ジュエリーデザイナー
堂園まり子さん
1949年、鹿児島生まれ。医師一家の中、彼女だけ子供の頃から油絵を描くなど芸術家肌だった。その才能を伸ばそうと両親が上京を勧め、中学生で単身東京へ。その後デザイン学校に進学、グラフィックデザインを学ぶと同時にジュエリーの専門学校へも通った。 1971年に渡米、ニューヨークの二つの学校で本格的にジュエリーを学び、ジュエリーデザイナーとして活動を開始。ある日のこと、自作のペンダントを身に付け、マディソン街のジョージ・ジャンセンを散策していると、マネージャーに「そのジュエリー、とても素敵ですね。」と声をかけられた。自作だと答えると、作品を全部見せてほしいと言われ、とんとん拍子に話が進み、ジョージ・ジャンセンに作品が並ぶことになる。米国グッチのバイヤーからもコンタクトがあり、こちらは当時13店舗あった米国グッチ全店にオリジナルジュエリーが並んだ。
やがて、より独創的な作品を楽しみながら創りたいと、個人客向けの制作にシフトしていった。彼女が作る繊細で上品なジュエリーには「エレガント」という言葉が一番似合う。働く女性が自分で買える価格設定なのも重要なポイントだ。「ジュエリーが自己主張するのではなく、ファッションが引き立つような存在であることと、それを身に着ける人の幸せを祈りながら作品を作っています」。
ジュエリー制作の傍ら、20年ほど前にオイルパステルと金箔を組み合わせた作品を生み出した。油彩画へも幅を広げ、寝る間を惜しんで描く毎日を送る。溢れんばかりのエネルギーに満ちた絵、静寂な絵、色合いはさまざまだが暗い絵は一枚もない。ジュエリーにも絵画にも、いつも前向きで明るい彼女の人柄が現れている。制作に多忙な日々のなか、30年続けている趣味のボールルームダンスは全米屈指のコンペに米東部地区代表選手として4年連続出場、全米ダンススポーツ選手権のプロ・アマラテン部門ではファイナリストになるほどの腕前。
昨年、銀座三越で開催した個展「COLOR PASSION ELEGANCE」は大成功を収め、今年、来年と3年連続の開催が決まった。今後はカトラリーのデザインや彫刻、大きなモニュメントも手掛けたいと言うまり子さんは来年70歳。そのバイタリティーの源は何かと尋ねたら「人生何歳になっても、いつでもスタートライン。Never too lateです!」。(東海紗智子)