性的トラブル続出
NY日系人会ビジネスウーマンの会
NY日系人会ビジネスウーマンの会(石田圭子会長)とヒューマンライツナウ共催の講演会「変われるのか?日本社会の女性への人権意識」が3月12日夕、NY日系人会ホールで開催された。
(写真上)日本における性差別や被害状況を女性の人権の立場から語る3講師




元タレントの中居正広氏とフジテレビ女性アナウンサーとの性的トラブル問題からテレビ業界で働く女性が「性的対象」として扱われ、人権意識の欠如が浮き彫りになっている中で、女性を取り巻く日本の現状を人権問題、刑法などに詳しい3人の専門家が解説した。講師は、伊藤和子氏(ヒューマンライツナウ副理事長・ミモザの森法律事務所)、後藤弘子氏(千葉大学理事・副学長)、三浦まり氏(上智大学教授)。モデレーターは日本とカリフォルニア州、ニューヨーク州の弁護士資格を持つ小林陽子氏が務めた。
後藤氏は「性を蹂躙(じゅうりん)されないことが基本的人権だ」と述べて「同意のない性交渉は許されない」と語った。伊藤弁護士は、「2023年に刑法が改正されたことは大きな前進」と述べ「これまで司法から排除されてきた被害が、法的救済と処罰の射程範囲に位置付けられた意義は大きい」と語った。また、ジャニーズ問題を受けてテレビ局は横並びで人権方針を採択したが、その実施体制やプロセスが不明で、何をやったのかが明らかにされておらず「絵に描いた餅で人権ウォッシュだ」と非難した。
三浦氏はハラスメントと言動の典型例を紹介。また日本における限定された避妊・中絶手段にも触れ、薬局などで緊急避妊ピルが入手できないため、夜間の病院拠点型のワンストップセンターの主要な仕事になっている。経口中絶は認可されたが日本では入院が必要で薬の価格も手術と変わらず女性にとってアクセスしやすい手段でないことなどを指摘。「派遣先の米国の大学の女性トイレには緊急避妊ピルが山積みに置かれていて日米の差を感じた」と報告した。日本における緊急避妊ピルの入手ハードルが高い理由に賛否両論があるなかでも基本的には被害者救済を優先すべきとの考えが高まっていることを窺わせた講演会となった。