編集後記

【編集後記】

 みなさん、こんにちは。 米国内務省が1月24日、20日の大統領令に基づき米南部に面するメキシコ湾を「アメリカ湾」に改称したと発表しました。これに伴い連邦地名委員会、米海洋大気局(NOAA)と傘下の国立ハリケーンセンター(NHC)や国立気象局(NWS)などは「アメリカ湾」に名称変更しました。大手通信社のAP通信はメキシコなどアメリカ湾の呼称を認めていない国もあることから、従来のメキシコ湾の表記を継続しています。これに対して今月14日、ホワイトハウスのテイラー・ブドウィッチ大統領次席補佐官がAP通信がアメリカ湾への改称に従わないことは「誤情報」であり「無責任で不誠実な報道」だとX(旧ツイッター)で批判、「無責任で不誠実な報道をする彼らの権利は憲法で守られているが、大統領執務室やエアフォース・ワン(大統領専用機)のような限られた空間に自由に出入りできる特権は保証されない」と述べるなど報道活動に圧力をかけました。グーグルマップ、アップルのマップやマイクロソフトの「Bing Maps」は米国内の利用の場合、アメリカ湾に表示されるように変更しました。本来なら大きく報道されるべき地政学上の重大事項ですが、NYタイムズも17日付朝刊の中面で報じる程度で世界的な関心は、いまや米国とロシアのウクライナ戦争へのヨーロッパの頭越しに進める外交問題が世界の話題をさらっています。トランプ大統領が就任して今日、20日で1か月。これまで70以上の大統領令に署名しています。多くの大統領令を矢継ぎ早に出すことでメデイアの追求の目を逸らす撹乱作戦とも言われています。メキシコ湾については今週の1面で報じています。また、NYでは先月5日にマンハッタンで始まった「渋滞税」に対してもトランプ大統領が大統領令で無効にする方針を連邦運輸省の高官を通じてNY州政府に打診したと20日付けNYタイムズが報じています。記事の中でホウクルNY州知事が「我々は法治国家に生きており、王様の法律の下では生きてはいない」と反論、法廷闘争も辞さない構えです。日本人の私としては、「日本海」の呼称同様、他国がどう呼ぼうが、地図上の名称はそれぞれの国の勝手なので「メキシコ湾」と呼んでいても問題はないはず。将来、民主党の大統領に変わればまた元に戻されるかもしれませんしね。世界はこの1か月で右往左往の大混乱ですが、小さな媒体の外野席から冷静に見つめていきたいと思います。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)