コロンビア大学は18日、次期第20代学長に経済学者ネマト・ミノーシュ・シャフィク氏=写真=を選任したことを発表した。同大学268年の歴史で初の女性学長の就任となる。
シャフィク氏は1962年にエジプトのアレキサンドリアで生まれ、国内情勢が混乱に陥り4歳の時に家族と米国に移住した。マサチューセッツ大学アマースト校で学士、英国ロンドン・スクールオブ・エコノミクス(LSE)で修士、オックスフォード大学のセント・アントニーズ・カレッジで経済学の博士号を取得し、36歳で世界銀行史上最年少の副社長、次いでイングランド銀行副総裁を務め、2017年にLSEの学長に就任した。同大学理事会は立候補者600人のなかからシャフィク氏の選出したことについて「LSEでは教育機関としての使命に重点を置く傍ら、学生たちの幅広い躍進を導いた。個人としてはキャリアを通して、多様性と包括を精力的に支持し、創造力豊かで思慮深いリーダーとして才能の育成と解放、公益サービス・チームの取り組みに従事してきた」と伝えている。
同大学ジャーナリズム大学院での記者会見でシャフィク氏は「幼少期にエジプトを離れたとき、化学者の父は私に『すべてを奪われても、教育だけは奪うことはできない』と言った。再出発を強いられた家族にとっては、教育が何よりの救いとなった。コロンビア大学の多くの学生たちにとって同じように」と語った。また、学長が交代しても「学生の自主性を促す」という公民の基礎としての履修課程に焦点を置く同大学の教義は変わらない、と話している。
21年間同大学の学長を務めたリー・ボリンジャー氏は「コロンビアを率いる次期後任を世界中で探したとしても、彼女の専門知識、経験、教育と公民に対する視点からシャフィク氏を選ぶだろう」とコメントしている。シャフィク氏は今年7月1日に新たな次期大学学長としての任務をスタートする。