【編集後記】 みなさん、こんにちは。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会(JOC)の森喜朗会長(83)が10日、辞任の意向を固め、後任に川淵 三郎元サッカー日本代表監督が決まる見込みとなった。今月3日の女性蔑視とも取られる森氏の発言については米メディアも相次いで報じていた=本紙今週号7面に記事=。ニューヨーク・タイムズ(電子版)は3日、「会議での女性の制限を提案」との見出しで報道。「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」といった森会長の発言を紹介した。SNSで「会場で誰も女性差別に疑問の声を上げなかったことも問題」などと激しい批判が出ていることを指摘し、この時点で辞任問題になりかねないと示唆していた。また4日には森会長が謝罪したものの、会長辞任は否定したことも報じた。さらに10日付では国際面の紙面を半分以上割いて日本国民の半数以上が森氏は五輪組織委のトップに不適任と世論調査で答えたと報じ、有力全国紙2紙が辞任を求めているとも伝えた。テニス選手大坂なおみさんの「全くの無知」とのコメントも掲載した。同紙が今回の森氏の発言で特筆したのは、森氏と森氏を取り巻く関係者たちの「いつもの調子で乗り切れる」と思っている旧態依然とした意識だった。ニューヨーク・ポスト(電子版)は「東京オリンピックの森会長が性差別的な苦情で騒ぎを起こす」との見出しで報じた。「女性理事は話が長過ぎて”迷惑”と受け取られる発言をしたと伝えられている」とし、具体的には「女性理事の数を増やすなら発言時間をある程度制限する必要があり、終わらせるのが難しく、面倒だ」と述べたことを紹介した。世界経済フォーラムの2020年世界男女格差指数によると、日本の男女格差は「すべての先進国の中で群を抜いて最大」で、153か国中121か国にランク付けされていることを指摘した。開催まで半年ない時期でトップ交代は足踏みしている時間がない。コロナ感染者数の推移次第では、開催そのものが不可能になることもありうるだけに予断を許さない。昨年夏の当初開催予定の大会延期、コロナ収束に向けた非常事態宣言、森会長辞任と大波乱の東京五輪・パラリンピック大会は、開催されればむしろ世界の目が日本に注がれる大会となる。時代に乗り遅れた「老兵はただ消え去るのみ」となるのも、新生ジャパンが、ガバナンス力を手に入れるための大きな試練と思えば「日本のミラクル」も不可能ではない。それでは皆さん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)