NY日本ギャラリーで展示と講演会
「世界を席巻、日本のアニメ」と題した展覧会が7日から今月26日(水)まで、日本ギャラリー(西57丁目145番地、日本クラブ7階)で開催されている。
日本のアニメが、いかに現代アメリカのアーティストたちに影響を与え、ファインアートやエンターテイメントという垣根を超えて華々しい世界を繰り広げているかを紹介している。出展作家は、ダニエル・フィッシュキン、大塚弘樹、ジェシカ・ブルーノ(ルナ)、ジューン・キム、久木田成樹、リチャード・フォード3世、ドラゴン76、ライナー・ハイドン。
オープニングレセプションが7日夕開催された。英語でマンガが読める新しい定額制アプリ「Azuki」の共同設立者で、ライセンスおよびマーケティング・ディレクターを務めるエヴァン・ミント氏が、日本のアニメやマンガが海外のニッチな娯楽カテゴリーから大人気の文化現象へと変貌を遂げた経緯や、現代アメリカのポップカルチャーに与えた影響について解説した。ミント氏は、日本アニメの創世記の作品やアストロボーイの名前で全米で放映された鉄腕アトムの作品などを紹介しながら、現代に至る日本の漫画、アニメについて語った。米国では1980年代初めにロサンゼルスの日本漫画愛好家たちで作られたカートゥーン・ファンタジー・オーガニゼーションの創成期の活動や、サンディエゴで始まったコミックコンベンションのその後の爆発的な発展ぶり、アメリカで発行される書籍の収益の4割が漫画で占められている現状などを解説した。
展示作家は、キュレーターの佐藤恭子さんが独創的な活動をする若き才能の作家8人を選び、作者がそれぞれ自己紹介して作品を語った。ドラゴン76 は滋賀県出身、大阪芸術大学附属大阪美術専門学校卒。主に壁画やライブペインティングや個展の開催等の活動を行っている。2016年からは拠点をニューヨークに移し活動中。 リチャード・フォード3世はイースト・ビレッジの日本酒バー「でしべる」の和服ギャルを描いた人物。大塚弘樹は「バックステージ・イン・ニューヨーク」、「自由な女神」を発表。韓国系のジューン・キムは、花咲アキラ作画の「美味しんぼ」に触発されたフード漫画を描く。ジェシカ・ルナは、イタリア人イラストレーター。作品は今敏(こん・さとし、1963〜2010)のエモーショナルなシーンと「おジャ魔女どれみ」などキュートな要素をミックスした作品を発表。久木田成樹は、アジア人として西欧スタイルの画風に日本的タッチを取り入れた。ライナー・ハイドンはドイツ人で、奈良美智とポケモンを足して2で割ったような油絵を展示した。ダニエル・フィッシュキンは、ダクソフォンという前衛的な音楽を奏でる古典楽器を演奏して披露した。会場で講演を聞いていた日本人アーティストの野田正明さんは佐藤さんのチョイスに「日本の漫画に影響された新しい若き世代のアメリカの作家の台頭を感じさせてとても新鮮だ」と評した。詳細は日本クラブWEBギャラリーhttps://nippongallery.nipponclub.org/を参照。オンラインでは7月20日(木)から8月8日(火)まで公開される。