和菓子の心 三堀さんNYで実演披露

 アジアソサエティーで10日夕、和菓子を紹介するイベントが開催された。神奈川県横須賀市の製菓店「和菓子司いづみや」三代目当主で、自らを「菓道家」と名乗る三堀純一さんによる和菓子づくりの実演が行われた。三堀さんは、和菓子をつくる所作をアートとして発展させ、茶道や華道のように世界観や精神を感じてもらおうとオーストラリア・シドニーのオペラハウスなど海外を拠点に活動し、高い評価を受けている。 ニューヨーク総領事の山野内勘二大使が祝辞を述べ、和菓子は「静寂ともてなしの心」と説明、新元号「令和」の意味する美しいハーモニーに通じると紹介した。
 デモンストレーションで、ねりきりに繊細な模様を付けて行く様子が大画面のスクリーンに映し出されると会場の観衆の目が釘付けになった。実演後の質議応答で、三堀さんがなぜ日本国外に和菓子を紹介する活動を続けているかという質問に対し、「日本の子供たちは、和菓子よりもチョコレートやケーキのような洋菓子ばかりを食べている。浮世絵や酒、茶道のように海外からの逆輸入文化として和菓子を日本に紹介することで、最終的には日本の美しさを日本の子供に伝えたいという気持ちがあるからだ」と答えた。
 また、SNSで現在6個を駆使して和菓子の魅力を発信しているが、「今は作品よりも、キャプションが大切だと思っている。テクノロジーにはできないフィロソフィーだなと。そのうち、3Dプリンターで同じ形のものは短時間で何百も作りだせるようになるだろうが、大切なのはそれを作る心だ。AI(人工知能)には作り出すことのできない『僕にしか生み出すことのできない美味しい』を生み出していきたい」と講演を締めくくると、会場から大きな拍手が沸いた。
 実演講演のあと、レセプションがホールで行われ、作り立ての水羊羹とお茶が振る舞われた。会場では、キモノハウスの皆さんが着物姿で来場者をもてなして美しい華を添えた。