【編集後記】
みなさん、こんにちは。 本日9日昼過ぎ、今週号の新聞をクイーンズの工場で印刷した後、配達走行中のマンハッタンの車内で、トランプ大統領が本日発動したばかりの相互関税の上乗せ部分について中国を除いて90日間一時停止すると言う発表を知りました。なんだか不動産の家賃や物件売買の値下げ交渉に似てるなと思った人もいるのではないでしょうか。売りたい方は実際の落とし所よりは高いアスキングプライスを設定し、交渉の結果、本来、心の内で納得がいく額まで値引きして売り、相手側は最初に提示された高い価格を自らの交渉によって下げることができたという見せかけの成果を手に入れて契約が成立することになります。若き日に不動産王などと呼ばれたトランプ大統領ならではのこのディール(取引)手法は、国際政治に独自のビジネス感覚を色濃く投影しています。普通の政治家ならこんなドラスチックなことはやりませんし政治家としてのモラルが邪魔してできません。メール1本で優秀な連邦政府公務員を大量解雇することや教育省を解体することを一介の一時的な重用お雇い人の男に莫大な権限を与えて許可したり、不採算部門はリストラカットで合理化だとばかりに後先の影響も考えずに即断する姿は、側から見ても強引です。1930年に米国大統領のフランクリン・ルーズベルトが行った一連の経済政策、ニューディール政策は前年の世界大恐慌を乗り切るためのものでした。ほぼ1世紀後にいまトランプ大統領が行おうとしているニュー・ディール(新型取引)政策が、逆に世界経済をどん底に陥れ、世界恐慌の再来を招かないことを祈るばかりです。交渉によってどうなるか、やってみないと分からないところが、政権発足からわずか3か月のスジ書きなきドラマの第一章となっています。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)