医学研究者伊藤さんに奨学金
ニューヨーク野口英世記念会(略称HNMS、本間俊一代表)は、5月21日、ニューヨーク市ブロンクスのウッドローン墓地で94回忌野口英世墓参会と第4回ニューヨーク野口英世記念奨学金授与式を開催した。
式典は午後4時から加納良雄副代表の司会で始まり、主賓として松本太在ニューヨーク日本総領事館・首席領事、ジェームス・ガーランド・ウッドローン墓地代表、ティモシー・オコーナー・ロックフェラー大学副学長、本間俊一HNMS代表、ロバート柳澤米国日本人医師会会長、竹田小夜子NY福島県人会会長らが挨拶した。
式典のハイライトとして、遠く福島県猪苗代の野口英世記念会竹田美文理事長からのメッセージが披露された。この日、野口博士が黄熱病ワクチン開発のためにニューヨークから単身アフリカに渡り、開発研究途上、自ら罹患して1928年に命を落とした国として博士に深い所縁のあるガーナ共和国国連代表部フェリックス・ニャコ領事が、ガーナとして初めて野口英世の墓を訪れ式典に参列した。
野口の死後、遺体は、ロックフェラー研究所が当時38回も米国政府に嘆願してガーナから米国に戻すことが許可され、棺は石で覆われ一度も開けられることなくこのウッドローン墓地に運ばれ墓碑直下1・8メートルの地中に埋葬された。
この日会場では第4回ニューヨーク野口英世記念奨学金授与式が行われ、米国メリーランド州生まれの東京育ちで、東京大学医科学研究所で博士号を取得し、2014年からニューヨークのロックフェラー大学院で研究を続ける日本人研究者、伊藤慶一さん(37)に奨学金2000ドルが贈られた。
伊藤さんは、大学時代はサッカー部に所属し、将来はスポーツドクターを希望していたそうだが、大学の研究室で生命科学の基礎研究のロックフェラー研究所のロバート・レーダー博士の影響を受け、現在は脂肪組織および骨格筋組織の機能を司る遺伝子発現制御機構を明らかにすることで生体のエネルギー代謝をコントロールするメカニズムの研究に打ち込んでいる。コロナ禍で肥満などの体質も重症化になることもあるため「脂肪組織の研究を野口英世ゆかりの研究所で続けて医学に貢献していきたい」と語った。当日は妻の田島陽子さんと奨学金授与式に列席し、来場者から祝福を受けた。
(写真)左から竹田NY福島県人会会長、柳澤米国日本人医師会会長、伊藤さん、ニャコ・ガーナ国連代表部領事、本間代表、加納副代表、松本首席領事