編集後記 12月14日号
2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が9日、ニューヨークの国連本部で東京五輪期間中の休戦を加盟国に求める決議案に採択を前に演説しました。「スポーツの力で世界と未来を築いてく機会となる」期待を表明し、186か国が共同提案国となり採択されました。採択後、国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長と共に報道関係者の取材に応じました。ところがこの日、世界反ドーピング機関(WADA)がローザンヌ(スイス)で常任理事会を開き、ロシア選手団を2020年東京五輪・パラリンピックなど主要国際大会から4年間排除する処分を決めたことからオリンピック関係者にショックを与えました。記者団との質疑応答でも、休戦決議採択と同じタイミングでWADAが処分を発表したことについてバッハ会長と森会長に質問が集中しました。森会長は「公正で平等な大会を準備することが組織委員会の使命だ。処分に対しては異議申し立てがあると思うが、結論が出るまで静観したい。スポーツ大国の不参加は残念に思う気持ちも理解できるが、選手個々よりも、指導しているコーチや関係者にドーピングしてでも勝たせたい、記録を作りたいという気持ちがまだあるようなので、スポーツ界全体を啓蒙していかなくてはならないと思う」と述べていました。IOCのバッハ会長によると、東京五輪では、これまでと違って、大会前にドーピング検査をして事前に不正発見に努める。そのために予算を1000万ドル振り向けたと言っていました。東京五輪はこれまでにないクリーンでフェアなオリンピックになりそうですね。いろいろな角度から浄化作用が働くことは大会成功に向けて必要不可欠です。(三浦良一/発行人兼CEO)