ニューヨーク市警戒強める
ニューヨーク市保健省は3月31日、3月15日から21日の週に感染者から検出された新型コロナウイルスのうち、変異種が全体の70%を占めたと発表した。3週間前の51%からさらに増加した。
ニューヨーク市公衆衛生研究所(PHL)とニューヨーク市パンデミック対応研究所(PRL)によると、3月15日から21日の間に確認されたのは、英国で最初に識別された「B.1.1.7」が590例、南アフリカで最初に識別された「B.1.351」が2例、カルフォルニア州で最初に識別された「B.1.427」が44例、同じくカルフォルニアで最初に識別された「B.1.429」が105例、ブラジルで最初に識別された「P.1」が1例だった。以上の5種はCDC(米疾病管理予防センター)が感染力が強いと懸念している。
変異種はこのほかニューヨークで最初に識別された「B.1.526」が1800例、同「B.1.525」が10例、ブラジルで「P.2」が11例で、合計7078例だった。変異種は「B.1.526」が昨年11月にマンハッタンのワシントンハイツで確認されて以来増加。この8種は3週前は全体の50%だったが増加し70%にまで至った。ビル・デブラシオ市長は「私たちは状況を非常に深刻に受け止めている。決定を下す唯一の方法は、データと科学に導かれることです」と語っている。
ワクチンを製造するファイザー、モデルナ、アストラゼネカは3社とも英国で最初に識別された「B.1.1.7」については、おおむね現行のワクチンは有効としている。一方、南アフリカで最初に報告された「B.1.351」については、ファイザーのワクチンでは抗体がウイルスを中和する効果が3分の1になったという実験結果が出ており検証中だ。モデルナも抗体の働きが6分の1になったという。ただしワクチンとして必要とされるレベルは上回っているとしている。アストラゼネカも軽度から中程度の症状を防ぐ効果が下がったものの「重症化を防ぐ効果はある」と発表している。
75歳以上は予約不要
24時間ワクチン接種
75歳以上のニューヨーク市在住者は、以下のワクチン接種会場にて予約無しで24時間いつでもワクチン接種を受けることができる。さらに、付き添い人もワクチン接種資格を満たしていれば、その場でワクチン接種を受けることができる。会場は、ブロンクス地区(Bathgate Contract Postal Station:4006 3rd Avenue)、ブルックリン地区(Brooklyn Army Terminal:140 58th St)、クイーンズ地区(Citi Field: 126th St, Flushing)の3か所。タクシーなどによる無料送迎車の予約も可能。問い合わせは電話877・VAX・4・NYCまで。
外出が困難な人自宅で接種可
ニューヨーク市は、ワクチン接種資格があり、かつまだワクチン接種を受けておらず、ワクチン接種プログラムへのアクセスが不可、さらに外出が困難な人を対象に、ジョンソン&ジョンソン社のワクチンを自宅で接種するサービスを提供している。詳細はウェブサイトhttps://forms.cityofnewyork.us/f/homeboundを参照。
NY州民約3割ワクチンを接種
ニューヨーク州は4月4日、これまでに1036万回以上の投与が行われ、州民の3人に1人が少なくとも1回、ワクチンを接種したと発表した。これは全米平均とほぼ同じだ。また対象も16歳以上とすると発表し、接種場所も増やし加速化を図る。しかし、前日の入院者数4373人、直近7日間の平均陽性率は3・56%で、3週間前の4486人入院、平均陽性率3・15%と、目立った効果はまだ現れていない。専門家からは変異種の継続的広がりがあるためではないかと懸念する声がある。
劇場やギャラリー接種証明で再開へ
クオモNY知事は2日、ニューヨークの音楽とアートの会場は人数制限とコロナウイルス予防策で再開できると発表した。
クオモ知事は先月、収容人数の33%に制限(屋内会場は最大100人、屋外会場は最大200人まで)したうえで、4月2日からイベントやアート、エンターテインメント会場での観客の動員を許可すると発表している。今回はさらに、全ての観客の新型コロナのワクチン接種証明か、陰性証明を確認することを条件に、アートやコンサートなどイベント会場の収容人数を屋内で最大150人、屋外では500人まで認めると付け加えた。