缶入りホイップクリームで混乱

ID無しで買えます

 「NY州では、缶入りホイップクリームを買うために身分証明書の提示が必要」という報道で市民が動揺するなか、ジョー・アダボ・ジュニアNY州上院議員は8月31日、同州で昨秋可決した新法を明確にする手紙を公表した。 

 アダボ同上院議員が指摘した商品「ウィップド・クリーム・チャージャー」とは、風船を膨らませるためにも使われる亜酸化窒素カートリッジを設置し、ガスの勢いでホイップクリームが作れるステンレス製の器具で、ウォルマートなど大型量販店やベッド・バス・アンド・ビヨンドのようなキッチン用品店でも販売している。近年は、一時的にハイになることを目的に同製品を購入する若者が急増しており、アダボ同上院議員21歳以下の購入を禁ずる法案を提出し、昨年11月に執行された。しかし多くのメディアは対象商品を「ウィップド・クリーム・キャニスター(スプレー式缶入りホイップクリーム)」と誤解し「NY州ではスプレー式ホイップクリームを買うのにもIDが必要」というニュースは米国内だけでなく、日本を含む世界中で伝えられた。NYコンビニエンスストア協会は同日、会員向けに電子メールで「同新法は不明確だったため、多くの店舗は念のためホイップクリーム缶の購入者にID提示を求めた。しかしホイップクリーム缶の購入にID提示は必要ない」と伝えた。 

 亜酸化窒素には、筋肉の緊張を緩和させる効果があるため、歯科医院などでも使用されている。一方、麻酔効果のあるガスを吸引することで酩酊状態に陥り死亡事故も発生している。また同機器は「whip its」や「whippets」などという名称で売られているため、缶入りホイップクリーム製品「Reddi Wip」と間違いやすいことも騒動の一因となった。同法を違反した店舗には250ドルの罰金が課せられるため、アダボ・ジュニア同上院議員には困惑した店舗のオーナーたちから問い合わせが殺到した