遺族にリクエスト

【編集後記】


 みなさん、こんにちは。先週、この編集後記でも書いた、カリフォルニア州ロサンゼルス市南郊サンペドロの道路で先月9日、外傷性脳損傷で発見されたアジア人の男性ですが、所轄警察からロサンゼルス日本総領事館に先月23日連絡があり、20代の日本人であることが分かったそうです。と、同時に、残念なことにこの男性は搬送4日後の13日に亡くなっていたことも伝えられたそうです。入国時の情報と照合して身元が分かり、遺族とも総領事館が連絡を取っています。発見された時の所持品の財布に日本円が入っていたことで、当初から日本人ではないかと日本でもニュースになっていたようです。私は現場には行っていません。ですので、情報は主に総領事館からのものと、現地でのSNSなどのネット報道を見ているだけです。ちょっと気になっているのが警察が事件性はないとの報告をしていることです。外傷性脳損傷という怪我は、道で転んで受けるようなダメージではないでしょう。刑事事件でなければ交通事故か何かの事故の可能性があるように思えました。まあ、人が無くなれば、不審死の場合は検死解剖しますから、検死局が死亡証明書を出します。そこにはどのような傷があり死亡原因は何かが書かれています。死亡記録は、婚姻記録と同様パブリックデータとして公文書閲覧請求ができます。ロサンゼルス郡検死局に問い合わせましたが、領事館の個人情報守秘で何しろ名前がわからない、所轄の警察も「教えられない」とのことなので締め切りには間に合いませんでした。今週号では、見つかった男性が日本人であったこと、そして亡くなったことを続報で5面に掲載しています。遺族は、なぜ息子が旅先で命を落とさなくてはならなかったのか、どんな思いでいるのか、死亡原因がわからずに大いに困惑しているのではないか。ダメもとで、遺族がもし、取材に応じてくれるのであれば話を聞きたいとロサンゼルス総領事館にリクエストしました。翌日、同総領事館から電話があり、総領事館として、遺族にそういうリクエストが現地の日本語メディアからきているということを正式に伝えることにしたとの連絡がありました。断られるかもしれませんが、こういうことはダメ元でも聞いてみないと前が開けません。どんな回答が来るのか。警察の「事件性がありません」、総領事館の「はいそうですか」となって終わらない何かが、長年の記者の臭覚に絡んでいます。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)