怪奇大正映画特集6作品上映

ジャパン・ソサエティー

 ジャパン・ソサエティー(JS)は12月9日(土)から16日(土)まで、「大正ロマン:幻想と怪奇を描く6つの映画」シリーズを開催し、全6作品を上映する。1920年代から80年代までの日本映画の修復版プレミア上映から、上映自体が非常に稀な作品などを一堂に集め、日本独自の「狂騒の20年代」とも言える大正時代(1912〜26)を、幻想的な夢のように、はたまた悪夢のような怪奇的な世界として描いた作品に焦点を当てる。

 9日のオープニングでは『薔薇の葬列』の松本俊夫監督の遺作となった『ドグラ・マグラ』(1988年)の日本から取り寄せた非常に貴重な35ミリプリントを上映。エディプス・コンプレックスのストーリーに沿った泉鏡花の原作を寺山修司が監督した『草迷宮』の日本から取り寄せた35ミリプリント上映、大正時代に製作され、川端康成らによる脚本を衣笠貞之助の特異な表現で映画化した『狂った一頁』(1926年)、4K修復版として世界初公開となる鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』、舞踏の創始者・土方巽を主要な役どころに配し江戸川乱歩の作品群から脚色した、石井輝男監督作『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』、80年代後半のオカルト・ファンタジー大作『帝都物語』を上映する。

 JSの映画プログラマーで、同シリーズのキュレーターでもあるアレクサンダー・フィー氏は「日本の最も魅力的な時代のひとつを探求する同シリーズは、日本文学の最もオカルト的で想像力豊かなテキストの中から、今日に至るまで翻訳されていないような文章までを取り上げます。エクスプロイテーションからアバンギャルド、アングラまで、幅広いジャンルの作品を集めた同シリーズは、すでによく知られている作品から忘れ去られた作品まで、神話化されがちな大正時代の歴史のさまざまな現実を描いた名作を紹介します」と述べている。

 入場料は一般16ドル、学生・シニアは14ドル、JS会員は12ドル。12月9日の『草迷宮』上映会は特別価格(一般10ドル、学生・シニア8ドル、JS会員5ドル)。チケット・詳細はウェブサイトhttps://japansociety.org/を参照。

(写真)Zigeunerweisen © 1980 presented by LittleMore Co., Ltd.