美味しさが科学で証明された!

長崎和牛の紹介イベント

 2月15日、イーストビレッジの和牛レストラン「J-SPEC 」にて長崎産和牛の試食会が開かれた。主催は長崎和牛銘柄推進協議会。共催はニューヨークの和牛専門輸入業者Wagyu Master USA, Inc.。オーガナイズをHISが、コーディネートをCanvas Creativeが担当した。

 長崎県は、2022年時点で県内2180戸の生産者が年間7万2700頭の和牛を飼養する日本でも有数の肉用牛生産県だ。長崎和牛は、肉本来の旨みを持つ赤身とまろやかな味わいの脂身のバランスが絶妙で、非常に評価が高い。イベントの目的は、その長崎和牛の魅力を広く北米に知ってもらうこと。参加者には、ニューヨーク周辺の食肉関係者や地元メディアの顔も目立った。

 イベントの前半は、同協議会の事務局担当橋元大介氏による長崎和牛の特徴紹介。県庁農林部農産加工流通課の所属ながら和牛の研究に熱心で大学院にて博士号まで取得した橋元氏の話は、一貫して科学的だ。例えば、和牛の美味しさを決めるのは脂肪中に含有されるオレイン酸の分量。55%を超えると摂氏33度(口中温度)で溶け、豊かな風味を感じるのだそうだ。

 現在、橋元氏と推進協議会が取り組むのは、屠畜前の個体の肉脂肪中のオレイン酸含有量を事前に検知する方法。胎児検査でおなじみの超音波画像やMRI、エコーなどを家畜用に改良し、得られた情報をコンピュータ解析。優良な肉ができるかどうかを飼育中に把握する。「オレイン酸を増やすために必要なのは血統と餌だということを確信しました」という橋元氏ら。この技法を駆使して育てたオレイン酸含有55%以上の長崎和牛は、5年に一度の全国和牛能力共進会(別名「和牛オリンピック」)で2大会連続上位入賞を果たした。「長崎では、美味しいお肉を提供するために生産者がどこよりも愛情を注いで牛を育てています」と橋元氏は胸を張る。

 イベントの後半は、長崎和牛の分割ショウと試食会。トモエフード・サービス酒井氏の見事な包丁さばきに参加者一同、目を奪われる。今回披露されたのはお尻の肉「ランイチ」とモモ肉「シンタマ」。いずれも米国産ビーフではミンチになる部位だが、前者は「ランプ」と「イチボ」に、後者は「トモサンカク」「マルカワ」「カメノコ」「シンシン」に切り分けられ、ローストビーフ、ステーキ、寿司など様々なメニューに調理された。舌の上で溶けるジューシーさと柔らかな食感は、豊かな「オレイン酸」のなせる技。参加者一同、満面の笑顔で舌鼓を打った。

 レストランJ-SPECでは長崎和牛を使った料理をキャンペーン中。2月24日まで。(中村英雄)


J-SPEC

239 E 5th St, 

New York, NY 10003

 (212) 287-0107

https://www.jspec-ny.com/