クイックUSAアメリカの人事部コラム(22)

ポストコロナで、海外での新入社員研修はどのように変わるのか?

 新しく入ってきた新入社員を、対面でしっかりみっちり研修する時代は去ったのでしょうか? すぐにコロナ後の研修を結論付ける前に、まず、人材研修に影響を与えてきた、歴史上の働き方の変遷を振り返ってみましょう。

1900年代 – 産業革命でOJTが生まれる

1940年代 – 工場における生産性向上のための労働者向けトレーニングが始まる

1960年代 – 公民権運動によってリーダーシップと自己啓発に焦点があてられる

1980年代- IT 革命、初期のコンピューターベースの研修が始まる。

1990年代 – インターネット革命、インタラクティブなPC上のラーニングが可能になる。

2010年代– 携帯電話、アプリとSNSの流行。Eラーニングが手軽にどこででも受けられるようになる。

2020年-コロナ勃発

www.Trainingindustry.com より)  

 この変遷を見てもわかるように、職場の変化はおのずとテクノロジーの変化に沿っています。便利になるわけですから、テクノロジーを使わない企業は「遅れている」「生産性が低い」とみなされてしまいます。  

 研修の歴史も同じこと。現在、米企業の多くはセルフペースのオンライン研修を人材開発の上で絶対に外せない要素として位置づけ、オンラインと対面の研修をミックスして人材を開発する方法を向上させています。新人研修も、内容によっては9割のオンラインと1割の対面研修というように、内容によって2つの性格の異なる研修をうまく組み合わせ、特にそのあとのフォローアップに時間を割くことに要点を置いています。  

・新入社員への、入社時の各種書類の対面による説明

・新人を前にしての企業の沿革や歴史、製品などの対面研修

・社員の表情を見ながら理解を促す実務のOJT

 上記のような密着した説明やトレーニングをうまくオンライン化に移行させるための要点はたった一つ。「対応する全ての人に理解してもらいたい均一情報部分と、その個人が更に知りたい情報部分(質疑応答など)を分ける」。そして、全ての人への均一情報はセルフペースのオンライン研修を受講してもらい、そのあとに対面研修を実施して、その人の感想や質問に対応します。    

(今泉江利子Waterview Consulting Group, Inc. CEO)

www.919usa.com