ジャパン・パレード、NYで盛大に開催

アダムスNY市長、日系祭典に初登場

ニューヨークに感謝の気持ちの表明と、日本文化の紹介、そして日系社会の連帯を目的に13日、マンハッタンのセントラルパークウエストでジャパン・パレード(大会名誉会長・森美樹夫NY総領事・大使)が盛大に開催された。81丁目から67丁目まで日系98団体約2500人が着物姿や神輿で行進し、沿道を埋めたニューヨーク市民約5万人(NYPD調べ)が大きな声援と拍手を送った。

 パレードのグランドマーシャルとして1992年の冬季五輪フィギュア女子金メダリストの日系米国人アスリート、クリスティ・ヤマグチさんが先頭のオープンカーから手を振った。

 また今年のパレードには、同目的で2007年開始のジャパンデー@セントラルパーク以来16年間の歴代市長としては初めてエリック・アダムス市長がオープニング式典に出席し「ニューヨーク市は誰にとっても住みやすい街であり続ける」とスピーチ、魚返大輔大会実行委員長(米国東京海上社長)にNY市からのの感謝状を贈り、日の丸の小旗を振ってスタートから終点まで一緒に行進した。

(写真上)花笠音頭でパレードを盛り上げる民舞座・花笠会の踊り。民舞座は今年結成30周年を迎える(写真・本紙三浦良一)

NARUTOが来米、ライブスペクタクル

 パレードには、日本からのスペシャルゲストとして、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト」を迎えた。同作品はアニメを原作にした2015年3月初演の舞台化作品で、当日はうずまきナルト(中尾暢樹)、春野サクラ(伊藤優衣)、はたけカカシ(君沢ユウキ)が登場した。メインスタンド前でフロートを降りたナルトは、レッドカーペットの上で今回1回限りの特別格闘アクションパフォーマンスを披露して沿道のファンから大歓声を受けた。

 うずまきナルトの中尾さんは「ニューヨークの皆さんが、ナルトのことをすっごく好きだなという気持ちが伝わってきたので、僕たちも熱くなってアクションもとても楽しくできました。本当に愛を感じました」と話し、世界中で人気の理由については「忍者とか、勇気とか、汗とか正義とか日本がすべて詰まっているとことがウケているのだと思う」と答えた。またニューヨークの日本人のパワーについてはたけカカシ役の君沢さんは「ここで見るとすごいパワーですよね、皆さんの顔を見て安心しました。こんなに多くの日本の人たちがいるのでびっくりしました」と感想を述べていた。

昨年以上の人出、日本の頑張る姿PR

オープンカーから手を振る森大使

  森大使はパレード後、次のように語った。「沿道のお客さんが去年にもまして多くなっていてすごく嬉しい。これだけ多くの人たちに日本の文化、日本のもの、日本の人たちを見に来てもらえてとても幸せだ。パレードは、個人的には毎年というよりしょっちゅうあってもいいかと思うが、いろんな組織をどう組み立てるのか、資金をどう集めるのかといったことや皆さんに支えていただいて実現しているものなので、今後の在り方については虚心坦懐に考えたい。ニューヨークの人たちに日本文化をみてもらえただけでなく日本の方々にも日本がこれだけ頑張っているんだよということを伝えていきたい。

 ストリートフェアもこれだけ多くの人に来てもらえたことは大変素晴らしいことだ。コロナ後の地方の国際交流の促進と活性化から、地方色を全面に出したフードを出し、東京、大阪、京都だけではない日本の地方の魅力をもっと知ってもらい、認知度を高めたいという意味で地方をテーマにしたフードフェアにした。

 日本の存在感を高めるという意味では、具体的に日本の心配りや気配り、細やかさや丁寧な仕事は目立たない特徴なので、ともすれば、アメリカの人たちには、それが当たり前だと思われる。日本人というおとなしい人たちがいて、ああそうですかで終わってしまうので、そこに止まらず、日本人、日本企業がこういうものを作ってきて、あなたたちにもベネフィットがあるんだよ、これだけ社会に溶け込んでいるんだよと日本の良さに気づいてもらいたい。ニューヨークでジャパンパレードをしたことで、こういった試みが、アメリカ全土に広がり、アメリカ人だけでなく日本人、日系人の励みになるようになれば望外の喜びだ」

ニューヨーカーの声、I JAPAN
日本文化に感動、フードも楽しむ

鼓舞のダイナミックな演奏(写真上)と慶応義塾NY学院(高等部)のチアリーダーたち(同右)

 13日、午後1時からセントラル・パークで行われたジャパンパレードには、日米交流のさらなる促進と日系コミュニティの強化を図りつつ、ニューヨークに感謝の意を表し、未来世代へと交友のバトンをつないでいくことを目的とし、今年も90を超える団体によるパレードや日本食を楽しみに多くの観客が集まった。

 当日は天候もよく、お神輿や和太鼓、武道などの披露に、日本食やヨーヨー風船を片手に歩く人々がまるで日本の夏祭りのような雰囲気を醸し出していた。NYでITマネージャーとして働くアレックス・コロンさん(44)は、フェイスブックでジャパン・パレードについて知り、クリスティ・ヤマグチ氏を一目見ようと訪れていた。カレーライスやから揚げを楽しんで、着物や浴衣等の日本の文化的な衣装に感動したという。また、ベビーシッターとして働くレティーナ・シルバさん(28)は、「このイベントは、とても素晴らしい!」と笑顔で語った。ドラえもんなど日本のアニメやすしに手巻き、麺などの日本食になじみがあり、かねてから日本文化に興味を持っていたというシルバさんは、特に日本の美しさの感覚は魅力的だといい、パレード参加者の舞いや音楽が好きだと話した。ジャマール・シンクレアさん(30)は、大人気アニメ「鬼滅の刃」の主人公、竈門炭治郎のコスプレで観覧し、「最高のイベントだ」と話した。特に日本のラーメンが好きでブルックリンのジャパンビレッジに頻繁に足を運ぶシンクレアさんは、ウェブサイトでジャパン・パレードを知り日本文化を楽しみに来たという。人々の注目を集めながら、パレード参加者の楽しむ姿をみていると元気が出ると話していた。

本紙取材班:ペン・中村恵理、写真・植山慎太郎、三浦良一