ショービジネスに新たな地平見る

ミュージカル女優

増田 早希さん

 ニューヨークを拠点にミュージカル女優として活躍している増田早希さん(38)は、今月7日からホリデーシーズンの興行として開催されるロングアイランドのアーガイル劇場でミュージカル「クリスマス・キャロル」で、プリンシパル役のほかに振り付け助手、ダンスキャプテンも任されている。公演は来年1月5日まで。ショービジネスに関わる人たちにとっては1年で一番忙しいシーズンだ。

 奈良県桜井市出身。4歳の時にクラシックバレエをはじめた。 ローカルのミュージカル劇団に所属し、バレエ以外のダンスに興味を持ち、京都女子大学1年の時に休学してニューヨーク留学を決意。ステップスオンブロードウェイで、バレエ、ジャズ、モダン、コンテンポラリーダンスを学んだ。NYの母、師匠であるデビー・ロッシュに出会う。

  NYではダンスカンパニーに所属しながら、ステップスオンブロードウェイでロッシュのアシスタントを務めた。この間フリーランスとして、バレエカンパニーの「くるみ割り人形」にゲスト出演したり、コンテンポラリーダンスカンパニーでの活動をつづける。ダンサーは怪我や故障はつきものだが、増田さんも足の怪我をきっかけに本来の目的であったミュージカルに女優になることにフォーカスを移し、ミュージカルのオーディションを受け始める。ニューハンプシャー州の劇場で、ミュージカル「キャッツ」の白猫ビクトリア役に抜擢されアメリカで初のミュージカルデビューを果たし、その後も「王様と私」の全米ツアーや

「ボディガード」、「エルフ」、「リトルマーメイド」、「クリスマス・キャロル」、「メリーポピンズ」など多くの舞台を踏んできた。テレビ、コマーシャル、ショートフィルムでも少しずつ活躍している。

 「この5年間だけを見ても、ブロードウエーをはじめ、舞台芸術をとりまく世界は人種の多様性が急激に高まりました。昔はアジア人の私が出演のチャンスを得られる作品といえば『王様と私』や『ミスサイゴン』などに限られてましたが最近は、キャスティングに多くのアジア系が採用されています。これから米国で舞台を目指す日本の若者には追い風ですね」と話す。

 演者としての自分だけではなく、舞台全体を作り上げていく振り付け助手、ダンスキャプテンとしての仕事にもやりがいを感じ始めている毎日だ。アメリカに生きながらショービジネスの新たな地平が見えている。

 (三浦良一記者、写真も)