プロに聞く、生き生きEATS(イーツ)
元気と美味しいを求めて料理の達人が腕を振るう (30)
今年の5月にイーストビレッジの1番街と東15丁目の角にオープンしたJ‘s Kitchenは、日本各地の有名洋食店の人気メニューを一堂に集めて提供するユニークなレストランです。「地域の食を世界に」を合言葉に、神奈川県相模原から伝説の店「福よし」のとろけるハンバーグ、東京・神田の「神保町ビーフ」、福岡の「博多黒カレー堂」、栃木「神楽」のトンカツ定食など、いずれもアメリカ風のアレンジを全く加えずニッポンの味を直球で届けるコンセプトが、ニューヨーカーにも大ウケしています。今回は、同店の店長シェフ沼尻竜乃介さんに家庭でも簡単に作れる「洋食」を3品紹介していただきました。
■豚(トン)でもないしょうが焼き(1人前)
食材
★タレ(8人前)
A
生のしょうが 50g
生のにんにく 15g
玉ネギ 150g
アップルソース 80g
B
料理酒(日本酒でも可) 200g
みりん 50g
C
砂糖 70g
醤油 200g
★お肉(1人前)
肩ロース薄切り 100g
玉ネギ薄切り 50g
★白ご飯 250g
〈作り方〉
「しょうが焼きの命はタレ」と言い切る沼尻シェフ。Aの材料をミキサーにかけてペースト状にしたらBと混ぜて加熱。アルコール分を飛ばしたあとで、砂糖と醤油を加えて溶けるまでさらに加熱。「タレさえ丁寧に作ればお店に負けない味になりますよ」とシェフ。味の決め手は生ショウガと生ニンニク。アップルソースがまろやかな甘みを作る。またタレにお酒を使うことで洋食らしいオシャレ感が出るそうだ。
フライパンで油(適量)を中火で熱して、サラサラになったところでポークを2分ほど焼く。玉ねぎの薄切りを加えてさらに1分焼いたら、上記のタレを投入して30秒で焼き上がり。ざざっとご飯に載せれば、ショウガ焼き丼の完成だ。タレは冷蔵庫で1週間保存できるので多めに作り置きすれば、忙しいときでもわずか5分で「トンでもなく」美味いしょうが焼きができる。
■豆腐カツ丼
食材
木綿ごし豆腐 約半丁
黒胡椒 適量
塩 適量
片栗粉 大さじ1
卵 ころも用1個、トッピング用2個
パン粉 適量(たっぷりと)
薄切り玉ネギ 40g
麺つゆ(市販のもので可) 100cc
小口ネギ(お好みで) 砂糖大さじ1杯
〈作り方〉
「これはニューヨークのお客様のリクエストを反映してオリジナルに考案したレシピです」と胸を張る沼尻シェフ。洋食の技術を日本が誇るヘルシー食材「豆腐」に応用したところ地元イーストビレッジのベジタリアンの間で評判を呼んでいるという。シェフによると「豆腐はあえて歯ごたえのある木綿ごし(Hard)を使う」とのこと。
①豆腐一丁の片側を切り落として正方形を作り、さらにそれを2分の1の厚さに薄切りしたら、キッチンペーパーで水気をしっかり取る。
②黒胡椒と塩をやや多めに振る。
③片栗粉をまぶし、溶いた卵一個分にからめパン粉をまんべんなくつける。
④摂氏170度の油で4分間あげる。
⑤出汁100ccを小ぶりのフライパンに開け玉ねぎを投入。
⑥上記の豆腐カツを出汁の中に入れて強火にかける。
⑦沸騰したら、中火に下げる。
⑧2個分の溶き卵と砂糖を入れる。
⑨火力は中火のまま。沸いたら蓋をして2分間加熱を続ける。
⑩卵の白身に火が通ったら火を止めて蓋をとる。
■チキンから揚げ
食材
鶏むね肉 150g
白だし 15g
おろしニンニク(生) 2g
おろししょうが(生) 2g
片栗粉 適量
洋食屋のチキンから揚げは、J’s Kitchenでも最大の人気メニュー。美味しさの秘密をこっそり教えてもらった。沼尻シェフは「日本ではから揚げ専門店でのキッチン経験が長かったので、ニューヨーカーがから揚げを美味しそうに食べているのを見ると嬉しいですねえ」と目を細める。
〈作り方〉一人前
いたってシンプルである。ただし、計量をグラム単位で正確に行うこと。
①チキンはむね肉を食べやすい大きさに切ったものを140グラム使用。
白だし15グラム、おろしニンニク(生)2グラム、おろししょうが(生)2グラムを混ぜた液と一緒にジップロックに入れて軽く揉み込み3時間置く。
②片栗粉をまぶして4分間揚げる。
軽く噛んだだけで前歯がスーッと吸い込まれるような柔らかい歯ごたえ。しょうがとニンニクのアクセントが控えめなため飽きの来ない味付けになっている。
「開店からまだ5か月ちょっとですが、毎日、目の回るような忙しさです」と言う沼尻シェフ。「ニューヨークの人たちの食に対するこだわりは半端じゃないですね。期待に応えるように頑張るのが楽しくてしょうがない。日本には全国各地にまだ海外では知られていない名メニューがいっぱいあります。今後は、そういう料理をニューヨークにもっと伝えていきたいです」と熱く抱負を語った。
沼尻竜乃介
1994年生まれ(28歳)出身:茨城県
2017年J’s Kitchenの親会社TGAL(テガル)入社。2018〜20年シンガポールにて同社傘下のデリズ・キッチン立ち上げとオペレーションに参画。2020〜21年日本各地で新店舗の開店に携わる。2022年5月よりニューヨークJ’s Kitchen店長シェフ。
J’s Kitchen
ジェイズ・キッチン
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Tel: 917-262-0434
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