ニューヨーク市のパノラマは、クイーンズ美術館のコレクションの中でも最も有名な展示コーナーだ。1964年に開催された万国博覧会のために、都市計画の立案者であり万国博覧会会長のロバート・モーゼスが市のインフラを祝うために構想したパノラマは、建築模型製作の大手レイモンド・レスター&アソシエーツが100人以上のチームで3年がかりで製作した。
レスターは、1939年から40年に開催されたニューヨーク万博で、ノーマン・ベル・ゲッデスとアーティスト、デザイナー、製作者として仕事をし、その後モーゼスのために市民プロジェクトの大規模な模型を製作するなど、実物よりも大きな模型環境の構築に精通していた。
レスターは模型を計画するにあたり、航空写真やサンボーン火災保険地図、そのほかさまざまな市の資料を参考にした。パノラマは正確でなければならず、最初の契約では、現実と「世界最大のスケールモデル」の誤差は1%以下と要求された。面積は9335平方フィート、縮尺は1200分の1で、パノラマはメトロポリスのミニチュア。
1992年以前に建設された89万5千の建物、すべての道路、公園、約100の橋が、ニューヨーク市の320平方マイルを構成する273のセクションに配置されている。マンハッタン区は70×15フィートの大きさで、エンパイア・ステート・ビルディングは高さ40センチ、自由の女神は約5センチと、正確な縮尺で再現されている。東西にはロングアイランドとニュージャージーが黒い影の塊となって顔を覗かせている。
「パノラマ」の特徴は、夜明け、夕暮れ、夜間と連続的に点灯すること。また、警察署、消防署、学校、病院、裁判所、図書館、公営住宅、水道、ガス、電気などの公共施設は、3172個の色電球で自動的に照らされる。また、模型の表面から数フィート上に設置されたブラックライトは、市内の公園の木々や敷地、マンハッタンの高層ビルの窓を照らし、夜間には蓄光塗料で緑色に光る。このほかにも、ラガーディア空港を数分おきに離着陸する飛行機が動くなどの特殊効果も。
パノラマを構成するオリジナル素材は、木材に発泡ウレタンを貼り付けたホルミカパネルで、パノラマが作られた時代を物語っている。建物は木、プラスチック、手塗りの紙で、橋はエッチングされた真鍮で構成されている。現在も、建築模型メーカーがコンピューターで設計したアクリルをレーザーでカット・エッチングして、建物を増築しているという。
Queens Museum
NYC Building
Flushing Meadows Corona Park
Corona, NY 11368
営業時間
月曜と火曜 休館
水曜〜金曜 12:00~17:00
土・日曜11:00~17:00
入場料 $6.00
要予約
https://www.eventbrite.com/e/timed-entry-tickets-tickets-276902602137?aff=erelpanelorg