俳優・柳楽優弥に映画界への功績賞

JAPAN CUTS

 ジャパン・ソサエティー(JS)で8月6日まで開催された、北米最大の日本新作映画祭 第16回「JAPAN CUTS(ジャパン・カッツ)」において4日夜、柳楽優弥主演の日本・モンゴル・フランス合作映画『ターコイズの空の下で(UNDER THE TURQUOISE SKY)』が上映された。上映後には、日本映画界へ著しく貢献した監督や俳優の功績を称える「CUT ABOVE Award for Outstanding Achievement in Film」(映画への卓越した貢献を讃える賞)を受賞した主演俳優・柳楽優弥が登場し、記念の盾が贈られた。

 『ターコイズの空の下で』は、国際的俳優として活動してきたKENTAROが初の長編映画として監督した作品。資産家の祖父を持ち、東京で贅沢三昧の日々を暮らしていた青年がある日突然、祖父によりモンゴルに送り込まれる。目的は第2次世界大戦終了時、モンゴルで捕虜生活を送った祖父と現地女性の間に生まれた娘を探すこと。どこまでも続く美しいモンゴルの草原を舞台に青年の成長を描いたロードムービーである。

 上映後には柳楽優弥とKENTAROが登壇し、質疑応答が実施された。海外で育ち、数か国語を操るKENTAROは全ての質問に流暢な英語で答えつつ、柳楽との掛け合いで観客を笑わせたり、ユーモアのある言い回しで満席の会場を沸かせた。

 CUT ABOVE賞の受賞について柳楽は、「ニューヨークにちょっと留学した経験があるので、大好きなこの街で、この様な賞をいただけてとても嬉しいです。ロードムービーの撮影が初めてで、モンゴルに行ったこともなかったので、監督にはとても貴重な機会をいただいた」、そして「国籍も違い、言葉も通じない環境の中でも『演じる』ということでのコミュニケーションの仕方があるんだなと感じた。とても貴重な経験となった」と話した。

 監督は「モンゴルにはこの10年間に何度も訪れていて、他のアジアにはない文化と自然に魅了され、この国で撮影したいと思った。マイナス40度にもなり、とても寒いこともあるが、モンゴルとは個人的に強い結びつきを感じているので、この映画はラブレターのようなものだ」と話した。

 同映画には、モンゴルのアカデミー賞を3回受賞している人気俳優のアムラ・バルジンヤム氏もガイド役として出演。監督とともに脚本も担当している。

(写真)カット・アバウブ賞を受けた柳楽(右)と監督のKENTARO(Photo Japan society )