日本人女性起業家の対米進出を応援

スクエア・アップ・コンサルティング CEO

梅原 靜香さん

 日本企業の対米進出コンサルティング事業と日本の女性起業家支援を日米両国で長年行っている。今年5、6月の2か月間、米国進出に意欲のある日本の女性起業家25社の商品を集めた展示会をブルックリン・ビューティー・アンド・ファッションラボ(BBFL社)とデイリー・インフォメーションNY社(DINNY)と共同開催した。

 目的は、日本の女性起業家が手掛けるサステナブルな商品をNY市場に紹介し、米国展開の足がかりにしてもらうためだ。会場には、大型資金調達をした女性起業家や、日本ではまだ珍しいシリアルアントレプレナーによる商品も出展。日本の女性起業家の商品だけを集めて25社もNYで展示をした例がこれまでなかったことから、同企画はニューヨークでも珍しい試みとして多数の日米メディアが報道し、展示会場となったBBFLには、オープニング当日大勢のニューヨーカーが詰めかけた。

 この展示会は、梅原さんが7年間の日本での就業経験を経て再び米国に戻って起業し、これまで支援してきた女性起業家達の参画するプロジェクトだっただけに手応えを感じることができて嬉しかったという。

 梅原さんは、東京都出身。明治大学政経学部を卒業し米国留学。カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校会計大学院会計学部財務会計学科を卒業し、アーンスト&ヤング・ニューヨーク事務所、プライスウォーターハウスクーパース・ロサンゼルス事務所で日系米国現地法人の米国税務コンプライアンス業務に従事した。

 税務のプロとして日系企業の米国での事業拡大支援をする中で、優良企業が米国事業を撤退せざるを得ない状況を垣間見て、海外展開をする日系企業の直接支援がしたいという思いを強めて日本に帰国した。

 2015年から22年までデロイトトーマツベンチャーサポート株式会社東京 オフィスでベンチャー企業の海外進出支援、海外ベンチャー企業と日系大手企業の事業連携支援、女性起業家支援事業の企画・設計・運営及び業務責任者を務め、ニューヨーク市主催の女性起業家支援プログラムWENYCと協業するなどし、これまで300人を超える日本全国の女性起業家に直接支援を行っている。

 日本では、米国では見られない日本独特の女性の起業に対する都市部と地方とのハードルの格差を感じた。奥さんが「パート」に出るのはいいが「起業」などと言った目立った行為は、「妻を満足に食べさせていないみたいでみっともないからやめてくれ」と夫や姑からダブルでブロックがかかり夢を断念した女性を多く見てきた。また海外競争力のある商品開発に男女差はないはずだが、実際は資金調達で苦戦を余儀なくされる例も見てきた。

 社名のスクエア・アップは、「戦う準備をする」と言うNY発と言われているスラングから。NYと日本の都市型生活には共通点が多く、日本で必要とされる商品やサービスはNYでも勝機がある。日系企業に、特に日本でハンデを抱える女性の起業家に、存分に米国で活躍してもらいたい、それに必要な準備を自社が支援したいと言う思いも強くそこに込められている。

(三浦良一記者、写真も)