みなさん、こんにちは。本紙「週刊NY生活」を発行するニューヨーク生活プレス社のオフィスは、マンハッタンの5番街と6番街に挟まれた47丁目にあります。この通りは、通称「ダイヤモンド街」と呼ばれる宝石商店街になっていて、宝石、貴金属、時計、コインの店がひしめきあっています。防犯カメラがいったいどれだけ設置されているのか分からないほどカメラだらけ。まあそれだけ安全ということです。で、反面、新聞社としては極めて不便なのですが、ビルが午前零時でシャットダウンされてしまうことです。仕事が途中でも午前零時1分前にはビルの外に出なくてはならない。午前零時を越えてエレベーターが動いたり、非常階段でセンサーが人影を察知したら、すかさず、警察と警備会社が飛んでくるという厳しさです。で、仕事を終わった先週のある日、ビルのすぐ外で、小さいライトを口にくわえて、ブラシとちりとりで、歩道の溝を掘っている男がいました。ラフィ・ステパンテインさん(50)。2011年から8年間、深夜のこの通りで2、3時間歩道の土をブラシで集めて、その中から1ミリ以下のダイヤモンドのかけらや金や宝石のくずを集めているそうです。いままで拾ったダイヤモンドで一番大きかったのはハーフカラットのダイヤ。金は44オンス拾って既に換金したそうです。総額にして時価1万3000ドル分の金を含む加工金属を収穫したというから塵も積もれば宝の山です。この通りは路面店だけに限らず両サイドのビル全体が宝石の工房になっているため、昼も夜も宝石商や職人の往来があり、ビルの出入りが激しいのです。ダイヤモンドをカットしたあとに出るダイヤモンドダストが靴について歩道に、運び出す時に落とした宝石など収穫はさまざま。8年間で警察に不審に思われ職務質問を受けたことも4回あまりあるそうですが、説明すると、空き缶を道路で拾っているのと同じ行為として黙認してくれるそうです。今週号の5面の記事になりました。47丁目、ダイヤモンド街で宝探しする男、今度はいつ会うことになるのか。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)