【編集後記】 みなさん、こんにちは。今月6日からニューヨークで国際女性デーの国連サイドイベントである CSW (Commission on the Status of Women) が開催され、世界的に多様性や女性の活躍に注目が集まっています。初日にはジャパン・ソサエティーで日本経済新聞社と外務省の共催で「国際女性デー・シンポジウム」が開催され、日本の男女格差に焦点が当てられました。日本政府国連代表部・志野光子特命全権大使がオープニング・リマークスのスピーチを行い、国連事務次長・軍縮担当上級代表の中満泉氏がキーノートスピーチを行いました。続いて外務省 総合外交政策局女性参画推進室室長の古本建彦氏が講演し、日経xwoman 副編集長の小田舞子氏が日本のジェンダーギャップについて古本氏に質問して話を聞きました。中満氏はキーノートスピーチの中で、日本の女性の経済的な公平度は統計を取った世界146か国中116位と日本が極めて遅れている点に言及し、出世数が80万人を割り込み過去最低を記録する中で、女性の権利獲得のためには職場での性差別と闘うこと、リーダーシップを女性が取ることを阻む社会構造的な壁を取り除くために行動を起こす必要があること強調しました。講演後のセッション1では、小田氏が中満氏の出した数字を引用して日本における男女格差をなくすためには何が最も重要かと古本氏に質問しところ、古本氏は、複雑な問題であると前置きして「日本の女性は世界的水準からみても高学歴であり、健康状態も良いので、あらゆる面で日本の女性が不利益を被っているわけではないのではないか」と違う観点からも解説していました。アフガニスタンのように女性が大学に行けない、高等教育を受けられなくなったり、顔を布で隠さないといけなかったり男女格差を超えた男女差別が世界のあちこちでまだまだ蔓延している現状が国連から世界に発信されています。まあ男女共に日本人に生まれてきたことはかなり、世界の中では幸せな方なんでしょうが、なんていうのか、日本の伝統的文化というのはそもそも世界のスタンダードとは相入れない別次元で発展してきてしまったところを戦後の民主主義で急ピッチで外堀から埋めて、男女同権を進めてきたきらいがあります。日本の男性社会でしっかりキャリアを積み上げてきた女性たちがいともあっさり日本におさらばしてニューヨークで自分の新しい人生のステップを踏んでいる何人もの日本人女性を見てきました。もったいないなと思う反面、言うに言われぬ暗澹たる気持ちを日本に抱いて飛び出してきたのかなとも思えます。日本に住むことなく、こうやって場外の外野から勝手なことをモノ言うのは罪悪感もありますが、まあ利害関係の解き放たれた場所から意見を言うことが、ある意味、どこからも影響を受けないジャーナリストの特権かもしれません。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)