本格江戸前の軍艦巻きを覚える

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元気と美味しいを求めて料理の達人が腕を振るう (44)

 今月は、本格江戸前寿司の軍艦巻きを家庭でも上手に作ることができるコツを、ニューヨークの寿司店、SUSHI ANNの料理長、高橋紀之さん(52)に教えていただきました。

 同店はマンハッタン・ミッドタウンのど真ん中、東51丁目のマジソン街とパーク街の間に2002年に開店した客席数96の本格江戸前寿司店で連日賑わっている人気店です。

 軍艦巻きの名前の由来は、横から見た真っ黒な姿が軍艦を思わせる形であることからついたと言われます。作り方は、寿司飯の側面に海苔を巻き、ウニやいくら、ネギトロなど崩れやすいネタを盛って作ります。


SUSHI ANN

38 E51st Street, 

New York, NY10022

Tel: 212-755-1780

www.sushiann.net


■海苔の用意■

◆焼き海苔(市販のもの1枚)

 海苔にはミシン目のような点線が入っている。線に対して直角に右端を2・5センチほど切り落とす。切り落とした海苔は「帯海苔」といい、玉子などの帯に使ったりするが今回は使わない。まな板をよく拭き、水分をとり、その上に乾いた布巾またはペーパータオルを敷き、包丁で中央の点線に沿って半切りサイズにする。同店ではそれを4等分にした高さ約1・7センチから2センチの海苔を1個の軍艦巻きに使う。光っている方を外側にして使う。

■シャリ(寿司飯)用意■

 シャリは、炊いたご飯に赤酢と塩と砂糖を混ぜて作る(混合比は企業秘密とのことなので、各自好みに合わせて調合を)。軍艦巻きに使うシャリは約12グラム、右手でラグビーボールのような形で軽く握って、左の手のひらの中指と薬指の2本の間に置く。長さはその2本の指幅。最初は右の親指と人差し指でつまんで左右を抑え、人差し指で真ん中に溝を入れる。シャリ玉を左手のひらの外側にひっくり返して左の親指でシャリの下を押したら、シャリの向きを反対にしてもう一度親指で下を押して全体に逆台形の「船底」の形に整える。

■海苔を巻く■

 海苔の端に米粒を一つ掴んで付ける(巻いた海苔が剥がれずにくっつきやすくするため)。3分の1のシャリの余白を残して海苔を巻き、左右を抑えながら上から人差し指でチョンと押す。こうするとシャリが中で圧迫されて海苔がピンと張る。

◆海苔を巻くときのコツ=シャリの形を整えて海苔を巻いたらすぐに具材を乗せること。時間が経つとシャリの余熱で海苔がしけって張りを失うので要注意。

■具材■

◆いくら=醤油漬け。醤油1、酒1、かつお出汁1で漬けておく。

◆うに=北海道のばふんうにが最高級。お好みでスプーンで盛り合わせる。

◆中落ち(赤身とトロを混ぜたもの)=ネギ、紫蘇などを上に添える。

◆納豆や明太子などもお好みに合わせて楽しめる。

■にきり醤油=酒を沸騰させてアルコールを飛ばし、醤油8対酒2で調合したものをハケでうにに塗っていただく。