食べる楽しさがこぼれるアートを描く

トラベルイラストレーター

えやひろみさん

 神戸市在住のトラベルイラストレーター、えやひろみのニューヨーク展「日常の小さな幸せを描くアート展」が27日(金)までマンハッタンのギャラリー60で開催された。食べること、飲むことが大好きな作者の視点から、「人生のおいしさ」を、水彩、アクリル、デジタルアートにして楽しく描いている。21日午後レセプションが開かれた。 

 1980年生まれ、福岡生まれ神戸育ち。二女の母であり、トラベルイラストレーターとして活動中。旅行が大好きで、旅先で出会ったカラフルな景色や美味しい食べ物からインスピレーションを得てアートを制作している。作品を通して、見る人に「行った気持ち」や「食べたくなる気持ち」を感じてもらい、親しみやすいアートを届けることを目指している。

 引っ込み思案で自己表現が苦手だった幼少期。絵を描くことで心の声を表現していた。4歳の時に「世界児童画展」で入賞したことが小さな自信となり、その後の創作活動の支えになっている。日本の漫画家である鳥山明や矢沢あいの作品に影響を受け、カラフルで優しい色合いの水彩画を得意とする。キラキラした素材を用いることで、見る人の心にワクワク感を届けたいと考えている。

 娘たちが幼児だった頃、乳がんを患い、二度も再発を経験し、その度に抗がん剤治療を乗り越えてきた。治療中は自分を責め、人生を楽しむことを忘れかけていたが、家族や友人の支えによって前向きな気持ちを少しずつ取り戻すことができた。家族が自分をありのままに受け入れてくれたことで、自分自身を大切にし、人生を楽しむことの大切さを学んだ。

 カフェメニューや看板、挿絵など、依頼に応じたユイイツムニの作品を受注生産し、多くのお客様を笑顔にしている。

 「『妻』だから、『母』だから、こうでなければならい、という枠を取っ払って、やりたいことを思いっきりやろうと決めて今回の個展に挑みました。私の作品に必ずスワロフスキーやラメを施してキラキラにしているのは、女性はいくつになっても美しく輝いていたいからです。私の作品にある、マダムIKURAなど11人のマダムシリーズは、自分が輝くステージを大切にしてほしいというメッセージを込めています」。

 ニューヨークに来てみて「孤独を感じない街だと思いました。自分の自由な考えで作品を作っていいんだという気持ちにさせてくれる街ですね。このNYの躍動感を家族にも見せたいです」と語った。

 (三浦良一記者、写真も)