NYからロスへ義援金 NYの日系3団体が窓口開設

山火事被災

 ニューヨーク日本商工会議所(河手哲雄会頭)と 日本クラブ(上野佐有会長)、は13日、ロサンゼルス山火事被災者支援義援金の支援窓口を設置した。またニューヨーク日系人会(JAA、佐藤貢司会長)も14日、義援金を募りロサンゼルス日系博物館に寄付する方針を決定した。

 1月7日に発生した大規模山火事は、現在も広い範囲で延焼が続き、被害が拡大しているなかで、まずニューヨーク日本商工会議所と日本クラブが共同で、この災害により被災者を支援することを目的に、JCC 基金(和田知徳理事長) 内に支援窓口を設置し、会員各社及び個人会員に支援・協力を呼びかけた。

 寄付された義援金は、 ロサンゼルスの公的義援金窓口を通じて、緊急支援物資の配布や被災者とその家族への支援に使うとしている。両団体は「被災された皆様が一日も早く平穏な生活を取り戻せますよう、心よりお祈り申し上げます」と述べ、寄付は全額、税控除になる。寄付は小切手で郵送する方法で、送り先など次の通り。 ① 小切手の宛先= J.C.C. Fund (メモ欄に “LA Wildfires Relief Fund” と記入) ② 送付先= J.C.C. Fund (145 West 57th Street, New York, NY 10019) ③ 受付期限= 2月末まで。

 NY日系人会は、ロサンゼルスのリトル東京にある全米日系博物館(JANM)が立ち上げた寄付活動に参加する形で支援することにした。「正式な発表を近日中にはできると思う」(野田美知代事務局長)という。

 日系歴史博物館のアン・バローズ館長・CEOは「JANMのスタッフ、ボランティア、そして博物館の建物は被害を免れているが、関係者の多くが自宅からの避難を余儀なくされ、多大な損失を被っている。スタッフ、ボランティア、そしてその家族を支援するために、博物館の建物をシェルターとして提供し、移転費用を補完するための少額の資金を提供し始めた」という。寄付は、小切手、またはJANMのウェブサイトからのオンライン寄付で行うことができる。個人で送る場合は、小切手のメモ欄またはオンラインのコメント欄に「VSG LA Fire Stipend」と記入。郵送住所とウェブサイトは次の通り。

Japanese American National Museum

100 North Central Ave, Los Angeles, CA 90012

www.janm.org

 ニューヨーク日系人会からの寄付は、募金期間を決めて窓口を作り、JAAからまとめて送る予定だ。

火災の猛威拡大続く

 カリフォルニア州ロサンゼルス周辺で7日に数カ所で発生した森林火災は、12日までに24人の死亡が確認された。ロサンゼルス郡検視官は、パサデナ近郊のイートン地区で16人、パシフィック・パリセーズ地区で8人が犠牲になったという。また16人が消息不明という。

 被害規模が大きいのはマリブを含めたパリセーズとイートンで、すでに160平方キロメートルを焼き尽くした。クイーンズ区とブロンクス区を合わせた土地面積に相当し、1万棟以上が焼け落ちた。

 米国内から8州のほか、カナダ、メキシコからも消防隊が駆けつけ地元の消火活動を支援しているが、鎮火できたのは12日時点でサンフェルナンド近郊のハーストなど1割程度。サンタアナの風と呼ばれる最大時速60マイル(約96キロ)に達する乾燥した風の勢いは断続的に吹いており、厳しい状況が続いている。

 パシフィック・パリセーズは住宅の中央値が200万ドルという高級住宅地で、俳優のトム・ハンクスさんなどセレブが多数住んでいることで知られる。気象予報会社のアキュウェザーは、被害規模は最大1500億ドル(約23兆円)に上ると試算している。

山火事発生中に市長不在

ロス市長外遊に批判集中、辞任要求も

 ロサンゼルスのカレン・バス市長(民主党)は山火事が発生した7日、ガーナを外遊中で激しく批判を受けている。バス市長は国際的な仕事やアフリカの仕事から離れたくないとしたものの、2022年に市長に就任した際、外遊はしないと語っていた。しかし、ガーナ訪問前の1年の間にも新大統領就任式出席でメキシコに1度、五輪でパリを3度訪問していた。

 ガーナの新大統領就任式出席という公式訪問だったが、その前の週に米国立気象局が火災の危険性を警告していたにも関わらず外遊したことには共和党支持者だけでなく、家を消失した民主党支持者からも激しく批判されており、即時辞任を求めるオンライン嘆願書には10万人以上の署名が集まっている。

 またトランプ次期大統領(共和党)は今回の被害拡大についてカルフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)に責任があるとして「無能だ、辞任しろ」とSNSで発信している。第1次トランプ政権時の2021年に水源を確保しようと州南部にダム建設をしようとしたところ、ニューサム知事が環境保護の観点から反対し頓挫したことを指し、「カリフォルニア州の市民より、ワカサギという役に立たない魚を守ろうとした」と書き込んだ。ただし消防用水は足りているという報告もあり、有力な民主党の次期大統領候補であることからダメージを与えようとしたものだと思われる。

「日系社会の情報が不足」ZOOM緊急意見交換会で状況説明


 ロサンゼルスで発行しているカルチャル・ニュースの主催で11日夜、ZOOMによる日系社会への影響を意見交換する会合が開かれ、23人が参加した。南カリフォルニアで茶道の普及活動をしている裏千家の教師3人の自宅併設の茶室が焼失し、新年の茶会が中止されたこと、ロサンゼルス日本総領事館からは石破総理の米国民に対するお見舞いの言葉が伝えられ、同館が発出する緊急連絡メールの内容などについて報告された。米国人の元駐日外交官やサンフェルナンド・バレー・サン紙の地元紙記者、昔ロサンゼルスに住んでいたというニューヨーク在住の男性などが参加した。火災が起こってから4日目とあって被害状況の全容把握ができていないこと、日系団体同士の連絡がうまくとれないことなど、どこから手をつけていいのか、他都市からの支援もどこが受け皿になりえるのかコミュニケーションがとれていない状況が報告された。会議を主催したカルチャル・ニュースの東繁春さんは「いまのロサンゼルスには、昔のような日系の日刊紙がなく、アメリカのニュースは入るが、いま現地の日系社会で何が起こっているのかを現在進行形で知ることができる手立て、媒体、メディアがないことが情報の孤立を招いている」という。

ロサンゼルス日系社会の被害状況

日系の若者たち自発的に集まり支援活動
日本総領事館が随時メール発信し注意喚起

 ロサンゼルス日本総領事館に現地の状況を聞いた。

(1)山火事におけるロサンゼルス日系社会への影響・被害届など、邦人援護の観点からのアクションなどあれば教えて欲しい。

 7日の山火事発生以降、当館では在留邦人に対して随時領事メールを発出し、注意喚起を行っており、引き続き情報収集を続けています。また、安否不明の方の確認や被災によりパスポートを紛失・焼失した方への対応などを行っています。誠にお気の毒ではありますが、在留邦人の中には家屋等の被害に遭われた方もおられると承知しています。

(2)在留邦人数 (管轄区またはグレーターLA)。

 在留届ベースでロサンゼルス都市圏(ロサンゼルス郡及びオレンジ郡)の在留邦人数は約6万5000人です。

(3)総領事館のロサンゼルス地区在留邦人に対する注意喚起のこれまでの回数、推移について。

 7日の山火事発生以降、当館からは在留邦人の皆様に対し、累次にわたり領事メールを発出し、各種の注意喚起や避難所に関する情報提供、安否不明の方に関する情報提供の呼びかけなどを行ってきています。

領事メールの回数や内容については以下の当館ホームページをご覧ください。

https://www.la.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/ryojimail_00001.html

(4)南加日系商工会議所、JBA、リトル東京サービスセンター、日米文化会館、ジャパンセンターなどの対応状況についてお知らせください。

 日系コミュニティの各種の団体や日系企業などが被災された方を支援するための様々な活動を行っています。避難されている方への物資やシェルターの支援、義援金の呼びかけなど、様々な支援活動が行われています。また、個人レベルでも様々な活動が行われており、例えば、先週末には日系人の若者たちが自発的に集まり、リトル東京やロサンゼルス郊外の日系コミュニティーセンターなどにおいて、現地の方々からの支援物資を集めました。当館では赤十字社などとも連絡を取りつつ、これらの団体などと連携して支援に向けた取組を行っています。     (原文まま)