9万人がNY市に流入
ホテル満室で野宿も
「移民が屋外で寝るのはもう部屋がないから」とアダムス市長が7月31日の記者会見で同市の移民受け入れ政策が苦境に立たされていることを明らかにした。
問題は、シェルターが不足していることであり、市と協力してその対応に当たっている業者が悪い訳ではないと批判をかわした。市長は、ルーズベルト・ホテルの外での光景が今後、普通に見られる一般的な光景となり、他のシェルターや一時滞在施設として市が借りあげているホテルに波及する可能性があると述べた。(写真:移民一時滞在施設のルーズベルトホテル前では野宿者が続出(1日午前10時、写真・三浦良一))
アダムス政権が南部国境からの9万人の移民流入への対応に苦慮するが「NY市は、すべての通りにテントが立ち並ぶような他の都市のようにはならない」とも断言した。
同記者会見は、前日にニューヨークタイムズ紙が、移民危機を支援するために市が医療サービス会社DocGoに4億3200万ドルの業務を入札なしで契約した記事が報道された翌日に行われた。DocGoは、何百人もの亡命希望者を州北部のオルバニーなどの都市にバスで運んでいるが、そこにいる移民の多くは、惑わされ、見捨てられたと感じ、DocGoが雇った地元の警備員が何度も彼らを脅したと報じられている。
市内ミッドタウンのグランドセントラル駅に近い45丁目のルーズベルトホテルは客室数1000室の日本人旅行者にもお馴染みの老舗ホテルで、市長が今年5月に移民到着センターとしての役割を果たすと発表するまで、パンデミックで3年近く閉鎖されていた。
市当局によれば、DocGoのスタッフが入国手続きを手伝い、医療サービスを提供するという。アダムズ市長は月曜の記者会見で、DocGoはパンデミックと移民危機に対応し、良い仕事をしてきたと擁護した。アダムス市長は、DocGo社に信頼を寄せていると述べるとともに、いかなる欠陥も是正することを誓った。
同ホテルにすでに部屋をあてがわれて一時滞在している幸運な移民たちは、日銭を稼ぐために自前でスクーターを調達して、ウーバーイーツなどの出前サービスのアルバイトを始めており、ホテル前はさながらオートバイ販売店のようにバイクがずらり並んでいる。