和菓子作りを世界に広めてSTEAM教育に貢献

料理研究家 千葉真知子さん

2017年に出版された「The Cook-Zen Wagashi Book」は世界グルマンクックブックアワードで入賞した。

 料理研究家千葉真知子さんは、日本、ニューヨークで活動を続けている。「電子レンジで伝える和菓子レシピ」を日経BPで出版し、その後、ニューヨークに本社を置く出版社、Lakeisle Pressから 「The Cook-Zen Wagashi Book」を出版する。のちにこの英語本が教育現場で注目され、フランス、イギリス、ニューヨーク、フィリピン、タイの学校をはじめ、日本では初めてとなる「STEAM」教育に採用される。

 「STEAM」教育とは、世界で活躍するクリエーティブなリーダーを育成する21世紀型スキルの習得を目指す教育。その内容は「S」(Science)=自然法則を見つける、「T」(Technology)=自然界にない有用なものを作り出す、「E」(Engineering)=数学や科学を基礎とし、有用なものや環境などを設計する、「A」(Art)=芸術性、創造性、表現力、教養を高める、「M」 (Math)=法則を体系化し、説明するために使う言語を習得ずる。

 千葉さんは長野県松本市にある学校法人、才教学園(小松崇理事長)の「STEAM」教育アドバイザーを務める。才教学園は生徒一人ひとりの才能を伸ばし、世界で活躍できるような子供たちを育てている。(写真:才教学園で和菓子の実習指導する千葉さん)

和菓子作りの実習をするメルボルンの子供たち

 同学園は、オーストラリアのメルボルンにあるリーダーを育てる学校としても有名なパークトンスクールと姉妹校を結んでおり、 オーストラリアと日本の生徒の交流を深めるため積極的に修学旅行などを利用し、お互いの国を行き来させることを行っている。

 パークトンスクールでは、子供たちの授業に和菓子作りを採用。ここでも千葉真知子さんの指導による和菓子教育が始まっている。各国で子供たちに和菓子の指導をしてきて思った事は、「子供たちの発想の豊かさに驚かされ、五感教育を養う上で (視覚、味覚、触覚、臭覚、聴覚)プラスの効果があることを実感している」ということだ。

 すでに多くの国で子供たちの想像力を育む「STEAM」教育が国家プロジェクトとして行われているが、日本でもこの教育がスタートし、世界で活躍する子供たちが増えていくことが期待されている。千葉さんは「これからも多くの感動体験を通じて子供たちの志を育むことに積極的に取り組みたいですね」と話す。

(三浦良一記者、写真は本人提供)