美容研究家、メイクアップアーティスト
小林 照子さん
美・ファイン研究所主催のオンライン企業セミナー、美容のゆくえ「外見の力を戦略的に生かすとは?」が18日、東京発信で開催され、 86歳で現役の美容研究家、同研究所創設者の小林照子さんが今求められているプロの仕事と考え方などについてZOOMを通じて語った。
講演の中で小林さんは、10年続いた日本のすっぴんブームが、コロナ禍の巣篭もり状態を経て、次に一般の人が自分もプロの技術を身につけて美しくなろうという自分の個性を生かす自己表現ブームがやって来ると予測した。一般女性がメイクの知識や実践でセミプロ化していく中で、プロに求められているのは正しい分析力と正しい言語で人を綺麗に導く力を身につけることだと述べた。
「それぞれの人には美しくなる力が無限大にあることを自覚し、あなたは、こんな魅力を持っている人です。と伝えることができるコミュニケーション能力が必要になる」と語った。
また「プロのやるべきことは、人にどうやって外見の力をつけていくか、外見は内面以上に雄弁にその人を語ることを伝えること。よく内面を磨けばそれは外面に滲み出ると言われるが、それが出てこないということもあると気づく時期が、女性だと40代、50代の更年期の前後に訪れる。そこでみんな外見の大切さにはたと気づく。そんな時、その人が持っている夢や憧れの底上げをしてあげること、夢の後押しをしてあげることがプロの技だ。プロは1秒でその人の魅力を見抜く洞察眼があるものだ。
自分は66年間メイクアップアーティストとしての経験を蓄積した印象分析を現在、人工知能(AI)を活用し、よりその人に寄り添った分析をする手法を研究所で開発している。
コロナ禍を経て、次にやってくる爆発的な自己表現ブームではTPO(時間、場所、場合)、FOP(フォーマル、オフィシャル、プライベート)のカテゴリーの中でプライベートゾーンが今後さらに多様化していくだろう。新フォーマル、プライベートな着こなし、外見の表現の「見える化」のグレードアップが進む。
日本女性の外見の美しさは「皮膚の美しさにある」という。「アジア女性特有の美肌をスキンケア効果で導き出し、自分の魅力を磨いて欲しい」とも述べた。皮膚は28日周期で、細胞は42日間で全く生まれ変わるので目で見てわかる外見の変化を実感して欲しいと語り、「たかが外見、されど外見。外見を整えることで内面も変化するという美意識を持ってくださいね」とアドバイスした。 (三浦)
プロフィール 1935年東京生まれ。58年株式会社小林コーセー(現・株式会社コーセー)に入社。業界初の美容液・パウダーファンデーションを開発するなど数々の大ヒット商品を手がける。85年に同社取締役に就任。91 年コーセー退社。美・ファイン研究所設立。60年以上にわたって築き上げてきた独自の美容理論、テクニック、ノウハウをAI化するプロジェクトが進行中。