世論調査でロシアとの戦争を懸念
NBCニュースが3月に行った世論調査によるとバイデン大統領の支持率は40%で、昨年1月の就任以来、過去最低を記録した。昨年4月の調査での53%から13ポイントも減少、今年1月の43%も下回った。不支持は55%で、過去最大の不人気ぶりの結果となった。
黒人や女性、無党派層に人気が高いとされているバイデン大統領だが、支持率は黒人では今年1月の64%から今回62%に、女性は51%から44%に、無党派層も36%から32%と軒並み減らした。
調査は3月18日から22日の間に行われた。成人1000人に回答を得た。誤差率はプラス・マイナス3ポイント。外交政策については評価が低く51%が不承認、42%が承認だった。特にウクライナとロシアの戦争でバイデン大統領のリーダーシップは信頼されておらず、戦争への対応能力は、44%が「ほどんどない」、27%が「ほんの少し」と答えた。「よくやっている」は12%、「まあよくやっている」は16%に留まった。
また、16%が米国はすでにロシアと戦争をしているとし、41%が来年中にはそうなると答えた。82%が核兵器の使用につながることを懸念し、74%が米軍がウクライナで戦うことを恐れていると答えている。
戦争対応綱渡り
バイデン政権への支持率が急落
バイデン大統領の支持率は、NBCニュースが3月に行った世論調査によると、83%が物価上昇など戦争がもたらす経済悪化を懸念していたが、79%はたとえガソリン価格の上昇になるにしろロシアの石油輸入禁止というバイデン大統領の決定には同意すると述べた。 バイデン政権の国内の経済政策では63%が不承認で承認は33%だった。物価高騰・インフレの責任については、38%が大統領に過失があると答え、コロナ禍による28%、企業の値上げが23%、ロシアの侵攻は6%だった。
政策全体として、71%が国は間違った方向に向かっているとし、正しい方向に向かっているとしたのは22%だった。政党別の支持では、共和党が今年1月と同じ46%、民主党は1月の47%から減少し44%だった。2%差ではあるが、バイデン大統領就任以来、初めて民主党支持が共和党支持を下回った。
世論調査では米国民の間でロシアとの戦争を懸念する声が大きいことが示された。バイデン大統領はロシアとの戦争は第三次世界大戦になるため米軍の直接介入はないとことあるごとに明言しているが、26日のポーランドでの演説で「プーチン氏は権力の座に留まるべきではない」と発言し波紋が広がった。27日にバイデン氏は「ロシアの体制転覆を意味するものではない」と釈明したが、フランスのマクロン大統領が「言葉や行動で事態をエスカレートさせるべきではない」と述べるなど、ロシアとの緊張を高めたとして批判する声が内外で出た。これに対しバイデン大統領は「モラル上からの発言であり、プーチン大統領の降格を意図したものではないし、謝罪する気もない」と一蹴したと29日付けNYタイムズが報じた。(写真:G7首脳が対応を協議(25日付NYタイムズ紙))