おまかせアイラッシュで勝負

マツエク講師

田丸 桜さん

 「目は口ほどに物を言う」と言う言葉がある通り、感情がこもった目つきは、口で話す以上に強く相手の心を捉えるものだ。美しい目でありたいと思う願望が、一重瞼を二重にしたり、一方で東洋的な顔立ちが持てはやされるとなれば切れ長の細目が流行ったりと、まさに目まぐるしく美容の世界も変化している。マツエクとよばれる「まつ毛エクステンション」つけまつ毛の業界もまた時代とともにスタイルが変わってきているようだ。

 ニューヨークからオンラインで日本に向けてアイラッシュの最新講座を持って指導している田丸桜さんは、2021年にニューヨークでエステティック・ライセンスを取得し、独学でマツエクを勉強した。インターンをしながら技術向上に努め、2022年に力試しのつもりでマツエクの各種コンテストに参加し始めたのが大きな転期のきっかけになった。1年間、世界大会に参加し続け、合計17個のトロフィーを取得し、昨年5月に開催されたニューヨーク大会では見事優勝を飾った。現在、米国で受賞歴1位のアイラッシュアーティストとなり、日本では自睫毛改善を目的とするマツエク塾「舞高技塾」の講師を務めている。

 大阪出身で関西外語大学英語学科在学中にロンドン留学を経て単位振り替えで2016年にニューヨークのファッション工科大学(FIT)に転入、スタイリングコースを卒業したのち、ファッション業界で2年ほど働いた時にコロナ禍に。それを契機に、以前から興味があった美容業界に転職した。

 学生時代アパレル業界でインターンなどしていたことがFITに目を向けるきっかけになった。海外志向は昔から強かった。米国に来て思ったことは、同じ技術で競争するのでも日本人ならではの強さを身につけることだ。

 自信を持って仕事ができるようになってきた頃、お客さんから「あなたを信用するわ。あなたが私にはこれがベストと思うようにやって頂戴」と言われ始めたことで「おまかせサービス」を考えるきっかけになった。「ニューヨークでの施術は、さまざまな人種と性別を対象とするため、インターンシップと世界大会への挑戦はとても勉強になります。近頃お寿司屋で認知度が広まっている『おまかせスタイル』としてアイラッシュ業界でもそれぞれの人に合わせてカスタムして提供できることを多くの人に知ってもらうことが私の計画であり、夢でもあります」と大きな目を瞬きさせて熱く語った。

 (三浦良一記者、写真も)