【編集後記】
みなさん、こんにちは。マンハッタンの賃貸住宅の平均家賃が今年6月に初めて5,000ドルを超えて、11月には5,249ドルに達したと不動産会社のダグラス・エリマンが報告しています(本紙今週号16面に記事)。1ドル136円で換算すると日本円で実に71万円以上になります。家賃は収入の3分の1程度に抑えたいというそんな尺度を昔聞いたような記憶がありますが、それに当てはめるとマンハッタンに住むには年収20万ドル程度が必要ということでしょうか。世界1物価が高いNYで、ホテル代もホリデーシーズンプライス、木で鼻をくくったような部屋が週末料金で一泊700ドルもしたという悲鳴が聞こえてきます。一方で、NY州会計監査官は、2021年のNY州の貧困率が全米平均12・8%を上回る14%(約270万人)だったという最新のデータを発表しています(同4面に記事)。ニューヨーカー7人に1人は貧困ということです。NY州の貧困率は、2020年までの10年間で2・3%減の12・7%となりましたが、コロナ禍で再び上昇したとのこと。貧困線は、所得、家族の大きさ、構成のデータを異なる家族の人数に必要な家計と比較した米国勢調査局の数値を指標としていて、21年の貧困線は、1人暮らしで年収1万3,788ドル、4人家族で2万7,740ドルということでマンハッタンと州全体の格差は相当なもの。日本企業も駐在員の住宅補助が円安の中で大変です。今や日本でも6人に1人が貧困にあるそうです。世界第3位の経済大国と呼ばれる一方で、日本は「貧困大国」と呼ばれることもあります。日本が経済大国とされる理由は、GDP(国内総生産)の数値が元になっていて、GDPとは、1年間の「民需+政府支出+貿易収支の総額」で、日本はこれで米国、中国に次いで3番目に高いとされるから経済大国となる由縁です。他方、貧困大国であることについては、GDPではなく「相対的貧困率」が根拠になっていて算出方法は、「国民の等価処分所得の中央値の半分未満」、具体的な金額で言うと、1人世帯で年間127万円未満で生活している人たちが貧困層ということになるのだそうです。発展途上国の絶対貧困の定義は1日1・9ドルの食費で生きていることだそうです。タイムズスクエアのホットドッグが1本6ドルと言われた時にはさすがに断りました。生活費は国によってめちゃめちゃに違うのですね。この世界1物価の高いNYでどうやって生活を守っていけばいいのか。答えは色々あって、これだ!と言い切れませんが、紙面では「現象としてのリアル」の断面を伝えることで今私たちが生きているNYの姿をお届けします。ということで、今週号で年内のレギュラー号は終わりです。今年も1年間ご愛読ありがとうございました。これから2週間かけて新年号を作ります。新年号は28日にはお届けします。それでは、みなさん、よい週末を。そして少しまだ早いですが、良い年をお迎えください。では、次回は新年号でお目にかかります。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)