源氏物語展 紫式部・千年の時めき

メトロポリタン美術館で開幕

 メトロポリタン美術館で5日、日本文学の最高峰『源氏物語』をテーマにした大規模な展覧会「The Tale of Genji: A Japanese Classic Illuminated (邦題:『源氏物語』展in New York ~ 紫式部、千年の時めき ~ )」が始まった。展示されているのは日本と米国から選りすぐった120点以上の美術作品で、32の美術館や大学、寺院、そして個人のコレクションから集められた名作の数々が一堂に会する。『源氏物語』 は世界最古の小説とも言われ、光源氏(「光る君」)と貴族の姫君が織りなす恋愛模様と彼の人生を綴った物語は、その洗練された文体、ユーモアやウィット、描かれた印象的な人物によって何世紀にもわたり読者を魅了し続けている。同展の出品作品にはこれまで日本国外に貸し出されたことのない国宝や重要文化財も含まれている。西暦1000年頃、紫式部(978〜1019頃)によって書かれた物語がその後の日本の美術にどのような影響を与えてきたのかを探る。展示は6月16日(土)まで。(関連記事4面に)

雅の世界紹介

 この展覧会は、これまで日本国外で開催された『源氏物語』を主題とした美術展の中でも最も包括的なもので、過去約1000年の間に生み出された絵画・書跡・染織・漆工芸といったさまざまなジャンルの作品がテーマ別に展示されている。なかには篤姫が徳川家定将軍に嫁ぐ時に使用した駕籠、浮世絵、現代の漫画も含まれており、同展を通して、伝説的な女流作家、紫式部が描いた平安王朝(794〜 1185)の神秘的で雅な世界を同館を訪れるさまざまな国の人々に紹介する。同展は同美術館と国際交流基金による共催。東京国立博物館、石山寺が特別協力している。

大和和紀の漫画『あさきゆめみし』美しい原画も展示

 『源氏物語』を漫画化した大和和紀による漫画『あさきゆめみし』(講談社)の美しい原画も展示されている。同作品は、月刊『mimi』で1979年12月号から不定期に連載され、のち『mimi Excellent』に移って同誌27号(93年)で完結した。『宇治十帖』を含む『源氏物語』54帖がおおむね忠実に描かれており、平安朝の生活様式などを詳細に調べて漫画化している。メトロポリタン美術館が漫画を展示物として紹介するのは同美術館始まって以来初めて。