29日から開幕
メイン部門は世界から32作品
今年も9月29日から10月15日まで、ニューヨーク映画界最大の催し物であるニューヨーク映画祭が開催される。61周年を迎える本年は、リンカーン・センターのほか、ニューヨーク市各地5会場で上映される。世界の話題作を集めた32作品が上映されるメイン部門のほか、注目される新作、ドキュメンタリー、実験映画など多彩なプログラムである。
メイン部門のオープニング作品はトッド・ヘインズ監督がナタリー・ポートマンとジュリアン・ムーアの二大スターを迎えアメリカ文化を分析するドラマ『May December』。中間ハイライトは、エルヴィス・プレスリー夫人を描くソフィア・コッポラ監督の『Priscilla』。クロージングは、マイケル・マン監督の『Ferrari』で伝説的レース・カーの産みの親(アダム・ドライヴァー)を解剖する。
一作ごとに話題になる監督作品では、ヴィクトル・エリセ(スペイン)、アキ・カウリスマキ(フィンランド)、アグネシュカ・ホランド(ポーランド)、マルコ・ヴェロッキオ(イタリア)、ホン・サンス(韓国)、ワン・ビン(中国)等の新作が期待を高めさせる。
話題作を集めたスポットライト部門のオープニング作品、ブラドリー・クーパー監督・主演による音楽家レナード・バーンステインの伝記映画『Maestro』をはじめ、ペドロ・アルモドヴァルの西部劇メロドラマ短編『Strange Way of Life』、スパイ小説家ジョン・ルカレを描くエロール・モリスのドキュメンタリー『The Pigeon Tunnel』、ギリシャを舞台にエマ・ストーン主演のドラマが生演奏付きで上映されるヨルゴス・ランテイモス監督の『Bleat』などが上映される。
日本関係では濱口竜介監督の『悪は存在しない(Evil Does Not Exist)』、ヴィム・ヴェンダーズ監督が役所広司を主演に日本で撮影した『Perfect Days』、宮崎駿監督のアニメ新作『君たちはどう生きるか(The Boy and the Heron)』、空音央監督が父である坂本龍一の最後のコンサートを撮った『Ryuichi Sakamoto | Opus』がある。
尚、ジム・ジャームッシュ監督による映画祭ポスターは、加山雄三の顔があるレコード・ジャケットを使用している。(平野共余子)
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会場はアリス・タリー劇場(ブロードウエーと65丁目)、ウオルター・リード劇場(65丁目のブロードウエーとアムステルダム・アベニューの間)ほか。詳細はwww.filmlinc.org
(写真)坂本龍一の最後のコンサート『Ryuichi Sakamoto | Opus』© Neo Sora