1月11日に脳腫瘍により併発した誤嚥性肺炎により70歳で亡くなったイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の元メンバーで日本を代表するドラマーの高橋幸宏(たかはし・ゆきひろ)さんの訃報は、音楽誌を中心に米国メディアも相次いで取り上げた。
音楽誌ビルボードは15日付けで、伝説の日本のドラマーであり、YMOの共同創設者、音楽プロデューサーと紹介している。これまでのキャリアに、昨年9月に高橋さんの音楽活動50周年を記念したスペシャルコンサートが開催されたが病気のため出演できなかったことに触れている。オービタル、スパークス、エロル・アルカン、ジュニア・ボーイズ、マウス・オン・マーズ、808ステートなど、数多くのミュージシャンがオンラインで追悼の意を表していると書いている。
ローリングストーン誌はアルテア・レガスピとダニエル・クレプスの両記者名で「サディスティック・ミカ・バンドとメタファイブにも所属していた影響力のあるミュージシャン」として、高橋氏の音楽キャリアについて詳細な記事を掲載した。サディスティック・ミカ・バンドでは1975年から76年にかけてロキシー・ミュージックのツアーでオープニングを務め、BBCのテレビやラジオに出演するなど、最初に英国で成功を収めたとしている。
1978年に坂本龍一と細野晴臣との3人でYMO結成。デビューアルバムに収録されたシングル「コンピューター・ゲーム」が英国でトップ20に入り、米国でも注目されるなど「驚きの世界的ヒットとなった」とした。そして、1979年にリリースされた2作目の「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」ではクリス・モスデルが英語詞を担当。この作品の成功によってYMOは米国のテレビ「ソウル・トレイン」に出演し、「印象的なパフォーマンスと、いまやバイラル化した高橋と司会のドン・コーネリアスのインタビューが放映された」と紹介している=写真上=。
多作なアーティストであり、その後もジャンルを問わずに数々のソロやコラボ作品を世に送り出し、2014年にはメタファイブと呼ばれるスーパーグループでツアーも開催。2020年にシングル「環境と心理」をリリース後、腫瘍の脳外科手術のため休養に入るまで音楽活動を続けていたとしている。(武末幸繁)
(写真:ソウル・トレインに出演したYMO(1980年))