編集後記

【編集後記】

 みなさん、こんにちは。週刊NY生活は、ご存知の通り、米国在留邦人向けの日本語ローカルコミュニティーペーパーで、ときには現地ミニコミ紙、「フリーペーパー」などと呼ばれるカテゴリーに分類されます。こういう媒体は、ひと昔前なら広告チラシにタウン情報を加えただけの軽い存在のイメージがあったのではないでしょうか。まあ、いまでもそんな風に見ている世間の目は感じないででもないですが、では、だからといってトランプ大統領が演説中に狙撃されたというようなアメリカで起こった重大ニュースをまったく扱わなくていいのかというと、そんなことはないのです。もちろん、そんな小さなメディアが、日本の歴史ある大新聞と取材活動力、人員態勢から言っても到底太刀打ちできないのは百も承知。じゃ何ができるの?といつも、重大ニュースが起こるたびに自問します。今回、事件が起こった翌日私は、北海道ゆかりの会で前々から決まっていたジンギスカンバーべキュー大会がブルックリンの公園で予定されていて、その日のための準備を前の夜からしていました。きっと翌朝はトランプタワーの前では何か騒ぎが起こっているのではないか、そんなことを思いながら公園で焼きそばを焼いている自分が、今こんなことをしていていいのかと内心焦っていたのです。フリーランスのカメラマンに自分は行けないので写真を頼み、帰宅途中のグランドセントラル駅売店でトランプ氏狙撃が1面に掲載されたNYタイムズ紙とデイリーニュースを買い、電車の中でフリーの記者にアメリカ人のコメント取りを頼み、米国各紙の論調を洗う、ジャーナリストの武藤芳治さんに「視座点描」を発注しました。日本の大手通信社から記事を買って転載するのは、やろうと思えばできますが、それをやらずに独自取材でオリジナルな記事を掲載するという創刊当初からの本紙の編集方針を貫くことで、日本では報道されないオリジナルな内容を掲載することがままあります。うちで書かなければ誰も知ることがない、というたぐいのものですね。今週号はそこまで大袈裟ではないですが、できる範囲で今回の事件を総括しています。こうやって矢の如く1週間が過ぎていきます。先週の今日が昨日のようです。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)