不法移民NYに押し付け

 国境隣接のテキサス州とアリゾナ州

バスで6000人続々到着

 メキシコと国境を接するテキサス州とアリゾナ州がニューヨーク市に不法移民をバスで送りはじめ、市が対応に追われている。

 テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は、移民政策に寛容なバイデン政権を批判する意図で、今年4月よりワシントンDCに不法移民をバスで移送し始めた。アリゾナ州のダグ・デューシー知事(共和党)も同調し移送を開始、合わせた数は7月末までに7000人を超えている。DCでは対応しきれないため移民受け入れに前向きなニューヨーク市に再移送、7月末までに4000人ほどが同市に到着し保護された。

 テキサス州は8月5日からは直接ニューヨーク市に移民を送り始めた。バスターミナルのポートオーソリティーには連日のように移民を乗せたバスが到着。この3か月で約6000人の亡命希望者が来たと推定されている。NY市の移民局によると、亡命を求めている移民はメキシコ、ペルー、エクアドル、ベネズエラ、コロンビア、ニカラグア、ホンジュラスなど。

移民の子1000人を

新学期に受け入れ準備

 アダムスNY市長(民主党)は「ニューヨークは移民の街であり、常に新しい移民を歓迎する」と表明し、保護施設を増やすと当時にバイデン政権に連邦からの支援を求めている。市の法律では避難所を必要とするすべての人に避難所を提供することが義務付けられている。市教育局は9月8日からの新学期に向け、移民の子供約1000人の受け入れを準備している。

 アボット知事は、不法移民の即時送還措置を廃止する方向を打ち出すなど移民政策に寛容な民主党バイデン政権を批判、今後も移民をバスで送り続けるとしている。移民政策は11月の中間選挙における共和党と民主党の争点ともなりそうだ。トランプ前政権時には厳しい移民政策が取られ、移民(永住)にかかわらずビジネスなどの商用ビザにも深刻な影響を及ぼしただけに、バイデン現民主党政権が規制緩和を進めているが、国境隣接州ではその皺寄せがきた格好だ。