ルーズベルト像撤去へ

支配の構図
歴史観に幕

 アメリカ自然史博物館はこのほど、セントラルパーク・ウエストに面した正面玄関前に建つセオドア・ルーズベルト像を撤去する意向をニューヨーク市当局に伝え、6月21日承認された。

 市が所有するこのルーズベルト像は、馬に乗った第26代大統領が両脇にネイティブ・アメリカンと黒人の戦士を両脇に従えている。ビル・デブラシオ市長は声明で「この像は黒人と先住民が確かに虐げられ、人種的に劣った存在であることを描写している。同博物館の適格適時の決断だ」と伝えている。

 反人種差別主義派が同像撤去に賛同する一方で、28日、ドナルド・トランプ大統領のTシャツを着たNY共和党クラブのメンバー約100人が集合し、同像の維持を訴えた。

 NY市と同博物館は2017年から同像の撤去を検討し始め、昨年は像の歴史を解説する特別展「アドレッシング・ザ・スタチュー」を開催し、来館者にこの像と歴史に何を感じるかを問うていた。

 像を遠くから眺めていたNY市民のリチャード・ブラックウエルさん(74)は「彫刻作品としてはとても素晴らしい出来栄えだと思う。歴史上の認識の描写表現が、後世の時代の価値観によって塗り替られていくことに一抹の疑問を感じないこともない」と話した。

(6月27日、三浦良一撮影)