米要人が次々コロナ感染

訪日延期のペロシ下院議長やアダムズNY市長も

 米国ではマスク着用義務などの規制が撤廃されつつあるが、ここに来て思わぬ感染も出ている。ナンシー・ペロシ連邦下院議長(82)は7日、新型コロナウイルスの検査で陽性と判定され、9日から予定していた日本や台湾などアジア訪問は延期となった。追加接種(ブースター接種)済みで症状はなく、CDC(米疾病対策センター)の規定に従い自己隔離に入った。

 ペロシ氏は5日と6日にホワイトハウスでのイベントに参加し、バイデン大統領の近くにマスクなしで同席していた。ホワイトハウスによれば、大統領は6日に受けた定期検査は陰性だった。

 10日にはニューヨーク市のエリック・アダムス市長(61)が新型コロナウイルスに感染したことが確認された。症状は声がれのみのため、自己隔離でリモートで公務を続けると発表された。

 市長の感染については、9日に首都ワシントンのグリディロン・クラブで開かれた夕食会が疑われている。出席したメリック・ガーランド司法長官やジーナ・レイモンド商務長官、米下院情報特別委員会のアダム・シフ委員長など感染者が相次いでおり、ワシントン・ポスト紙は9日、出席者のうち67人が感染したと報じた。

 日本の厚生労働省は11日、米国から成田空港に3月26日到着した30代女性がオミクロン株派生型「XE」に感染しているのを確認したと発表した。XEは従来型BA・1と派生型BA・2の遺伝情報が交ざっており、感染者の確認は国内で初めて。女性は米国に滞在歴があり、ファイザー製ワクチンを2回接種済みだった。無症状だったが入国時の検査で陽性反応が出たため陽性者用の施設で所定の期間療養した後、退所している。国立感染症研究所が詳しく解析した結果、XEと判明した。

 世界保健機関(WHO)によると、XEは1月19日に英国で初めて検出され、3月29日時点で約600件の症例が確認されている。欧州では、デルタ株とオミクロン株のBA・1の遺伝子が交ざった「XD(デルタクロン株)」も80例以上見つかっている。

 米国の新型コロナウイルスの感染状況は、4月10日の時点で1日平均3万2883人の新規感染者で、ピークだった今年1月14日の4%まで下がってはいるが、過去2週間で見ると横ばいとなっている。入院数、死亡者数はともに減少し続けている。しかしニューヨーク州など北東部ではオミクロン株の派生型「BA・2」の広がりで新規感染者が増加。NY市では陽性率が、8日時点で3・3%となっている。