滑田鬼剣舞NYに スタンディングオベーション

The Japanese Folk Dance Institute of New York 主催

満員の客席から

 ユネスコの無形文化遺産にも登録されている岩手県北上市地方の郷土芸能「滑田鬼剣舞」が20日、マンハッタンにあるThe Sheen Center for Thought & Cultureで初のニューヨーク公演を行った。この公演は、NYで日本各地の伝統的な民族舞踊を紹介するグループ「The Japanese Folk Dance Institute of New York(民舞座)」が主催し、滑田鬼剣舞をニューヨークに招待した。   

 滑田鬼剣舞は民舞座の主宰者であるケビン・ムーニーさんが幼少の頃から憧れていた踊りで、2012年から毎年北上市を訪れ何年もかけて習得した。滑田鬼剣舞保存会から正式に鬼の面と衣装を授かり、米国で鬼剣舞を踊ることを公認されている。本場の北上市から本物の滑田鬼剣舞を呼びNYで公演することはケビンさんの長年の夢であり、今回ようやく実現した。   

 滑田鬼剣舞の一行は公演の1週間前にNYを訪れ、現地の日系人コミュニティーとの懇親会を開いたり、マンハッタンにある公立小学校やNY市立大学を訪れ、鬼剣舞のワークショップなども開催したりして現地でさまざまな文化交流を行った。

 チケットは公演当日の2日前に完売。開催前からNYでの関心と期待度の高さがうかがえた。そして公演当日、日本から訪れた12人の踊り手と演者らは、初めてのNY公演で緊張した面持ちながらも、のびのびとそして勇敢にパフォーマンスを行った。第1部は民舞座が日本各地の選りすぐりの伝統芸能の踊りを実演し、第2部で滑田鬼剣舞が登場。鬼剣舞全18演目の中から、「三番庭」「狐剣舞」「三人加護」など荘厳で勇壮な6演目を披露した。会場を埋め尽くしたニューヨーカーは、そのダイナミックな踊りと勇壮な雰囲気にすっかり魅了され、最後にはスタンディングオベーションとなり盛大な拍手と共に熱狂につつまれた。    

 主催したケビン・ムーニーさんは「ニューヨークのステージで滑田鬼剣舞と共演することができ、長年の夢が叶いました。本当に嬉しいです」と喜びを噛み締めた。今後もNY近郊で開催される日本文化紹介のイベントなどで滑田鬼剣舞を踊り、岩手の郷土文化をアメリカで紹介し続けていく予定だ。   

写真= Hideki Aono