界と新しい視点を生かし、国際感覚あふれる人として成長してくれるものと期待しております。

 今回お世話になった皆様の温かいご支援とご協力に心から感謝申し上げます。

南魚沼市教育長 岡村秀康
生涯忘れることのない貴重な経験

 今年も南魚沼市の中高生がニューヨークを訪問し、生涯忘れられない経験をすることができました。派遣生にとって、ニューヨークは想像を遥かに超えた魅力的でエネルギーに満ちた街でした。そこで活躍する方々との出会い・交流は極めて有意義で、国際的な視野をもつための素晴らしい発見と感動を得ることができました。

 これもひとえに、ニューヨーク新潟県人会長大坪賢次様の多大なご尽力とホストファミリーの皆様をはじめ多くの方々のご協力の賜物です。心から感謝申し上げます。今後もニューヨーク在住の皆様方と南魚沼市との交流が大きく広がることを楽しみにしております。

NY新潟県人会が歓迎会を開催(3日午後)

NY新潟県人会会長 大坪賢次
派遣生徒は新潟県の財産

 南魚沼市によるアメリカへの生徒派遣が昨年夏に始まった。事前に行った打ち合わせ会では、生徒は全員未知の世界に対する不安と共に期待に目を光らせていた。帰国後の報告会では将来留学したい、外交官になりたい、国際社会に貢献出来る人間になりたいという生徒が続出した。派遣生徒の中から1人でも故郷新潟で活躍してくれたら、この派遣事業の意義が有る。新潟県でもこれからは必然的に国際感覚を持った人間が必要になる。この生徒派遣は南魚沼市のみならず新潟県全体の活性化に必ずや大きな貢献をもたらす。林茂男南魚沼市長がこのプロジェクト実現してくれた事に対して深く感謝したい。