盗品の対戦車砲を薬物で購入
マンハッタン
アフガニスタンの米軍基地から盗まれたと思われる地対空ミサイルなどの武器を薬物と引き換えに購入しようとした疑いで、日本国籍のエビサワ・タケシ容疑者(57)ら3人が4日、タイ国籍のソンホップ・シンガハシリ容疑者(58)が5日、マンハッタンで逮捕された。マンハッタン連邦地方裁判所が7日、明らかにした。
連邦司法省ニューヨーク南部地区の声明によれば、エビサワ容疑者は「ヤクザとしても知られる日本の多国籍組織犯罪シンジケートのリーダー」で、日本、タイ、ミャンマー、スリランカ、そして米国を結ぶ麻薬および武器取引ネットワークに関わっているとして、2019年から米麻薬取締局(DEA)の捜査対象となっていた。
昨年2月、デンマークのコペンハーゲンに渡航したエビサワ容疑者に覆面捜査官が接触し、アフガニスタンの米軍基地から盗まれた兵器を購入する計画を立てていることを突き止めた。エビサワ容疑者は仲買人として、ミャンマーの複数の反政府武装民族グループに、携帯型M-72軽量対戦車ロケットランチャー、M-60機関銃10丁、全自動小銃10丁などを送る予定だったという。
この支払いの一部として計画されたのが大量の薬物で、エビサワ容疑者はタイ国籍のソンホップ・シンガハシリ容疑者(58)とともに、ニューヨークでメタンフェタミン500キログラムとヘロイン500キログラムの麻薬を販売しようとした。
覆面捜査官が昨年6月と9月にエビサワらに接触したところ、シンガハシリ容疑者は米と麺の箱に入れて麻薬を密輸したと覆面捜査官に語り、見本として麻薬の一部を提供した。
ほかに逮捕されたのは、タイと米国籍両方を持つ国スクサン・ジュラナン(53)とタイ国籍のソンパック・ルクラサラニー(55)。兵器は竹、メタンフェタミンとヘロインにはアイスクリームとケーキという暗号を使っていた。エビサワ容疑者はマネーロンダリングの容疑でも逮捕された。麻薬輸入や武器所有の陰謀などにより、4人は最高で終身刑の可能性がある。
NYポストやNBCニュースなど米国メディアはエビサワ容疑者を「ヤクザのボス」として報じた。
(写真)兵器を構える海老沢容疑者(写真・米司法省提供)